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【マミートラックとは】復帰前に知っておきたい問題点やメリット、対策方法を解説
マミートラックってどういう意味?どんなことが問題点になるの?マミートラックについて詳しく知りたい方のために、詳しい意味や問題点、対策方法をご紹介。実際に経験した女性の体験談も踏まえて、育児と仕事について考えていきましょう。
2021.01.07公開
マミートラックとは、育休から復帰した女性の働き方を表す言葉。産休から復帰した女性は、働きながら育児をこなす必要がありますね。そのため、残業が難しくなったり、子どものために休むことが多くなったりする可能性があります。
産休まではバリバリ働いていた女性でも、育児をきっかけに働き方が変わってしまうことが。次のアンケートによれば、産休を経験した100人の女性のうち、約45%が復職前と仕事内容が変化していると回答しています。
マミートラックには、育児を優先させるために出世コースから離れるという意味が含まれます。これは特に、ワンオペ育児を余儀なくされている女性に多く見られる現象。育休前と同等の働き方が難しくなることが原因で、責任のある仕事が任されにくくなる。その結果昇進や昇給から遠のき、出世コースから外れてしまう、というパターンです。
とはいえ、一概に悪いことだと言い切れない一面も。マミートラックに乗ることに不満を抱く女性もいれば、メリットを見出しあえて乗ることを希望する女性もいます。メリットに関しては、後のトピックで詳しくご紹介しますね。
マミートラックは、1988年にアメリカで誕生した言葉。女性が育児をしながら働く環境が、今以上に整っていなかった時代に生まれました。
ちなみに「マミー」は母、「トラック」は陸上競技場の周回コースを意味します。一度乗ると、同じ場所をぐるぐる回って抜け出せないという状態を表現。対義語には「ファストトラック」という言葉があり、出世コースを意味するものになります。
マミートラックの問題点では、育休前に築いた評価が下がりやすいことが挙げられます。産後復帰した女性の場合、働き方が大きく変わることが。以前とは同じ働き方が難しくなるため、評価が下がりやすくなります。
その結果、さらなる問題が発生することも。評価が下がることで業務内容が変わり、給与が減ったり役職から外されてしまったりする可能性があります。
マミートラックでは、働き方が変わった結果モチベーションが下がることも。以前までやりがいを感じられていた仕事内容が変化してしまったり、さらには評価まで下がってしまっては、喜ばしいこととはいえませんね。
また、給与や役職がそのままでも、さらなる昇進や昇給も見込みが減るケースもあります。入社してから、順調に昇進や昇給を重ねてきた人ほどモチベーションの低下が懸念されます。
さらなるキャリアアップに繋がらない状態は、劣等感を招く可能性が。産休前に一緒に仕事してきた同僚が、産後には上司になっていることもあるでしょう。また、他の女性社員がキャリアアップしていく姿を羨ましく感じてしまうことも。
周囲の人の活躍を目の当たりにして、劣等感を持つ女性も少なくありません。自分の気持ちに折り合いを付けられるかどうかがポイントです。
働くママとして復帰すると、残業をする機会が減ったり、急な休みを入れたりすることが多くなりがち。周囲の人が忙しく働いているときほど、居心地が悪くなる可能性があります。
また、業務内容や勤務時間が異なると、仲間意識が薄れたり周囲と話が合わなくなったりすることも。お互いに気まずさを感じて、職場環境がギクシャクするというケースも見られます。
子どもが大きくなって手がかからなくなると、手持ち無沙汰になってしまうことも。育児による時短勤務や部署の変更で出世コースから外れても、子育てには区切りがつくときが来ます。
しかし、一度マミートラックに乗ると抜け出すことは困難。子どもが成長しても、育休前のように戻りにくいという問題が見られます。単調な仕事に意味が見出せなくなることも。
マミートラックは、会社側との配慮のすれ違いが原因で問題になることが。産後復帰した女性に対して、育児と仕事の両立は大変だろうと、一方的に勤務時間や業務内容を変更するケースがあります。「女性は育児を優先するだろう」と考える傾向にある、男性管理職に多くみられるケースですね。
