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Interview

Career

「自分の可能性にオープンであることが、新しい道を切り拓く」NY在住キュレーター・斯波雅子さんが導く日本アート界の新境地

#海外で挑戦する女性 #新しい時代のウーマンズリーダー

NY在住歴は約20年。現地でアート団体を運営する斯波雅子さんにインタビュー。大学時代からアートに魅了され、アート界の中心地でもあるNYで転職を繰り返しながらアーティストをサポート。2020年に独立し、アート&テック系の事業会社や非営利団体を立ち上げた彼女。活動の真意や、そのうえで大切にしているマインドなどを伺ってみました。

Photo by Dave Krugman

2024.12.05公開

PROFILE

斯波雅子/Masako Shiba

ラトガーズ州立大学美術史学部を卒業後、20年以上もの間ニューヨークを拠点として主にアジア文化系団体でのマネジメントに従事。ジャパン・ソサエティー・ギャラリーやアジア・ソサエティ美術館に勤務した後、アジアン・カルチュラル・カウンシル日本財団の初代事務局長を経て、現代アート事業会社の起業に取り組むとともに、ブルックリンの非営利団体J-Collaboの初代エグゼクティブ・ディレクターを務めた。その後、新たにBEAF(ブルックリン実験アート財団)を共同創立し、アーティスト・レジデンシー・プログラムや研究支援を通じて、日本人をはじめとしたアーティストのサポートを活動の主軸としている。

また、コンセプチュアルなデジタルアートでの事業化を目指し、Web3関連企業ONBDを共同設立し、宇宙事業スタートアップSpacetainment社でアート事業の統括を務め、史上初の国際宇宙ステーション外壁での展示プロジェクトを監修。さらに、Study vol.3大阪関西国際芸術祭の一部企画展キュレーターとしてその作品を世界初公開展示するなど、様々な機関に関わっている。近年は特にデジタルアートのスペシャリストとして、サンフランシスコのアジアンアート美術館で開催された村上隆個展の公式カタログに寄稿し、NFT NYCやWebXなどの学会で登壇の機会も多い。

@masakoshiba

安定したキャリアより、アーティストが輝く場所を追求

―斯波さんはNY在住歴が約20年とのことですが、NYへ移住した最初のきっかけは?

斯波:大学在学中の留学がきっかけです。そこで美術史という学問に出会ったことが、私の人生を大きく変えました。一年間の滞在のつもりが、美術史の学位をとりたくてもう一年いて、卒業後はそのまま(NYに)住んでしまいました。

―美術史に魅了された理由は?

斯波:美術史を学んだことで、アートというものは作品すべてにものすごく深い世界が隠されていることを知り、それがまるで謎解きをしているような感覚だったんです。アーティストそれぞれの考え方もまったく違うことも面白いし、同じ作品を観ていても、人によって捉え方は異なる。どれも正解で、どれも間違いじゃないという、それぞれを認め合う姿勢も素晴らしい。美術史に魅了されたことで現代アートにも興味を持ち、いろんな作品と触れているうちに、「アーティストというものは新しい物の捉え方を提示する人だ」ということがわかってきて。「それって最高じゃん!」と、どんどんハマっていきました。

―なるほど。とても哲学的ですね。

斯波:「この面白さをもっと多くの人に知ってもらいたい!」と、在学中はメトロポリタン美術館でインターンとして働き、作品の面白さやヒストリーを知ってもらうためのレクチャーやツアー企画作りに携わりました。それがとても楽しかったです。

―卒業後は何を?

斯波:まずは日系のケミカルメーカーに就職しました。いきなりアートの仕事に就けるとは思っていなかったですね。まわりにも、「アートを仕事にするなら大学院まで行かないと難しい」と言われていたので、アートは趣味で楽しもう、と思っていました。「ひとまず就職を」と思って採用募集を探していたところ、人材紹介会社からその会社を紹介してもらって、失礼ながら「面接の練習」くらいな気持ちで受けにいったら、なぜか受かりました。

アートのことしか知識はないけれど、「何にでも興味はあるのでがんばります!」とやる気だけは見せたので、そんな私を面白がって採用していただけたのではないか、と思います。本当にありがたいことです。

そこはNYでの新規事業として立ち上げたばかりだったので、最初は社長と私のふたり体制。おかげでなんのスキルも知識もありませんでしたが、ビジネスの世界を勉強する機会を得られました。今思えばその経験があったので、何か新しいことを始めることに対してそこまで二の足を踏まないし、大きなマインドセットになったと思います。

ーそこからアート業界に携わるようになったきっかけは?

