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貧困を知るための映画たち。日本や世界の実情を体感させられるおすすめ作品集
日本や世界の貧困問題について知ることができる、おすすめの映画はどれ?貧困と一言でまとめても、タイプは様々。それぞれの実情をリアルに感じられる作品をご紹介します。SDGsが掲げる貧困対策の目標と併せて、他人事とは思わず、貧困問題について映画を通して学んでみませんか。
2021.03.11公開
全世界を見てみると、7億3,600万人以上の人たちが極度の貧困状態にあると言われています。極度の貧困と定義されるのは、1日を1ドル90セント未満で生活する人たち。1990年代と比較すると数は大きく減少しましたが、それでも10人に1人が苦しい生活を強いられています。
子供だけに限ると、3億8500万人が極度の貧困状態に。5人に1人の子供たちが貧しい暮らしをしていることになります。また、大人の場合では、教育や雇用の機会が少ない女性のほうが、極度の貧困に陥る確率が高いのが現状です。
貧困の問題は、先進国であっても無関係ではありません。極度の貧困に身を置く人の8割は、南アジアや南アフリカに集中していると言われていますが、先進国であっても貧しさで苦しむ人たちはいます。
貧困は、絶対的と相対的の2種類にも分けられます。絶対的貧困は国や地域の水準に関係なく、生きるのが困難なレベルで生活水準が低い状態のこと。相対的貧困は国や地域ごとの水準といった、相対的な基準で比較して「貧しい」と判断された状態のことになります。
相対的貧困という視点からみると、G7の中ではアメリカと日本が高い割合に。アメリカの相対的貧困率が17.8%とG7中トップで、日本は15.7%と次点の位置にいます。
貧困問題は、国連によって採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の1番目に指定されている問題。全部で17ある達成目標の中で、真っ先に取り上げられています。
SDGsの目標1は「貧困をなくそう」というもの。SDGsが言う「貧困」とは、経済的な問題だけを指しているのではありません。十分な教育や就業機会が得られないことも意味します。また、食料や水の不足、医療や国の制度が整っていないことも含まれます。
『僕たちは世界を変えることができない。』は、カンボジアの貧困問題と支援について学べる邦画。カンボジアに学校を建てるための活動を始めた、日本の大学生たちの実話をもとに作られました。
活動のためには現地の実情を知ることが大切と、主人公たちはスタディツアーを敢行。想像を遥かに超えた実情を目の当たりにし、学校建設への意欲を燃やしていきます。ネガティブな印象のタイトルに反して、それでもできることは確かにあると、前向きな気持ちにさせてくれる邦画です。
日本の若者の貧困問題を学びたいのであれば、『東京難民』がおすすめです。小説を原作にした邦画で、現代社会を生き抜く難しさを「難民」と表現していることが特徴。
無職日雇いバイト、ネットカフェ難民、危険な職場、ホームレス、様々な環境に身を置き、日々の暮らしの中でもがく主人公の姿が描かれています。
『万引き家族』は、生計を立てるために軽犯罪を繰り返す、家族の絆を描いた邦画です。生活のために頼りになるのは祖母の年金。家族は、足りない生活品を万引きすることで補う毎日。しかし、そんな日々も長くは続きません。日本における貧しさや弱い立場というものを、実感されられる邦画が『万引き家族』です。
『プレシャス』は、アメリカのスラム街で育った女性の生活を描いた洋画。教育も生活もままならない低所得層の様子から、陥りやすい問題までを衝撃的に描いています。
世界一の経済大国ながら、格差も大きく目立つアメリカ。低所得者が貧困から抜け出せない理由は何なのか、深く考えさせられるおすすめの洋画です。
シングルマザーの貧困を描いているのは、『フロリダ・プロジェクト』という洋画です。アメリカにある「世界最大の夢の国」の近くで、その日暮らしをしながら生きる親子。タイトルのプロジェクトとは、低所得者のための公営住宅を意味します。華やかなテーマパークの周辺は、多くの貧困者が済む地域でもあります。
女性の貧困の中でも、シングルマザーの就業率の低さに関しては、アメリカを始め世界でも問題に。日本でも、子供がいる女性は非正規雇用となる可能性が高いことから、改善すべき問題として捉えられています。
