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経済活動の新しい形、サーキュラーエコノミーとは。日本社会での具体例とともに解説
最近よく耳にするようになった、サーキュラーエコノミー。意味や概念の解説に加えて、社会に与える影響についてご紹介していきますね。日本における具体例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
2021.02.27公開
サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは、「循環型経済」を意味する言葉でで、これから実現すべき、新たな経済モデルとして提唱されているものです。従来のモデルである、「直線型経済」を意味するリニアエコノミーとは、全く対照的な考えに基づいています。
直線型が「資源の採取→製品化→廃棄」という流れになるのに対し、サーキュラーエコノミーは、資源を廃棄させず、循環させることを目標にしています。2015年にEUで掲げられて以来、サーキュラーエコノミーに転換するための政策が、世界的に取り入れられつつあります。
サーキュラーエコノミーとリユースエコノミーでは、意味に若干の違いがあります。リユースエコノミーは、「Reduce・Reuse・Recycle」の3Rを基本としたモデル。直線型経済で生産された製品の資源を、廃棄までの時間を延長するために、再利用する活動になります。
対して、サーキュラーエコノミーは、採取や製品デザインの段階から資源の再利用を前提にしたモデルです。廃棄物を出さないために、リサイクルを念頭に入れて解体しやすい製品設計にしたり、消費後の製品の回収方法を確立したりするというものです。また、修理や部品交換を行うことで、製品寿命を長くする取り組みも該当します。
サーキュラーエコノミーを実現するには、社会全体の連携が不可欠。製品を生産するメーカーだけでなく、小売業者や回収業者、リサイクル企業などの連携を必要としています。
また、製品を消費する側も、製品を長持ちさせる使い方や回収・リサイクルに協力する意識が必要。循環型の経済に関する、知識を蓄えるところから始めてみるのも良いですね。企業側の問題として放置するのではなく、個人としても協力していけるよう心がけしょう。
サーキュラーエコノミーには、守るべき3つの原則があります。3原則は、世界のサーキュラーエコノミーを推進する組織である、エレン・マッカーサー財団が提唱したもの。それぞれの原則の循環の仕組みを図式化した、バタフライ・ダイアグラムとともに紹介されています。
バタフライ・ダイアグラムは、蝶の羽のように、左右に3原則の循環が描かれている図式です。左側は動植物などの再生可能な資源の循環を表す「生物的サイクル」を、右は化石燃料や金属といった枯渇資源を循環させる「技術的サイクル」を描いています。
バタフライ・ダイアグラムのサイクルは、どちらも外側に行くほど高負荷に。そのため、できるだけ内側で循環させることが望ましいと言われています。
サーキュラーエコノミーの3原則
地球の資源に限界が見えることが、サーキュラーエコノミーが注目される理由の一つ。全世界における人口は増加の一途を辿っていますが、人が生きていくためには資源が必要です。
しかし、増加する人口に対して、資源を生み出す地球は一つだけ。従来の使い方のままでは、2050年に約98億人に達するともいわれている人口を支えることはできません。限られた資源の容量の中で、繁栄していく仕組みを作り出す必要があります。
サーキュラーエコノミーが注目される理由には、「環境への影響」も関係。従来の経済モデルは、環境汚染や自然破壊、気候変動といった問題を生み出してきました。プラスチックゴミによる海洋汚染問題で、ストローやレジ袋の廃止に向けた取り組みが行われたのは、記憶に新しいですね。
サーキュラーエコノミーの実現は、環境への影響も相まって急務に。製品を生産・消費する過程で、環境に大きな影響を与える廃棄物や汚染を生み出さないよう、社会全体で食い止める必要があります。
サーキュラーエコノミーのビジネスモデルには、再生型サプライというものがあります。戦略コンサルティングファームである『アクセンチュア』が、2015年に「Waste to Wealth」という著書で発表したモデルの一つ。
再生型サプライは、全部で5つあるモデルのうち、真っ先に挙げられるものです。リサイクルもリユースもできない原材料を、環境への影響が少ないものに置き換えることを意味します。生物分解が可能な原材料を使った製品や、繰り返し再生して使える製品を作ることなどが該当。
回収とリサイクルのセットも、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルとして挙げられます。不要になった資源を回収し、リサイクルできるシステムを作り上げるのですね。
回収とリサイクルの流れは、実践している企業が多いビジネスモデル。最も身近な、サーキュラーエコノミーの例の一つと言えます。
サーキュラーエコノミーには、製品寿命の延長というビジネスモデルも。一部の部品の交換や修理、アップグレードを通して製品を長持ちさせる取り組みです。
また、製品寿命の延長には、二次市場で再販できる仕組みも該当。まだまだ使える製品を意味なく廃棄しないよう、様々な取り組みが考えられています。
シェアリングプラットフォームは、製品や資産を、他社と共有することで稼働率を上げるビジネスモデル。ときには、物品だけでなくスキルを共有するサービスも含まれます。
例えば、Airbnbを使った客室のシェア、Uberといったサービスなどが該当。スマホやPCのプラットフォームを介して、シェアリングも簡単になってきました。次の記事では、シェアサイクルについて詳しくご紹介しています。シェアサイクルはシェアリングプラットフォームとして身近なもののひとつ。興味のある方は、是非チェックしてみてくださいね。
サーキュラーエコノミーのビジネスモデルには、サービスとしての製品というものもあります。製品を所有するのではなく、利用した分だけ料金を払うシステムのこと。車の走行距離に応じて使用料を支払うタイヤ、明るさに応じて料金が決まる照明などのサービスが該当します。
日本の自動車メーカーである『トヨタ』は、KINTO ONEというサブスクリプションサービスを実施。サブスクリプションとは、一定期間の利用権として料金を支払う方式のこと。トヨタの新車を、月々定額で利用できるサービスが行われています。
トヨタの例は、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルの一つである「サービスとしての製品」に該当します。これからの日本社会では、新車を買わずに契約期間だけの料金を支払うのが常識になる可能性が。
日本が誇る大手アパレルブランドの『UNIQLO』では、「RE.UNIQLO」というプロジェクトをスタート。回収したUNIQLOの服から、再び服を作る試みが行われています。
現在販売されているのは、ダウンジャケット。日本国内で回収した62万着のダウン商品の、ダウンとフェザーが100%リサイクルされています。ビジネスモデルの「再生型サプライ」や「回収とリサイクル」に該当する例ですね。社会全体に、自社の服を循環させています。
日本のタイヤメーカーであるブリヂストンでは、「リトレッドタイヤ」という試みが。リトレッドタイヤとは、すり減ったタイヤの、路面と接する部分を張り替えることを意味します。
リトレッドタイヤは、新品のタイヤよりも、原材料の使用量が1/3未満になることが特徴。「エコバリューパック」で、メンテナンスに取り入れることで、製品の寿命を伸ばすことが可能です。タイヤはリサイクルが難しいパーツの一つ。処理ができない廃タイヤは、社会問題にもなっています。
企業は生産の段階で、消費者は使用の段階で、サーキュラーエコノミーに協力できることがあります。ご紹介した例だけでなく、まだまだたくさんの取り組みが日本国内で行われていますよ。欲しいものができたときは、サーキュラーエコノミーを意識して製品を探すのもおすすめ。
サーキュラーエコノミーは、社会全体で取り組んでいくべき課題。限りある資源を、効率よく循環させていくことが、これからの未来を切り開きます。
そのため、国内でもサーキュラーエコノミーに取り組む企業は様々。周囲を意識してみると、意外と身近なところに循環型経済の例が隠れていたりするので、是非探してみてください。あなたの生活様式にも影響するものになるかもしれません。
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