働くママに良かれと思って配慮してもらったことでも、意思の疎通がされていなければ問題のタネに。産後復帰した後の働き方について、会社側に希望を伝えることで対策していきましょう。
マミートラックの問題は、企業の施策不足も原因として挙げられます。産後復帰や働くママが活躍しやすい環境が整っていない可能性があるのですね。
企業の施策不足は、個人レベルでは対策が難しいケース。様々な対策が講じられるよう、働くママたちで働きかけることをおすすめします。
企業側としては、色々な制度の導入で対策することが可能です。男性だけでなく、女性管理職を増やすことで、働くママが活躍しやすい雰囲気を作ることも大事ですね。詳しい対策方法は、以下を参考にしてみてください。
企業ができる対策
企業側が対策を講じても、周囲の理解不足が原因で問題が起こることも。男性社員だけでなく女性社員が「産後は家庭を重視するべき」「育児は女性の仕事」といった無意識の偏見を持っているケースも少なくありません。
経営者が理解していても、周囲の人が原因でマミートラックを押し付けられる可能性があるのですね。男性女性共に、理解を促す企業側の対策が必要です。
また、家庭内においても理解を得ることが大切。「育児は男性の仕事ではない」という考え方から、「育児は男性も女性も担うもの」という意識に切り替えていきたいですね。働くママが増えた現在、男性が育休をとることも珍しくありません。家族で話し合って対策していってくださいね。
マミートラックが問題視される一方、メリットを見出す方がいるのも事実です。育児に比重を置きながら仕事を続けたいと考えた場合、次のようなメリットがあります。
マミートラックに乗ることは、育児と仕事の両立しやすくなるというメリットに繋がります。残業時間や仕事量がコントロールしやすくなるため、両立の難易度が下げられるのですね。
産後復帰を果たした女性の中には、出世よりも育児に比重を置きたいと考える方もいます。仕事を諦めることなく、育児にも対応したい場合は、マミートラックを受け入れることが良い選択になるのではないでしょうか。
マミートラックには、家族との時間や自分の時間が持てるというメリットもあります。残業や休日出勤などが避けやすいことは、時間が欲しい働くママにとっては貴重なもの。バリバリ働くよりも、子どものために時間を割きたい方には重要なメリットですね。
また、働くママになったからといって、自分の時間を諦める必要もありません。ときには自分のために時間を使って息抜きすることも大切です。
体力的な負担が減ることも、マミートラックのメリットの一つ。たとえ家庭に入った女性でも、育児をすることは体力勝負。仕事と両立するのであれば、さらに体力の消耗は激しくなります。
無理をして倒れるよりも、自分の体を労ることの方が大切。負担を重ねて体調を崩してしまっては、育児も仕事もままならなくなります。
マミートラックに乗りつつも、現状に悩む女性はたくさん。産後復帰して、実際に働き始めることで見えてくるものも多いのでしょう。とくに見られるのが、出世から外れた自分の働き方に悩むケース。子どものためという気持ちと板挟みになるという声が。
また、仕事によっては選択肢もないままマミートラックに乗るケースも。男性と比較しながら、多様性とは何かと考えてしまいます。
復職して3ヶ月。マミートラックにどっぷり浸かってるわ🥺
— chill out (@K201702) December 6, 2020
こんなはずじゃなかったとおもう自分と、子供を犠牲にしてまでのキャリアって何っておもう自分。
これって答えないよなあ。
仕事量を減らすためにマミートラックを選択しても、思い通りにいかないという体験談も。仕事が減ることで悩む女性が多い中、会社によっては復帰前と同じ量を任せることもあります。
キャリアアップを目指すのであれば嬉しい結果ですが、仕事量を減らしたい女性にとっては迷惑。マミートラックの実態は、会社によって異なることが分かります。
マミートラックの体験を経て、次に繋げることを決意する女性も。とくにマミートラックの前例がない会社で見られるケースだとされています。
日本におけるマミートラックは、まだまだ発展途上。自らの体験を糧にして、より良い対策が講じられるようにすることは大切です。
アンコンシャスバイアス
— さしみ(あびーら) عبیرہ (@_8ayubowan8_) August 19, 2020
