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「闇こそ愛。本当の意味での“ゆるし”とは」瞑想家・Danaさん
♯グッドバイブスウーマンvol.8。今回お話を伺ったのは、瞑想家・Danaさん。実体験を経て、“自分を愛することから、全てがはじまる”ことを確信し、2018年よりヒーラーとして活動。Danaさんが考える本当の意味での“愛”とは?
2024.08.02公開
スペイン系フィリピン人の両親を持つDanaさんは、日本生まれで日本育ち。
“Dana(ダーナ)”という名前はヨガスートラで目にすることも多く、サンスクリット語で、「与える」という意味。
その名前の通り、この世界での在り方や瞑想法などを伝えながら、2018年よりヒーラーとして愛のある発信・活動を続けています。
この日はオンラインでのインタビュー。透明感のある美しい佇まいとやさしい笑顔、心地よい声は、話しているだけで癒しの魔法をかけられているよう。
インタビューを始めようとすると、Danaさんから「実は…」と、ここ数カ月で起きたドラスティックな変容について語ってくれました。
「半年ほど前にプライベートでとても辛い経験をして。それから自分の内側を改めて見つめ直し、魂がアップデートされるジャーニーが始まっていました。ようやくそれが着地しそうなタイミングでインタビューの依頼をいただいたので、とてもうれしいです」
そんなふうに、Danaさんは心のうちを話してくれました。
Dana:半年前に起きた出来事は、私にとって非常にショックを受けるものでした。心にぽっかり穴が空くような、予想もしていないことだったのです。それをネガティブなことだとジャッジして落ち込むのは簡単ですが、起きたことの本質を見つめないと、形は違えど同じような出来事が起きたり、根本的な解決にはならない気がしました。この衝撃や感情がなぜ発生しているのか? なぜこのようなことが起きたのか? そのことを知るためのジャーニーでした。
Dana:そんな感じです。それと同時にいままで大切にしてきたものまでこの衝撃で壊してしまわないように、まわりにある不必要なものを捨ててスッキリさせました。それから3食しっかり食べることも心がけました。落ち込んで食べないという選択をしてしまうと、心身ともにエネルギーが足りず自分にとって良くない方向へ傾いてしまうので。
そんなふうに物理的な整理やととのえをしながら、心も体も丁寧に見直していく作業でした。仕事もセーブして余白をつくり気づいたことは、私の体はボロボロの状態だったということ。まるで世の中の男性たちと肩を並べて同じペースで働き、気力で持ちこたえていましたが、立ち止まってみたらもう頑張ることができない、これ以上走れない体になっていた。それと同時に心もしんどくなっていたことに気づき、まずは心身ともに健康になるために立て直さないと!というのが先でした。
Dana:それだけ生きてきたなかで最も人生にとって大きな出来事だったので、自分にとっての転換期ととらえて、現実的なことも精神的なことも見直していったんです。いままで相当エネルギーを消耗していたようで、それまでたくさん食べても一切体重が増えずガリガリだったのですが、休みながら心身をととのえるとともに体重が5kg増えたんです。以前より体力がついて調子が良くなりました。
Dana:大事なことですよね。少しずつ回復したところでもともと持っていたヨガのTT(ヨガ指導者養成コース)をもう一度受けたり、南インドで信頼している精神指導者のもとへ訪れ、再びアライメントさせていただいたり、さまざまな学びをブラッシュアップしていきました。そして6月前半にはハワイのマウイ島でシャーマニックなセレモニーに参加し、自分の潜在意識の奥深くに触れることができました。いままで瞑想を習慣にしてきましたが、やはり多忙な生活のなかでは限界値があったのだと思います。このセレモニーをきっかけに、私はありのままの自分で生きてきたつもりだったのですが、実はまだまだ外側に意識が向いていたことに気づいたんです。
Dana:いままでの私も嘘偽りなく生きてはいました。これは本当に! でもこの半年でレイヤー(階層)が変わったというか、見えている世界が以前とは違うという感覚です。
