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Wellness

性教育で傷つく人、傷つける人の両者を減らしたい。性教育プロデューサー中島梨乃さん

今回は、性教育プロデューサーとして、正しい性の知識を届けるために活動している、現役女子大生の中島梨乃さんのインタビュー第二弾をお届けします。高校生の日常を舞台として性の多様性を描いたドラマ『17.3 about a sex』の台本監修もされている中島さんから、『17.3 about a sex』に込めた思いや、避妊具として注目されるミレーナの使用感、フェムテック商品への考えなどを伺いました。

2021.06.23公開

中島さんが性教育に関する活動を始められたきっかけや、現在の活動などについて伺った、一弾はこちらから

高校生の日常を舞台として性の多様性を描いたドラマ『17.3 about a sex』の台本監修もされている中島さんから、『17.3 about a sex』に込めた思いや、避妊具として注目されるミレーナの使用感、フェムテック商品への考えなどを伺いました。

『17.3 about a sex』とは?

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初体験平均年齢=17.3歳だと知った女子高生3人組。 その日をきっかけに彼女たちの"性の価値観"が揺らぎ始める。 「実際、痛いの?」 「そもそもセックスってしなきゃダメ?」 「あのさ、みんな、1人でしてるの…?」 付き合って、キスして ーそれから…!? 本当は知りたいけど、誰も教えてくれないセックスのこと。 初体験や避妊、生理、体型の悩みやセクシャリティなど リアルで繊細な女子の本音を隠さず丸めず語り尽くす3人。 日本で一番ティーンに観られているメディア・ABEMAが描く、 女子高生のリアルな心情を描いた青春恋愛物語。
— ABEMA 新オリジナルドラマ『17.3 about a sex』

誰も傷つけない表現を通して、性教育を学ぶきっかけを

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『17.3 about a sex』の台本監修に携わられた中島さん。きっかけは?

きっかけは脚本の方と共通の知り合いがいたこと。TwitterのDMで「性教育を扱うドラマを制作するから、学生の意見を聞かせてほしい」とお声がけいただいて。私はその時すでに大学一年生だったので、一緒に活動をしていた中高校生達と第一部の台本を読んで、感想などをお伝えしていて。そこから本格的に監修に入ってほしいと言っていただき、携わることになりました。

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監修の際に、心掛けていたことはありますか?

誰かを傷つける表現をしないこと。例えば、エンドロールの最後に性教育に関する知識が流れるところがあるのですが、中絶のことを「堕ろす」と表現されていたところを、「中絶する」という表現に変えたり。ドラマの中では、LGBTQについても扱っているので、セクシュアリティに関する定義も様々な文献をチェックしながら、傷つける表現がないように気をつけていました。

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反響はいかがでしたか?

周りの友人たちから「すごく良かった!」と言ってくれています。エンドロールで流れる性に関する知識も、ポップで可愛く、わかりやすいと。ジェンダーを学ぶ機会になったという嬉しい声ももらっています。

色んな方のご意見をいただく中でもっと改善できるなと思う部分もあったので、色んなアプローチで解決していきたいですね。

避妊具ミレーナによって気づいた、生理が与える負担

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現在大学で日本の避妊具のアクセスの悪さに関して研究されているそうですが、その点について課題だと感じるようになったきっかけは?

「#なんでないの プロジェクト」代表の福田和子さんの記事を見て、影響を受けました。その記事を見たときに、日本って全然男女平等じゃないんだって衝撃を受けて。周りに活躍している女性が沢山いらっしゃったこともあって、日本って他国と比較しても、そこそこ男女平等の社会だと感じていたんです。

でも世界では一般的に使われている避妊率の高い避妊具の使用が認められていないこと、緊急避妊具の流通が全く進まないことなどを知って、日本はまだ女性が自分の身体のことを自分で決めることができない環境なんだと感じて。その影響が避妊具のアクセスについて研究を始めたきっかけになりました。

ミレーナとは?

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ミレーナは、黄体ホルモンが付加された避妊リングであり、新しい子宮内避妊システムです。子宮内に黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを持続的に放出するため、5年間ほど高い避妊効果を発揮すると言われています。また、ミレーナは月経に関する症状の改善にも有効性が認められています。

避妊法2019(Contraceptive Use by Method 2019)の世界のピルの内服状況データによると、ノルウェー25.6%、英国26.1%、フランス33.1%、カナダ28.5%、米国13.7%。一方で日本は2.9%であり、欧米の先進国と比べると圧倒的な差があります。女性が自分自身の身体と心を守るために、幅広い種類のある避妊法を理解することが重要です。

野井レディースクリニック『ミレーナ(避妊リング)』
CLINIC FOR 『日本は低用量ピル後進国? 日本で普及率が低い理由について、医師が解説します。』
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避妊具のミレーナを使用しているという中島さん。始めたきっかけや、始めてからの身体の変化を教えてください。

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元々、友人がミレーナを入れたいということで一緒に着いていったのがきっかけでした。付き添いのつもりだったのですが、一緒に説明を聞いていて私も使ってみたいと思ったんです。

使用感については、個人差があると思うのですが、私は生理の回数が本当に減って、来たとしてもこれって生理なのかな?って思うぐらいの感じで楽になったと感じています。PMSはまだ続いている思うので、PMSのタイミングがわからなくなってしまうの一つ気になるところですが、私は入れて本当によかったなと感じています。

ミレーナを挿入する時、裂けるような痛みを想像していたのですが、重めの生理痛のような痛みで、入れた直後は辛くて入れたことも少しだけ後悔しました・・・。でも、痛み止めを飲んだらすぐ落ち着きましたね。友人は病院で痛み止めをもらっていました。

入れる前後は検診が必要です。入れた後は1ヶ月、3ヶ月、半年に検診があり、その後は半年に一回の定期検診があるのですが、それも身体を知るために良いことなのかなと感じています。生理がある生活が当たり前だったので、生理の回数が減ることでこんなに楽になるんだと思いました。

「性教育を学ぶことの大切さ」を改めて感じて欲しい

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my-muse読者に伝えたいメッセージをどうぞ!

今は、色んな素敵な思いが込められたフェムテックの商品がすごく沢山増えて来ています。自分に合う商品を選ぶために、まずは自分の身体を知ることが大切だと考えています。

また「性教育=中高生が学ぶもの」だと判断しないで、自分の知識が間違っているかもしれないと改めて性教育を学ぶ機会を持ってほしいなと感じています。

プロフィール:中島梨乃

2000年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部3年。性教育プロデューサー。性で傷つく人を一人でも減らしていくため、高校生の頃からSNSで性教育に関する発信活動をしている。SNSでの発信以外に、ABEMAオリジナルドラマ「17.3 about a sex」の台本監修をしたり、大学の男女トイレに生理用品を置いたり、性に関するメッセージを容器に書いたタピオカを配ったりなど、無関心層へ向けた取り組みを行う。

Twitter:@Roni20000830
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