マミートラック
前例のないまま出産後復帰して身を持って体験した今一番思うのはこれから女性社員たちに同じ体験させたくないということ。優秀な後輩が出産予定なので今から一緒に対策している。
マミートラックに乗ることは、体力的にもありがたいという声も見られます。男女平等が重視される時代になってきましたが、単純に体力を比較すると、男性に及びにくいのは事実。
産後復帰しても、同じ働きを求められるのはキツイと感じるのは不自然なことではありません。体を大切にするという意味で、マミートラックを活用するのも一つです。
子ども産んだらマミートラックな社風ではあるけど逆に妊婦だろうが産後だろうが男女平等だなんて言われたら身体がどうなるかわからないこと考えたらリスクが高いし、逆に平等じゃなくて良かったと思ってる。
— MiMi (@trlstrlsrk78) June 27, 2019
一度マミートラックに乗った女性でも、抜け出せないということはありません。乗ることでできた時間を、自分を磨くことに費やしながら、キャリア復帰を果たした女性はいます。
ただし、現状に折り合いをつけることや、できること探しなど、多くの努力は必要。悔しさを抱えた時期も、自分磨きの期間も乗り越えて、評価を覆しましょう。
育休明け周りの考慮で仕事がなかった。マミートラックは意図せず乗る事があると実感。そこから3年間自分で課題や協力者を見つけ仕事した。やりたい事に立候補してそれを応援してくれる仲間も出来た。時短を理由に遠慮される空気も無い。辛かった時に辞める選択をしなくて本当に良かった。#ワーママ
— Chiron@ワーママ (@Chiroriro3) August 22, 2020
マミートラック、って言葉を初めて聞いた。
— るみおかん (@rumikotubuyaki) February 14, 2020
「子供を持つ女性の働き方のひとつ。昇進・昇格とは縁遠いキャリアコースのこと」
10年マミートラックを走ってたな〜。でもそのおかげでトライアスロン楽しめたし、10年経ってキャリア復帰できたから私はそれで良かったな。
2年ほどは悔しかったけどね。
マミートラックに関する施策例で、とくに注目を集めたのが資生堂の取り組み。2013年に社員の勤務制度を平等化しました。育児中の女性でも、子どもがいない女性でも、遅番や土日勤務などを平等に割り振ることに。
資生堂の社員は8割が女性。育児休業や保育園の併設といった取り組みをいち早く取り入れ、「女性にやさしい」会社と評価されていました。しかし、平等化の施策発表で「育児中の女性に労働を強いる」と誤解され、『資生堂ショック』という言葉が誕生しました。
しかし、前述したように『資生堂ショック』は全くの誤解。他社よりも10年早く、働くママに対する施策を行っていた資生堂だからこそ、マミートラックの問題にも真っ先に気づいていたのです。取り組みが再評価され、『資生堂インパクト』という本も出版されています。
2013年までの資生堂の施策は、両立はできても、すべての女性が活躍できない取り組みだったとされています。時短勤務や休日出勤などで育児中の女性に配慮しても、子供のいない女性に負担が偏ることが。また、育児中の女性は時短勤務をすることで、キャリアから外れることに。
「女性にやさしい」の意味は、育児中の社員に過剰に配慮することではなく、すべての女性が活躍しやすいようにサポートすること。単に「両立可能」という状態ではなく、男女ともしっかりキャリアアップできる環境作りに踏み出しました。
資生堂は、ただ勤務制度を平等にしただけではありません。育児中の社員に対して、上司が入念なヒアリングを行うことが不可欠。面接を通して意思を確認します。
どのような働き方ができるのか?遅番や休日のシフトにはどの程度入れるのか?社員の能力や意欲と向き合いながら、新たな女性の働き方を模索しています。
育児と仕事を両立しながらも、出世コースから外れてしまうマミートラックへの評価は賛否両論。メリットを感じる人もいれば、やりがいを失ってモヤモヤしてしまう人も。
けれど、立ち止まったままではいられません。働くママが増えた現代では、育児もキャリアも望める職場環境が当然となってもいいはず。マミートラックの現状を踏まえつつ、新たな道を考えていきましょう。
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