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日本橋兜町の別世界へ! マイクロ複合施設「K5」とは

かつて江戸五街道の起点であった日本橋は「コトはじめの街」として様々な文化を発信してきました。中でも明治期以降日本経済の中心地であり続けてきた日本橋兜町が今、更なる生まれ変わりを遂げようとしています。マイクロ複合施設と謳われた「K5」がその1つ。K5とはいったい何なのか、今回はそこに広がる別世界へとご案内いたしましょう。

2020.11.28公開

K5とは

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東京証券取引所の裏手にひっそりと佇む重厚な石造りのビル。古めかしいこの外観は、国内初の銀行として建てられた築97年の建物を利用しているから。無機質な金融街にここだけ洒落た明りが灯って…一体何だろうと足を踏み入れると、そこにはK5独自の世界が広がっています。

マイクロ複合施設とは、地域に根差したより小規模で多面的な施設のこと。つまりは、ホテルでもあり、レストランでもあり、バーでもあり。1つの建物の中で、コンセプトは同じながらも宿泊や飲食などの独立した機能を楽しむことができるのです。

K5で体験できること

独創的な宿泊体験 HOTEL K5

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K5の世界感を最も味わえるのが、ホテルとしての宿泊機能。中でも特徴的なのが客室前の廊下部分です。客室を内側に、廊下を外側に配置したことで、廊下に自然光を取り込むようになっています。すぐ外側には首都高が走るため、夜はすりガラスに車のライトが反射して幻想的な空間を作り出します。都会的な日本橋らしさを演出する面白い仕掛けといえるでしょう。

また、廊下から各客室へのアプローチ部分はタイルの柄を変えて曖昧な境界線が作られています。廊下部分にはベンチと植栽が置かれ、さながら下町の路地裏のよう。海外のような洒落感がありつつも、どことなく親しみ深い日本の軒先文化を感じさせます。

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室内にはテレビが無く、代わりにレコードや書籍が。自分と向き合い、感性を磨く時間を作って欲しいとの思いが込められているのだとか。持ち込みも可能ですが、部屋ごとに選曲されたレコードを聴いてみるのもオススメです。

天井は高く開放的。モダンでいながら日本の伝統を感じさせるデザインは北欧の前衛的なデザイナ―集団Claesson Koivisto Rune(以外CKR)が手掛けています。まるで美術館のように独創的な空間で宿泊できるのは、ここならではかもしれません。

新しい食との出会い SWITCH COFFEE/CAVEMAN / B

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1階フロントから左に続く、緑に覆われた空間にはコーヒーショップとレストランが。SWITCH COFFEEは目黒や代々木八幡に店舗を構える人気店。あえてフード類を置かずにコーヒーのみで勝負することで、より質の高い1杯を味わうことができます。

次に、目黒の人気レストランkabiの流れを汲みつつ、黒田シェフが独特な感性で作り上げるCAVEMANが続きます。国籍やジャンルにとらわれない新しい料理は、まさに未体験の食との出逢い。レストランは要予約ですが、隣のワインバーではいつでもナチュラル系ワインを楽しむことができます。

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地下にあるビアホールBはニューヨークのクラフトビールメーカーBrooklyn Breweryの世界初フラッグシップ店。多種多様なクラフトビールの世界では、きっと新しいお気に入りが見つかるに違いありません。

感性が研ぎ澄まされる BAR AO

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フロントの右側にある隠れ家的な入口を潜ると、そこには静寂に包まれた書庫のような空間が。ここは直木賞作家、田中小実昌氏の孫である田中開氏、国際的に活躍するトップバーテンダー野村空人氏がプロデュースするバー。東洋のお茶や漢方をベースとしたカクテルは心身に沁み渡る滋味深い味。口に含むごとに感性が研ぎ澄まされるようです。

ズラリと並ぶ本は、お酒やアート、カルチャーから日本橋所縁の歴史など様々なジャンルに渡ります。ネットでの情報収集が主流となりつつある今、あえて書籍を手に取る体験は自らの内に新たな発見をもたらすかもしれません。

K5が別世界たる理由

大都会の中のオアシス

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ビルが立ち並ぶ金融街のど真ん中にあって一見無機質に見えるK5ですが、中に入ると不思議なほど有機的な香りに満たされています。なぜなら建物内には約150種もの植栽が配置されているから。ホテルとしてもこれほど植栽が多用されている例は珍しく、植物から放たれる土や葉の香が絶妙な癒し効果をもたらしています。

また、客室には合板ではなく無垢の木材が使われ、モダンな雰囲気でありながらも本物の木が放つ温かみに溢れているのです。木や植物本来の気配に包まれる、まさに大都会の中のオアシスがここにあるといえるでしょう。

古くて新しい!?時空の重なり

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もう1つ、K5の空間に身を置いて感じることは、はじめは目新しさやモダンさに目がいくものの、じっくりと味わってみるとどこか古めかしいクラシックさを感じるという点。冒頭でも述べたように、K5はかつて銀行として建てられた歴史的建造物を内部のみリノベーションして利用しています。

97年もののコンクリートや壁を可能な限り残し、クラックや床のメモ書きなどには建物が重ねてきた歴史を見ることができるでしょう。古さと新しさが共存する時空の重なりを、ぜひ肌で感じ取ってみてください。

北欧的革新と日本の伝統とのミックス

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空間デザインを手掛けた上述のCKRは「日本通」としても知られ、K5でも北欧らしいシンプルで革新的なデザインの中に、日本の伝統的要素が散りばめられていることに気付くでしょう。例えば、ベッドルームの照明は米の形をモチーフにした和紙素材。藍染で染め上げられた麻のカーテンにも日本らしさが漂います。

また、室内の木建築の設計、施工は福島県に本社を置くADXが担当。日本の木材の良さや温もりを生かした建築は、モダンさを追求しただけの建築とは一線を画しています。

この場所でしか体感できない世界へ

さて、日本一の金融街に広がるK5の世界はいかがだったでしょうか。「人が集い、投資と成長が生まれる街」をコンセプトに再活性化が進む日本橋兜町。そのプロジェクトの点の1つとなるべくオープンしたK5には、感度の高い人々が次々と集まってきています。

宿泊はもちろん、泊まらなくとも気軽にその世界観を味わえるのがマイクロ複合施設のポイント。この場所でしか体感できない別世界へと、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

■Writer's Profile

藤井麻未

元海外旅行添乗員。1児の母時々旅ライター。LINEトラベルjp、ANA、HIS等旅系サイト、25ans、oggi等女性誌、ビジネス誌などに寄稿。

Instagram :@mamfuj
ブログ:元添乗員の国外逃亡旅行記
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