6月16日、筆者が運営するインスタグラムアカウント「フェムテクラブ」でインスタライブを開催。テーマは「76カ国を渡り歩いた孤児院ダンサーこうすけさんに聞く!世界の性事情・性教育ってどんな感じ?」でお送りいたしました。対談ゲストとしてお呼びしたのは孤児院ダンサーのこうすけさんです。
約60分間のインスタライブ内で展開された話題は多岐に渡りました。世界各国の性教育やや性産業、恋愛や結婚について、さらには驚愕の性事情など、中には少しばかり踏み込んだ内容も。こちらの章ではその中から特に衝撃的だったトピックをご紹介いたします。
中東に位置するレバノンを訪れた際、一夫多妻制の家族を訪問したこうすけさん。そういった地域では、日本のように浮気や不倫はご法度という風潮が薄く、夫は複数の妻や子どもたちに等しく愛情や教育の機会を与えるのだそうです。
例えば、月曜日・火曜日は1人目の妻のところ向かい、水曜日・木曜日は2人目の妻の元へ向かい、金曜日は全員が揃って過ごすといった模様。一夫一妻制が敷かれている日本で生活していると、こんな光景が珍しくないなんて想像に難いですよね。
続いて、児童買春が横行している地域(インド・ネパール・バングラデシュ・ラオス)を訪れた際にある1人の子どもと出会った時のエピソードをお話ししてくださいました。出会った当初こうすけさんはその子どもを男の子と認識していたそうなのですが、後から女の子であるということに気付いたそう。
後にこうすけさんは、その子どもが過去に父親から性被害を受けていたことを知りました。ひょっとするとその子どもは、自分が父親に性被害を受けてしまったのは自分が”女性”であることに起因すると考えてしまい、その事から男の子に見えるような恰好をしていたのかもしれません。子どもにとって父親の力は不可抗力のようなものであり、父親の行動を疑うのが難しかったのではと察しがつきます。
自分の受けた性被害をきちんと性被害として認識することが出来ず、終いには自分を責めてしまった小さな子どもを思い浮かべると心が痛みました。
日本では、性の話題は公に口にすべきではないという風潮が根付いていますよね。この風潮は元を遡ると教育によってもたらされたものであることをご存知でしょうか。簡単に述べると以下の通りです。戦後の混乱期、日本では売春が横行していました。そんな社会を改善するために国は「純潔教育」を国民に浸透させることを計画します。
「純潔教育」とは「結婚までは性交を控え、結婚後は夫婦間以外に性交渉をしないこと。 また性道徳(結婚当事者間のみに性的交渉を認めそれまでは性を抑制する)を広めること。」といった意向に基づいた教育方針。そのような考え方を基に成り立った家族を健全で幸福な家庭像として描き、いわゆる「正しい」家族として打ち出しました。
このように、結婚という枠に当てはまらない性行為を間違ったものとして扱う教育を推進することで国民に性のタブー視を意識づけました。以上のような背景から日本では性に関するトピックが濁され、性教育の場面でさえも曖昧な内容でしか教えられてこなかったという訳です。
近年人口増加が著しく、次世代を担う国家として注目を浴びているインドですが、性教育にスポットを当てると保守的な傾向が見られます。インドの大部分の地域で踏み込んだ内容を扱う性教育が学校教育に組み込まれておらず、その教育は非営利団体や民間団体に委託されているのです。積極的に性教育が行われない原因として考えられるのがカースト制。
インドではカーストによる身分制度に基づき、出産行為は「正しい」結婚の中に位置づけられており、性行為も結婚の範囲内に収められるべきとされています。従って、性教育は結婚を前提としない性行為を認めることになると捉えられてしまい嫌煙されるのです。
この方針が災いしたのか、国連人口基金が発表した2013年のリポートによると、18歳前に第1子を出産する女性の割合は全体の28.5%に上ります。詳細は異なるものの「正しい」結婚や家族という常識を根付かせ、そこからはみ出るものをタブー視するという考え方は日本とインドで近しいものを感じますね。
