ヨガインストラクターとトラベルライター、二足の草鞋を履く渡辺由布子です。人生は山あり谷あり、まるで旅のようであり、また旅は私にとって生き甲斐であり、人生そのもの。
アメリカ、フランス、香港など人気の観光大国から、エジプト、モンゴル、南アフリカなどちょっとマニアックな国まで、世界47カ国、記憶にある限り約120都市、世界各国を旅してきた筆者が、これからmy-muse読者の皆さんにオススメのデスティネーションをご紹介していきたいと思います。
記念すべき第一回目の今回は、そもそも私がこれほどまで旅に没頭するようになったきっかけを(おそらく初めて)綴ります。スマホもデジカメも普及していない時代で、僅かながら残っていたインスタントカメラの写真を頼りに振り返ってみようと思います。
生まれて初めての海外旅行は18歳の時。高校卒業後、同級生と女3人で旅行を計画しました。行き先に選んだのはタイ。旅行代理店の5泊7日のパッケージツアーで、終始添乗員さんがアテンドしてくれる安心安全な旅でした。
当時バンコクは郊外にあるドンムアン空港のみで、飛行機から降り立った瞬間、今まで嗅いだことのないような何とも言えない匂いがぷぅ〜んとしたのを覚えています。それがジャスミンなのかナンプラーなのか、はたまた赤い線香の煙なのか、未だにハッキリはわかりませんが、“タイの匂い”として、今では訪れるたびに心地よく感じています。
ワットポー、ワットアルン、ワットプラケオの三大寺院や、象に乗れるアユタヤなどの観光名所を大型バスで巡り、連れて行かれるがまま、タイ料理を食べたり、お土産を買ったりしました。ある日は半日観光ツアーで1時間半かけてパタヤビーチへ。そこから船で30分のところにある、タイNo. 1の透明度を誇るラン島の海でひたすらマリンアクティビティを楽しみました。
バックパッカーの聖地・カオサンには屋台がずらりと並び、食べ物から衣類、動物まで幅広く売られていて混沌としていました。その光景すら衝撃ですが、驚いたのは全てにおいて値段表記がないこと。何を買うにもまず「タオライ?(これいくら?)」と尋ね、観光客だと分かれば何倍もの値段をふっかけてきます。「ディスカウントプリーズ」と言えば、店員は電卓を叩いて見せて、交渉成立します。このやり取りは日本の魚市場などに行けば当たり前かもしれませんが、タイでは日常に行われているのです。
マーケットでは100THB(日本円で300円)の紙幣があれば大体何でも買えました。パッタイと呼ばれるタイ焼きそばも、30分のタイ古式もお釣りが来るほど!その安さのあまり、滞在中は毎日のようにマッサージ屋に通いました。見るもの触れるもの全てが目新しく、友人とお揃いで買った象の絵が描かれたTシャツ、changビールの帽子は今でも自宅で大切に保管しています。
当時はまだMRTと呼ばれるメトロも、BTSと呼ばれるスカイトレインも開通していなかったため、人々の移動手段といえば、ドアのない乗り合いバス、カラフルなタクシー、バイタク、そしてトゥクトゥクでした。タイのモワッとした熱風を受けながら走るトゥクトゥクは新鮮で、20年経った今でもたまに乗りたくなります。
タイ国民から絶大な信頼と敬意を寄せられていた、世界最長在位期間を誇るタイ国王(ラーマ9世)。レストランやショッピングモールなど行く先々で彼の写真や肖像画が飾られていました。国王の誕生日や即位60周年の際は、国民はシンボルカラーである黄色のTシャツや腕輪を身に付け、街全体が黄色で溢れていました。
これも愛国心によるものですが、朝8時と夕方6時の一日2回、公園や駅など公共施設にいると、どこからともなく突然国歌が聴こえてきました。ラジオからも流れてきます。その瞬間、街ゆく人は一斉に立ち止まり(直立不動)、国歌に耳を傾けているのです。その光景はまるで時が止まったかのようで、初めて見た時は一体どうしたものかと驚きました。
初めてのタイ旅行で受けたカルチャーショックの数々は決してネガティブなものではなく、同じ地球上にこんな世界も存在するのかという驚きと、まだ見ぬ世界への興味がそこで芽生え、旅行欲に火を付けました。
その後、時間に余裕のある大学時代はバイト代を叩いて毎月のように海外旅行に出かけました。旅行代理店が売り出す格安ツアーを見つけては申し込んでいたので、時には夜行列車で国を跨ぐような過酷な弾丸トラベルもあったり、若さゆえの旅の形だったと思います。
サラリーマン時代はお盆休みと年末年始の年2回、いわゆるハイシーズンにしか長期休暇が取れなかったので、航空券だけで往復30万円になる時も。それでもここぞとばかりにハワイやバリ島などリゾート旅行を満喫しました。
かねてからの夢だった世界一周旅行の実現を理由に会社を辞め、タイで暮らしてみたり、インストラクターとしてヨガの修行に行ったり、ライターとして観光局の仕事も度々受けたりと、公私共に海外渡航の機会に恵まれました。
30歳を機にVISAを取得してハワイ留学を果たし、アメリカ生活に揉まれながら挫折も味わい本帰国ーそして現在に至ります。
年越しのカウントダウンは毎年必ず海外で過ごすようにしています。このあたりのエピソードはまた別の機会に。
47カ国120都市を訪問してもまだ全体の19%にしか満たないというのだから、世界は本当に広い。見たい!触れたい!知りたい!という、そのシンプルな気持ちが私の旅の原動力になっています。海外に出て初めて、母国の素晴らしさに気づき、今までよりもっと故郷を愛せる気がします。
いつまでも好奇心を絶やさずに、これからも時間と体力の許す限り、旅をし続けたい。そしていつかは自分達の子供にもたくさんの世界を見せてあげたいと思うのです。
17歳から読者モデルとして「Vivi」「JJ」「non-no」など多数女性誌に出演。MBSラジオパーソナリティとして出演。大学卒業後、化粧品会社勤務を経て、フリーランスに転身し、ヨガインストラクターを務める傍ら、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は40カ国以上。特にタイに精通し、渡航回数は20回以上。ハワイ留学経験有り。現在は拠点をロサンゼルスに移し、東京と行き来してデュアルライフを送る。
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