私はこれまでずっと愛ややさしさというものを伝えてきていて、SNSなどの発信や人と話しているときに「これは言ってはいけないのかな」「こうやって言ったら傷つくかな」という考えを持っていました。与えるという立場である以上、「こうあらなければならない」という理想像も少なからずあったと思います。でも今回の出来事で本当にそれは“やさしさ”なのだろうか? というところに立ち返りました。
Dana:前述した「伝える・伝えない」ということでいうならば、“自分が一致している状態”で、自分が思ったことを相手にはっきりと言葉にするということはやさしさであり、愛だと思います。それは自己中心ということではなく、自分に忠実であるというだけ。真実を表現しているにすぎないので、受け取り側が理解しなかったり否定的な気持ちになったとしても、それはしかたないし、究極誰にどう思われてもいいというスタンスです。
つまり、「受容」の意味をはき違えていたんです。
Dana:「すべてを受け入れる」ということが受容だと思っていました。でもなんでもかんでも受け入れていては、それは自分を明け渡してしまい、自分がなくなることと同義なんです。本当の自己受容とは、自分の闇も光もすべてを認識し、直視をし、そのうえでそれらをすべてを含めたあるがままの自分を受け止めた状態だと思っています。
Dana:そう。とくにスピリチュアル業界でうす〜くエネルギーとして漂っているのが、器の大きい人でならなければならないという雰囲気。
人間関係を構築するにおいて一番課題となる部分では、異性関係がよくあるたとえ話としてあげられますが、たとえば「彼が女友達とふたりでごはんへ行く」という行為があったとして、それに対して寛容でなければならない、といったような。それができないと器が小さいとかエゴが強いといった風潮があるような感じがします。でも、もし「イヤだ」と思うなら、なぜそれが自分にとってイヤだと思うのかを明確にして、そのうえで真のコミュニケーションをとる、または相手とどう関わっていくかを前向きに自分なりに考えるということが、「受け入れる」ということなんじゃないかと。
Dana:こうなってみて、いままで私自身すべてを受け入れてしまって自分よりもそれ以外の対象にエネルギーを使いすぎていた気がします。そういった自分の感情を無視してゆるしてしまっていた。半年前にネガティブな出来事が起きたのは、それが具現化されただけだと思う。もうすでにそうしていますが、これからは会話のなかで違和感を覚えたらなぜそう思ったのか、なぜその選択をしたのかなど、その人の根幹につながるようなことを問いかけるようにしていきたいです。
Dana:そうなんです。それこそ、「闇こそ愛」なのではないかと。この衝撃的な出来事がなければ、気づきを得ることもなかったし、いまの自分に出会えることもなかった。自分が変わるきっかけでしかなかったんです。そんな素晴らしい人生のプロセスとして、差し出してくれた出来事だったんです。これはもう、愛でしかないと思っています。
Dana:21歳のとき、鬱になってしまったんです。それが人生の転機のきっかけにはなりました。19歳から渋谷にあるアパレルのショップ店員として働いていて、そのとき先輩たちがめちゃくちゃ怖かったんです(笑)。いわゆる縦社会で体育会系。この仕事は好きだったけれど、理不尽な怒られ方に耐えられなくて、すっかりメンタルがやられてしまいました。そのとき、『なんて自分は打たれ弱いのだろう』と、すごく落ち込んでいたんです。
そんなとき、ヨガに出会いました。当時はYouTubeで発信している人も少なかったから、本や雑誌を見ながらポーズの練習をしていました。そしてヨガを始めてから、現実がどんどん変わっていったんです。心が安定して、仕事がうまくいくようになりました。お店のなかでも売り上げは断トツでトップに。それも、売り上げがずば抜けていいのは朝ヨガをやった日だけ。それからどんどん自分のことを受け入れられるようになり、自己一致している感覚を味わえるようになっていきました。
Dana:それからヨガの魅力にハマっていって、南インドに渡りヨガ講師の資格も取りました。この喜びをみんなにシェアしたい!と思って、アパレルの仕事を辞めて、ヨガのインストラクターになりました。ですが、少し違和感を覚えることが多々あって…。