斯波:いろんな巡り合わせの結果なのでひと言でそのヒストリーを伝えるのは難しいのですが、まわりから「これやらない?」と誘われて、面白そうものに「うん」と答えているうちに今にいたる、という感じなんですよね。いっとき、米系エアラインで客室乗務員をしていたこともあります。

その後は、SOHOの小さな非営利団体でアシスタントとして初めてアート界での仕事に就きました。それからオークションハウスにいた後、ジャパン・ソサエティー、アジア・ソサエティー、アジアン・カルチュラル・カウンシルと、主に日・米・アジア間の文化交流をサポートする非営利団体に所属していました。結果として8回も転職しましたけど、一貫しているのはアーティストがやっていることがただただ面白いので、そこに携われて、さらにアーティストたちをサポートできることはなんだろう、と考えてきたことかもしれません。

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アジア・ソサエティー時代の斯波さん

―華麗なるキャリアを積まれてきたわけですが、2020年に独立されたかと。その経緯は?

斯波:独立したのは、コロナがきっかけです。世界的なアクシデントに対して急に新しい体制へと変えることがアーティスト支援には必要で、それであれば、独立して身軽になって今できることをやろう、と思ったのです。コロナという災禍のタイミングでどうやったらアーティストをサポートできるのか、というところを軸に事業を考えたところ、注目したのがデジタルテクノロジーでした。

―NFTなども一時期、流行っていましたよね。

斯波:そうですね。ちょうどNFTなどのブロックチェーンが市場に入ってきたタイミングではありました。私もアート&テクノロジーの可能性を発見したところでした。ただし私の場合、「お金を儲ける」というところをうっかり失念してまして(笑)。前職が非営利団体であったこともあり、あまりビジネスという文脈では考えていなかったんです。

それゆえ当時から、ブロックチェーンアートの世界において私はかなり異質な存在だったと思います。非営利団体出身でクリプトアートに携わっている人なんて殆どいませんでしたし、いわゆる金銭的なアンビションがあった人たちが多く集まっていましたから。それが悪いというわけではなくて、私とは毛色が違う、というだけのことなのですが。

―でも、運営していくうえで資金は必要ですよね。

斯波:もちろん。ただしお金儲けが主目的ではなくあくまでアーティストのサポートを優先したい、という考えです。非営利団体に勤めていたときは、資金調達をずっとやってきたのでその経験を活かせていると思います。特にNFTのマーケットはアップダウンが非常に激しく、起業当時は爆発的に延びましたがその後暴落したこともあり、その間にビジネスを目的とした人たちは一気に去っていきましたね。今月に入って突如またビットコインを中心として市場が復活してやや安定はしていますが…。

オープンマインドでいた結果、思いがけず関わった宇宙事業

―現在の事業の具体的な内容を教えてください。

斯波:独立してからは、web3アートの事業会社ONBDと、ブルックリン実験アート財団(BEAF)という非営利団体を立ち上げました。ONBDではキュレーションを中心にweb2のアーティストをweb3にオンボーディング(教育)することを行いつつ、クリエイター向けのプラットフォームのベータ版を立ち上げました。

BEAFでは、日本のアーティストをNYに招いて、ポテンシャルを最大限に引き出し世界で活躍できるアーティストに育てる、レジデンシーという企画を現代芸術振興財団さんとのコラボで行っています。今年第一弾のプロジェクトとして日本のアーティスト、髙橋銑(たかはしせん)氏を選出し、NYへ招き3カ月間、活動してもらいました。NYならではの出会いや体験をしていただいたことで、彼にとっても私たちにとっても、予期せぬ変化が生まれ、想像以上の成果を得られたと思っています。

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高橋銑氏はブロンズ作品の修復スペシャリストでもあり、近現代彫刻の保存修復に携わりながら作品制作を行うアーティスト。

―そもそも、日本のアーティストは世界ではどのように見られているのですが?

斯波:そこまで知られてないですし、日本中心で活動しているアーティストが多く、積極的に世界へ出てきている人が少ない印象があります。私は、(日本人アーティストが)もっと世に出てくるべきだと思っています。日本人は“言語”を壁に感じる人が多いようですが、そこは実は問題ではないのです。前述のプロジェクト公募をして面談をしていたときも、英語ができるかどうかではなく、コミュニケーションをとろうとする意志があるかどうか、を見ていました。実際、こちらへ来てしまえばなんとかなるものです(笑)。

―日本人は英語が苦手だと途端に話さなくなるところがありますよね。

斯波:NYではたとえ英語を間違えても、気にしない人がほとんどです。まず、アーティストはただただ素晴らしく在ればいい。それが第一です。そのサポートをするのが私たちの役目なので。アーティストは、自分にしかない視点を持っていて、それを具現化したものが作品となります。アーティストが自分の殻をやぶって、自身のユニークさ、オリジナリティを自覚するには慣れた場所から離れて挑戦するのが一番手っ取り早いんです。