性教育をリードする北欧地域に位置するオランダの性教育はなんと4歳からスタート。幼稚園や保育園で絵本を用いた学習が行われ、子どもは幼いころから性の知識に触れます。続いて、第二次性徴が見られる11歳ごろになると学校の授業内で性教育が行われます。日本の性教育のように内容を濁して伝えるのではなく、性に関する用語や知識をダイレクトに学んでいきます。
加えて、日本の性教育に比べて教える内容の範囲が広く、性的アイデンティティや性同一性、プライバシーについて、ジェンダーと社会、恋人との行為の線引き、性的魅力、またインターネットにおける性の取り扱いなど、多角的に性教育が施されます。
特徴的なのが、授業は男女一緒に行われていることや、ディスカッションやプレゼン方式を取り入れていること。このようにオープンなスタイルの学習を通して、子どもたちが多様な価値観を認め合うことを促進します。
いかがでしょうか?当たり前だと思っていた性に関する常識も、一歩世界に飛び出ればまるきり異なることをお伝えできていればと思います。(記事内に登場するインスタライブの全編は下記に載せておりますフェムテクラブのIGTVよりご視聴いただけます!)さまざまな価値観を知り選択肢を増やした上でどれが自分にとって最適なのかをチョイスすることで、人生を自分らしく、心地よく歩んでいくことが出来るのではないでしょうか。
関西在住の大学生。「わたしの性は、じぶんゴト。」というテーマでフェムテックグッズを紹介するフェムテクラブ(Instagram @femteclub)を運営。大学ではジェンダーについて学ぶ傍ら、台湾好きが高じて中国語学習に奮闘中。
最近の記事
Recent articles
♯グッドバイブスウーマンvol.5<山田祐実さん/フリーランスカメラマン>
#グッドバイブスウーマン。その方の信念や生き方、在り方がわかるような、「10の質問」をお届けします。本連載は、グッドバイブスな友人・知人をご紹介していくリレー形式。第五回目にご登場いただくのは、フリーランスカメラマンの山田祐実さん。
2024.11.12
Interview
「Plantfulな暮らし、始めませんか?」持続可能な社会の在り方を提案するイベントを11月17日に開催!
人々のウェルネスと地球保全のために、プラントベースの食習慣を日本に広める活動を行う、イタリア在住のヴェルヌ華子氏の来日に合わせて、環境活動家である深本南氏を招いたイベント「Plantful Inspirations 2024」を代官山のForestgate Daikanyama TENOHA棟 CIRTY CAFEにて開催。
2024.11.05
Wellness
私らしい“ボスの在り方”とは、愛を伝え合うこと。大学生で出産、そしてアフリカで起業家になった菊池モアナさんの言語を超えた寄り添い方とは
タンザニアで起業、生理用ナプキンの工場長になった菊池モアナさんにインタビュー。若年妊娠で退学したタンザニアのシングルマザーが働ける場所を作るために、生理用品の製造・販売を行う「LUNA sanitary products」を立ち上げたモアナさん。さまざまな経験を経て、相手と寄り添うことで社員との関係性が改善されていったとか。その経緯やストーリーを伺った。
2024.11.05
Interview
Career
【maison owl】/1日1組限定・全館貸切の宿泊体験「suite stay experience」一般予約を一部開始
本質的なモノ・コト・旅を紹介する「My Muse Selection」。今回は、10月1日(火)より、1日1組限定の「suite stay experience(スイートステイエクスペリエンス)」を一部、一般向けに予約開始した「maison owl(メゾンアウル)」をご紹介します。
2024.10.30
Wellness
「子どもとの時間は、人生そのもの」母になってもブレなかった福田萌子さんの在り方とは
2020年に配信された『バチェロレッテ・ジャパン(Prime Video)』に初代バチェロレッテとして参加し話題となった福田萌子さん。番組内では、自分の意見をハッキリ相手に伝え、誰に対しても真摯に向き合う姿が印象的でした。そして福田さんは2023年に第一子誕生を報告。母となった今、生活や心境に変化はあったのでしょうか。
2024.10.26
Interview