Dana:いまから8年ほど前になるのですが、ちょうどヨガがブームになりはじめて、当時受け持たせてもらっていたスタジオの方針も含めておそらくダイエットやトレーニング感覚でいらっしゃる生徒さんが多かったんです。心を見つめるプロセスではなく、ただポーズを取りに来ているような。それで最後のシャバーサナのときにゾロゾロとスタジオから出て帰ってしまう人が続出したんです。ポーズが終わってシャバーサナをしているときに感じる自己一致した感覚を一番味わってほしいし伝えたいことなのに、これでは本来のやりたいこと違ってしまうように感じました。ヨガのインストラクターは向いていないかも、と思いながらも何か活かせるものがないかと考えたときに、ヨガと一緒に学んでいた瞑想法をみんなにシェアすることで、私が本当に伝えたいことが伝わるかも!と思ったんです。それが2018年でした。
Dana:そうなんです。いまでこそメジャーになってきましたが、その頃はSNSで瞑想のことを発信している人を探してみたけど、まったくいなかった。でもこれからの時代に必要なことだという確信だけはありました。当時はInstagramのフォロワーが500人程度でしたが、そのつながっている友達500人でもいいから伝わったらいいなと思って、始めたんです。
同時に瞑想法の個人セッションを始めたのですが、ありがたいことに募集してすぐ満席になりました。受けてくれた人たちが「すごくよかった」とSNSや口コミなどで広げてくださって、そこから募集するたびに満席になって、広がっていった感じです。それから自分とつながる瞑想セッションや瞑想会、そのほかセラピストの育成などをしながら、自分を愛するということ、愛そのものについて発信し続けてきました。
Dana:お香は私自身が大好きで、部屋やセッション中、旅先でも持っていっていつも焚いています。お気に入りを見つけて買っていました。香りに包まれると空間のエネルギーが一気に変わり、外側に向いていた意識の矢印を、自分自身に向けやすくなるんです。瞑想法をずっと伝えていますが、忙しい現代は瞑想の時間をとることさえ難しい。少しでも瞑想に興味がある人、そうでない人にとっても、”香り”はすべての人にとって自分の内側に『間』や心地よさを生み出すきっかけになれる。そんなときのサポートとして使っていただきたいです。
あと、この活動をしていて思ったことは、発信をしていても同じ内容を受け取った相手の状況やフェーズによって捉え方や受け取り方の深度のようなものがまったく違うんですよね。発信やワークショップは届ける人数も限られているけれど、いつも伝えている目に見えない領域のものを可視化・物質化することで、時間軸も、空間も超えて必要な人たちに届いたらいいなと思い、形にしようと思いました。
Dana:そうなんです! とくに男性は見えない世界を毛嫌いする人も多いので(笑)、香りのものなら取り入れやすかったり、受け入れやすいのでは、と。実際に購入した一般の方から感想メッセージをいただいたことがあり、もともと目に見えない領域のことを生活に取り入れるのは好きだったけれど、旦那さんはあまり受け入れていない様子だったとのことで。ある事情があり、とても落ち込んだ日の夜に、奥さんがなにげなくお香を焚いたら、翌日の朝に旦那さんが「今日はなんだかいつもより心地いいな」と言って目覚めたらしいのです。その出来事が起こったことで空間を超えて、香りの力によって私たち家族は救われました、とお礼をいただきました。
男性や目に見えない世界に興味がない人たちでも物質の領域からモノを通してちょっとでも気分がスッキリしたとか毎日がより心地いいものになってくれたらうれしいです。
香りはもちろん、長さや太さ、燃焼時間、パッケージ、素材などすべてこだわった自信作です。
Dana:いままでは発信していて、「Danaさんの発信で救われました」とか、「こういう時代にこういうこと(愛などについて)を発信してくれることが喜びでした」といったようなメッセージをいただけると、誰かに貢献できたと感じてとても喜びに感じていました。もちろんいまでもうれしいのですし、私の発信で誰が豊かになってもらえたらというのは変わらないのですが、いまは優先順位が「自分に忠実でいること」が先なんです。もちろんいままでもそうでしたけど、自己一致している私の心から溢れ出てきた言葉を伝えているだけ。その結果、誰かのためになっているという流れなのかなと。
Dana:そうです。そして、女性の自立を促していく発信をしていきたいです。誰かを「すごい!」と崇めたりするのはとても安心感が生まれるものではあるし、それで救われることも、もちろんあると思います。ただそれは、揺るがない自分になるために、本来の自分自身へ回帰していくために根本的な心の解決にはなっておらず、正しさを示してもらわないと自分で選べないという人生が続いてしまいます。