そういった意味で、NYは多様な創造性があり、情報もあらゆるOpportunity(機会)も豊富で、スピードも早く人々にインスピレーションを与え続けるような街なので、効率的な場所なんです。NYを拠点としているうちの財団ではヨーロッパ等世界のどこの団体ともタイプが違うアプローチができると思っています。

―「アーティストは素晴らしく在ればいい」は刺さりました。それは真髄かもしれませんね。個人の発信ができる時代なので、全部自分でやらなければならないような感覚に陥っていました。

斯波:もちろん、そういったことが得意なアーティストもいるでしょう。いずれにせよ自分がやっていることの完成度を高めていくだけでよくて、何かに迎合する必要もない。アーティストがいきいきと輝ける場所をつくるために、キュレーターやギャラリー、私たちのようなサポーターがいるわけですから。

―こういった活動でアート界が活性化することで、どういったものが生まれると考えていらっしゃいますか?

斯波:「何をもって成功とするか」だと思うのですが、たとえば今回のレジデンシープロジェクトは「成功した」と捉えていて、その理由は彼の抽象的な成長を基準にしています。プロジェクトを通して予想外のことがたくさん起きて、それがとても面白かったんですね。そうなるためにはアーティストだけではなく、サポートする側も常に“オープンであること”が第一条件です。とにかく「思っていた以上に楽しかったね!」がゴールなんです。

―最高ですね。何事にもオープンであることは、人生においても重要なポイントかもしれません。

斯波:そうですね。それはコロナ禍があって私も意識したことでもあります。安定したポストを辞めて独立したとき、プライベートなことではありますが、ちょうど自分が離婚したタイミングでもありました。公私ともにマインドがリセットされ、既存の枠からはずれた感覚があります。同時にヨガや瞑想を始めたので、どんどんマインドがオープンになっていきました。

―「こういうものだ」という概念がはずれると世界が一気に広がりますよね。

斯波:わかりやすい例でいうと、独立して割とすぐ携わったのが宇宙事業でした。NYを拠点に活動していたコンセプチュアル・アーティストの野村康生さんが、ざっくり言うと「作品を宇宙に飛ばしたい」と言ったことがはじまりでした。

「え、宇宙?」と驚きましたが、その話を聞いた5日後にはドバイを訪れ、一緒に国際宇宙学会に出席していました。その後、この事業を面白がってくれたSPACETAINMENT(グローバルに展開する宇宙エンターテイメントスタートアップ)がプロジェクトとして採択してくれ、同時に私も全社のアート事業統括に就任しました。野村氏の作品は2023年3月にアメリカのフロリダ州にあるジョン・F・ケネディ宇宙センターより打ち上げられ、ISS(国際宇宙ステーション)外壁で約3カ月展示され、宇宙の旅を経て無事地球に帰還しました。私はキュレーターとして携わりましたが、まさかアートの仕事をしていて宇宙事業に関わるとは思っていなかったですから(笑)、人生何があるかわからないものです。

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プレス発表会でプロジェクトを発表

―オープンでいることで、あらゆる機会に恵まれる可能性が広がるのかもしれません。

斯波:そう思います。いろんなことに興味を持っていれば、思ってもいなかった角度から機会がやってくる、ということが証明された一例だと思います。そういった境界線のないマインドでいるために、日々のメディテーションは大切だと感じています。

―そういった意識でいるために具体的にはどんなことをされているのですか?

斯波:毎日、「感謝ノート」は書いています。ノートに感謝していることを書くことで、目の前にある小さなことに目を向けるのに助かっています。感謝日記をつけるアプリを使うのもおすすめです。私が使っているアプリは「子どもの頃の記憶で感謝していることは何?」などお題を出してくれるので、いろんことを考えるきっかけにもなります。電車に乗っているときなど移動しながらアプリを活用して記入できるので、忙しいときでも忘れないですむので便利です。

家の中では、528Hzの音(※)を流したりもします。とにかく自分がいい状態でいることが全体にもいいと思っているので、自分が心地いいことは何かを知ることはとても大切だと考えています。たとえば私の場合、会議の前はカフェでコーヒーを飲んでからのほうが調子がいいし、その方法やツールは人それぞれ。それが選べる環境でいることも大事ですね。

(※)528Hzの周波数音は、副交感神経を刺激して心身を安らぎモードに導く「愛の周波数」といわれている。

―自分がいい状態になる方法を選択できる環境、ということですね。

斯波:みんながそれをできる社会が理想ですよね。

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コロナ禍に始めたヨガをきっかけに、日々マインドフルネスな状態を意識するように

それぞれが自由な選択ができる社会に

―「My Muse」では「よりよい社会」というのもテーマのひとつです。よりよい社会とはどういったものだと思いますか?

