PMSや生理で悩む女性にピルという選択肢を。より女性が生きやすく、暮らしやすく、働きやすい社会に向けて。日本初となる膣内フローラチェックキット「Ubu Check kit」、妊活女性に向けた「Ubu Supplement」、自宅にいながらにしていつでもスマホで産婦人科医の診療を受診でき、最短翌日にピルが届くオンラインピル診療サービス「mederi Pill」をリリースした、mederi株式会社。

若くして上場企業の女性向けWebメディアの運営に携わり、COO、代表取締役といった華々しいキャリアを積んできた、mederi代表の坂梨亜里咲さんから、起業するまでの経緯や、自身の原体験、セルフラブで大切にしていることなどを伺います。

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Webメディアの社長を退任して、自らフェムテック企業を立ち上げたとか?

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はい、大学卒業後、ECコンサルティング会社にてマーケティング及びECオペレーションを担当していました。女性向けWebメディアのディレクター、COO、代表取締役を経験した後に、自らの4年に渡る不妊治療経験からmederi株式会社を設立しました。

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不妊治療が起業のきっかけに?

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はい、26歳から不妊治療を始め、毎年300万円、多い年は500万円ほどのお金を不妊治療に使ってきました。それでもまだ子どもの顔は見れず、お金と時間をかけても手に入らないものがあることを初めて知りました。「20代だったら子供が産める」「不妊に悩む人がいるらしいけれど、このご時世、最新医療でどうにかなる」と思っていた自分を後悔しています。 私の唯一の長所は、”発想の転換ができること”かもしれません。不妊治療をはじめて3年経った頃、「私の人生はこのままだと失敗で終わってしまう」と思い、どうせならこの不妊治療を宿命だと捉えることにしました。1人でも多くの女性に後悔のない人生を送ってほしい。そして大事なパートナーと、新たな命に繋げてもらえれば、私の負の体験がプラスに変わると思い、起業したのが、mederi株式会社です。

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代表取締役まで務めた女性向けWebメディアの方では、フェムテック系の情報を発信していなかったんですか?

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ファッションやメイク、恋愛など、「女の子のLOVEを応援するライフスタイルメディア」を謳っていたので、ハッピーでキラキラした世界の読者に対して、そういったシリアスなフェムテックの情報をどのように届けたら良いかわからなくて。社内で新しいメディアを立ち上げたかったんですが、それ以前に私自身が情報を発信するだけじゃ物足りなくなってしまったのもあります。 あと、妊よう力を高めるにはどうした良いのか、子供を身籠もるためにはどうしたら良いのか、ただ情報だけをキャッチアップするのが嫌だったので、もっと本質的なことをしたい、いち早く自分でアクションを起こさなきゃって強く思っていました。 不妊治療をずっと続けていたし、ゼロから立ち上げる事業をしてみたいというのは頭の片隅にありましたが、ずっと起業のタイミングを見計らっていました。 そしてわずか1ヶ月くらいの間に、もう今だ!と思い立って、会社を辞めたいとお伝えし、起業しちゃってました(笑)今になって、ゼロイチで起業することがこんなに大変だったのか!と痛感しています。資金調達の面など特に。前職は上場会社の中の子会社社長で、随分守られていたんだなと。あの立場にずっといたらこの苦労は味わえなかったですね。

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そういえば前澤ファンドの出資を受けたというニュースを拝見しましたよ!

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そうなんです、より多くの人にmederiの事業を知ってもらうきっかけになりました。影響力のある人が、しかも男性が経営に携わってくれるのは心強いなと思います。私にはない視点を持っているのでありがたいです。ハンズオンで向き合ってくださり、月1-2回は前澤さんご本人とミーティングさせてもらっています。

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my-museは「自分らしく、心地よい人生を歩む」という自分らしさを大切にすることがテーマの媒体ですが、自分を好きでいるために心がけていることはありますか?

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会社名が「自分を愛でる」で「mederi」なので、まさに「セルフラブ」が共通点です! 私の場合、ライフステージごとに成功体験よりも挫折を多く経験してきたので、自己肯定感が極めて低く、自分を好きって思うのがとっても難しいんです。だからこそ「私のことを好きで褒めてくれる人」と定期的にコミュニケーションをとるようにして、客観的に自分を好きになれるように努力しています。もちろん自分に厳しい意見も大事なんですが、ポジティブな意見をくれる、褒め称えてくれる人がいた方がうまくいきます。そうしたらいつのまにか社内でも褒め合う文化が浸透していました。社長って当たり前ですけどなかなか褒めてもらえないんですよね(笑)誰かを褒め続けると、褒め返しが来るっていうような良い循環ができています。 あと、ネガティブがゆえ、常にAプランとBプランを持つようにしています。2軸を設けていると、残念な結果になった時も絶望感はそこまでないんですよ。予防線を張っているんでしょうね。 よく何事もうまくいっている印象を持ってもらえるのですが、私としてはどちらかといえばうまくいっていない体感値は多いんです。たとえBだったとしてもベストプランに見せられているんだと思います。軌道修正力って大切だと思っていて、軌道修正できないといつまで経っても自分が苦しい。柔軟に、臨機応変に対応できる、しなやかさが大切な気がします。

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会社としての今後の展望はありますか?

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mederiをたくさんの方々に愛されるブランド、会社にすることですね。もっと認知度を高めて、「あのサービスいいよね」って体感してもらいたいです。 きっとサプリメントはバッグの中に潜んでいたり洗面台に置かれていると思いますが、いずれはピルに止まらず、ホルモンに着目したスキンケアだったり、アロマオイルだったり…寝室からトイレ、バスルームまで部屋を丸々構成できるような、健康に寄り添いながら、ユニセックスで使えるようなプロダクトを開発したいですね。 今は本質的なところにフォーカスしているので、解像度は低いですが、もう少しライトに、ライフスタイルによったラインナップを作って、タッチポイントを増やしていきたいという構想もあったりします。 妊活っていうとどうしても堅苦しくて重々しいイメージがありますが、自分を見つめ直す時間が楽しいとか、ネガティブな領域をポジティブに変えていきたい。それが理想です。

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my-muse読者へのメッセージをお願いします。

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私は幼い頃から自分と向き合う習慣があり、5年後の未来から逆算して、今すべきことを考えるようにしています。その結果、31歳の今でも夢がいっぱいあって毎日がハプニングとサプライズの連続で、結果的に自分の好きなリズムと温度感の世界にい続けられています。 生きていくうえで最も大切なことは「健康」です。心身の健康はもちろん、定期的な検査を通して女性特有の身体の変化をチェックし続けてほしいです。 エイジレスな人生が送れるようになり挑戦し続けられる現代でも、生殖機能には確実にタイムリミットがあります。 「どんな人生を送りたいか?」と常に自問自答して、その都度納得のいくアップデートをし続けることが後悔のない人生につながるはずです。

mederi株式会社

■Writer's Profile

渡辺由布子 Yuko Watanabe

17歳から読者モデルとして「Vivi」「JJ」「non-no」など多数女性誌に出演。MBSラジオパーソナリティとして出演。大学卒業後、化粧品会社勤務を経て、フリーランスに転身し、ヨガインストラクターを務める傍ら、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は40カ国以上。特にタイに精通し、渡航回数は20回以上。ハワイ留学経験有り。現在は拠点をロサンゼルスに移し、東京と行き来してデュアルライフを送る。

Life is a journey
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Twitter:@watanabe_yuko

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