『ウィンド・リバー』は、サスペンスに分類される洋画ですが、ネイティブ・アメリカンの貧困という視点でも興味深い作品。あまりフォーカスを当てられない分野としておすすめです。
ネイティブ・アメリカンが置かれた現状や、居留地から抜け出すことの難しさなどを垣間見たい方はチェックしてみましょう。カンヌ映画祭「ある視点部門」監督賞も受賞した作品。
貧困にあえぐブラジルのファベーラ(スラム街)を舞台にした洋画が、『シティ・オブ・ゴッド』。ブラジルで製作されたもので、実話をもとに描かれていることから、ファベーラに生きるとはどういうことなのか触れることができます。
また、出演している役者の多くが、ファベーラの住人であることも特徴。オーディションに合格し、演技訓練を受けた200人が参加しています。そのため、ドキュメンタリータッチでリアルな仕上がりとなっています。
『ツォツィ』は、イギリスと南アフリカ共和国の合作映画。アパルトヘイト廃止後の南アフリカ共和国で、格差社会に苦しみながら生きるスラム街の少年を描いたものです。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品で、スラム街の貧困の中、とある出来事がきっかけで人間性を取り戻していく少年の姿が印象的。大切なものを見つけることは、貧困を抜け出すために必要なことだと教えてくれます。
イギリスが製作した『スラムドッグ$ミリオネア』は、インドの貧困の様子を知ることができる洋画。スラム育ちの少年が、テレビのクイズ番組で数々の問題に正解し、賞金まであと一歩までたどり着きます。
満足な教育を受けていないはずの少年が、なぜ難問の答えを知っているのか、生い立ちとともに語られます。映画に出演した子役の二人は貧困家庭の出身。出演料を一括支払いせず、教育費や生活費、医療費を賄うファンドが立ち上げられている点にも注目したい作品。
『存在のない子供たち』は、中東のスラム街や移民問題にフォーカスを当てた映画。レバノンで製作された映画で、制度の欠如や紛争など、大人の責任で貧しい生活を強いられる子供たちがいることを実感させられます。
SDGsでは、2030年までに「貧しい」とされる男性や女性、子供の割合を半分に減らすことをターゲットにしています。子供を貧しさから救うには、何が必要なのかを考える必要があります。
『パラサイト半地下の家族』は、韓国で製作された映画。格差社会をテーマに描き、アカデミー賞の作品賞を始め、4部門を獲得しています。
『パラサイト半地下の家族』は、日本に近い国で、どのような格差社会の実情があるのか知ることができる作品としても有名。日本の貧困問題と比較して考えたいときにもおすすめです。
『ポバティー・インク』は、貧困支援について考えさせられるドキュメンタリー映画。SDGsの目標達成のためには、世界中の人々の協力が必要ですが、正しい支援とはどのようなものなのでしょうか。
一歩間違えると、貧困支援をビジネスとして利用される可能性が。貧困問題を知って、正しい支援のあり方を模索していく必要があります。
『ザ・トゥルー・コスト』は、貧困の責任は消費者にもあることを示すドキュメンタリー映画になります。2013年のバングラデシュで縫製工場が崩落し、若い女性の従業員が多数犠牲になったことがきっかけで製作されました。
ドキュメンタリーでは、ファストファッションの低コストを支えるために、低賃金かつ劣悪な環境で働く人がいることがわかります。女性のファッションだけでなく、他の製品でも同様の問題は見られるので、エシカル消費に気をつけたくなる作品です。
世界の経済と貧困の関係を学びたいのであれば、『21世紀の資本』というドキュメンタリー映画がおすすめ。同名の経済学書を原作にしたものですが、難解な理論を用いず、映像でわかりやすく表現しています。
いくら働いても豊かにならないのはなぜなのか。格差はなぜなくならないのか。『21世紀の資本』の著者がドキュメンタリーを通じて教えてくれます。貧困対策を考えるためにも役に立つ作品。
貧困と一言でまとめても、女性の貧困や子供の貧困など、色々な種類の問題があることが分かります。問題を改善させるには、多くの人の協力が大切ですが、一度に手を伸ばせる範囲は限られますね。
気になる邦画や洋画、ドキュメンタリーを通じて、自分がやりたい支援や、小さなことでも出来ることを見つけてみるのはいかがでしょうか。たとえ一人の力でも、貧困の救いとなるような手助けが出来るはずです。
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