斯波:何か壮大なテーマを持つこと以上に、たとえば何か自分にチャンスが来た時にそれをキャッチして、ちゃんと楽しむことができる状態であることが素敵だと思っています。それをみんなができるような社会がいいですね。

そして、楽しいこともやりたいことも、生きていれば変わり続けていくものだと思っています。アートに関わっていると、アーティストたちはそれを常に具現化して作品にしてくれる存在で、とても人間らしい生き方なのでは、と思っています。私はその近くにいるだけで自然と楽しいことが多くなっていくんです。だからアートに携わっているのだと思います。飽きることがないんです。

―斯波さんは今の事業においてリーダーという立場なわけですが、斯波さんが考えるリーダー像とはどんなものでしょうか。

斯波:関わっている人たちそれぞれの持ち味を発揮できる環境・状態をつくることが、リーダーの役目かな、と思っています。私自身、そういった上司に恵まれてきたので働きやすい環境でしたし、楽しく仕事ができていました。なので、自分もそう在りたいと思っています。

―そういった状態にするために大切にしていることは?

斯波:相手を信頼すること、かな。私はマネジメントというものはあまりしません。おだてるとも違くて、何においても相手を尊重しながら信頼して任せるようにしています。ラッキーなことにプロジェクトメンバーやクライアント、学生インターンも含めて、いつも優秀な方ばかりまわりに集まってきてくれるので、助けられることばかりです。本当にラッキーだなって思っています!

―それも才能のひとつですよね。さまざまなことに挑戦されていますが、これから海外で挑戦したい!という人に向けて、何かアドバイスはありますか?

斯波:「意外といけるよ!」という感じでしょうか。NYはとくにチャンスの場がたくさんあります。あとは決まったジャンルや職業、肩書きよりも同じ考え方やバイブレーションの人たちと一緒にいることで、ご縁は広がっていくと思います。

―ありがとうございます。最後に斯波さんが大切にしている言葉や信念みたいなものがあれば、教えていただけますか?

斯波:今までお話してきたこととも通じますが、「自分にやさしく、オープンでいること」。自分の可能性に常にオープンでいることで、面白い人生を歩んでいきたいと思っています。そういう人生を生きるのに、アートはとても参考になるツールだと思います。ありとあらゆる考え方、面白い人たちがたくさんいるので、多角的な物事の捉え方を見つけることができるし、自分の考えと共鳴するアーティストを見つけたときの喜びもあると思います。今までアートに詳しくなかった人でも自分が好きなアーティストを探してみて、その人の活動を見ていくだけでも楽しいと思いますよ。

―それはアートの知識がそこまでなくても、可能ですか?

斯波:もちろん! 新たなアーティストが常に世に輩出されているので、知らないのは当たり前なんです。たくさんのアートを知ることよりも、「自分が面白い」と思った人を深堀りして見ていくほうが楽しいですよ。ぜひ、お気に入りのアーティストを見つけてみてください。

ONBD公式インスタグラム
BEAF 公式インスタグラム


アートの原義とは何か。

調べてみると、

『その本来の意味は「神の創造物」の対極にある「人間の創造物」であり、 哲学・文学・歴史ばかりでなく建築も含み、それらを学び研究することも指している』

という記述を見つけた。


その真偽はさておき、アートというものに触れることは人が生きるうえでも非常に意義のあるものになるのではないでしょうか。

それは、ただ「アートに詳しければよい」ということでもなく、誰を、何を、どんなふうに触れるかはその人の自由。

そして、豊かに生きるために活用できるものであることはたしかです。斯波さんの活動は、そういった豊かな世界が広がることを、後押ししてくれるものなのでしょう。

もし、「最近アートに触れてないな」という人がいたならば、これを機会にアートというものをもっと身近に感じてみてはいかがでしょうか。



取材・文/竹尾園美

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「自分の可能性にオープンであることが、新しい道を切り拓く」NY在住キュレーター・斯波雅子さんが導く日本アート界の新境地

NY在住歴は約20年。現地でアート団体を運営する斯波雅子さんにインタビュー。大学時代からアートに魅了され、アート界の中心地でもあるNYで転職を繰り返しながらアーティストをサポート。2020年に独立し、アート&テック系の事業会社や非営利団体を立ち上げた彼女。活動の真意や、そのうえで大切にしているマインドなどを伺ってみました。 Photo by Dave Krugman

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