人を尊敬するのは素晴らしいことだと思うんです。お互いに健全なバウンダリー(自者と他者との境界線)が保たれているので。でも、依存になってしまうと自己認識をしないまま、自分に選択する力があることを忘れ、誰かに頼り続け、自分を完全に明け渡してしまう人生になってしまう。依存的になってしまう部分はあると思いますし、最初は依存があってもいいのかなと思います。
ただ目指すことは本当の自分を知り、本質をみることができ、自分で自分の人生を選択できるような精神的にも物理的にも「自立した人」を増やすこと。それが今後の発信する目的です。
Dana:本当に自分が心地いいと思えるものに触れた瞬間でしょうか。目で見えるもの、耳で聞こえるもの、口にするものなどの五感すべてが自分の心地よさと一致したときは、とても幸せに感じます。それが顕著に出るのが「旅」だと思っていて。
旅はゼロの状態から宿を決めて、食べるものを決めて、どういう服で過ごすかを決めて、自分が「こうしたい」と思って選び抜いた結果が出る。ひとつひとつを妥協せずに決めているから、自分にとっての最上級のものが生まれるんです。
それに日常では味わえない、非日常のなかでは目にうつる自然や人々も新鮮。目の前のものすべてが美しく、心を動かしてくれるので、改めてこの世の豊かさを感じさせてくれます。
Dana:まず、自分がどういう状態かを観察します。外交的なのか、内向的なのか、どういう人に出会いたいのか、何を感じたいのか。そして、その場所にいって受けたエネルギーによってどんな自分に変容するのかを想像します。ただ漠然と行きたい場所を決めるというよりは、そうやっていまの自分の状態にフィットする場所やよりよくなる場所や土地を感じてから選びますね。あとは、自然もあって仕事もしやすい環境だということも大事にします。
Dana:その土地の磁場も気にするかもしれません。たとえばオーストラリアは日本とまったく逆の磁場なんです。つまり、日本の生まれ、日本の食物、お水で育った人が、まったく真逆の磁場であるオーストラリアに行くと自分の概念もガラッと変わりやすい。真逆の磁場なので、もちろん気候も、人の動きも、食事も、生活のリズム感も違います。概念ががらっと変わると心境や状況によってさまざまですが、たとえばプロセスに入ってしまいがちなので、ただ仕事をしにいくとかいまの現状を維持したいときには合わないな〜、とか。
Dana:はい。日本から見てどの位置にあるのかを考えて選ぶのも楽しいです。
Dana:2018年からずっと心の内側を扱う活動をしていて、最初はマンツーマンで、少人数のワークショップ、大人数の講座、そして不特定多数の人々…といったふうに広がっていきました。これまでは“対ひと”という感じだったのですが、今後は事業として拡大していくことで、より多くのひとに思いが届くような展開をしていきたいと思っています。
Dana:まだ、イメージの段階ですが法人化する前からずっとイメージしていたことがあって、訪れた方々が心が豊かになるようなホテル事業や、施設、飲食店など、お客さまだけでなくそこに携わるスタッフやクライアント、すべての人たちにいい貢献ができるような事業を生み出していきたいです。
そして、そういう感覚や同じ志を持った女性リーダーを増やしていきたい。愛の視点で持てる事業家たちが増えたら、この世界はもっといいものになるんじゃないかな。
Dana:はい。いまの休息期間は、こういった新しい活動をするための充電期間なのかもしれないですね。これからの自分が、とても楽しみです。
Dana:私は、私の目の前に差し出されたものすべてに対して信頼しているんです。だから、いま見えているすべてが「愛」。「これが愛です」とはっきり言葉で言えないけれど、そういうものなんだと思います。
「愛とは」を伝えるのは非常に難しい。
形がないものゆえに、言語化するにも人によって捉え方は異なるであろう。でもそれでいい、ということ。
何が起きても、どんなことがあっても、それもすべて愛。そう思えれば、生きることがとても楽になるのではないでしょうか。
そしてそう思えない日があってもいい。
みなさんが考える「愛」とはなんですか? 一度、考えるきっかけにしてみてください。
取材・文/竹尾園美
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