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日本が亜熱帯化?未来の気候変動予測と地球温暖化を食い止めるために出来ること
日本が亜熱帯化していると言われているけれど、それはなぜ?どんな影響が出てくるの?疑問を解消するべく、現在の日本の気候状況や、予測される変化をご紹介。地球温暖化を食い止めるために、私たちが出来ることと一緒にチェックしていきましょう。
2021.03.27公開
日本が亜熱帯化すると言われている最も大きな理由は、気温の上昇です。地球温暖化による気候変動で、世界中の平均気温が100年あたり0.75℃上昇していると言われています。しかも、日本だけに限定すると、100年あたり1.24℃という上昇値に。
このままの状態が続けば、21世紀の終わりごろには世界的に3.7℃、日本は4.5℃ほど年平均気温が上昇するという試算も。そのため、SDGs(持続可能な開発目標)でも、気候変動に具体的な対策を取るための目標が設定されています。
2015年に開催されたCOP21では、世界的な平均気温上昇を産業革命前(1880)と比較して、2℃以下に抑えることを「パリ協定」として採択。温室効果ガスの排出量を減らすための地球温暖化防止策を実施することは、日本の亜熱帯化問題にも大きな意味があると考えられています。
ゲリラ豪雨が増えたことも、日本が亜熱帯化すると言われている理由の一つ。ゲリラ豪雨とは、限られた地域で時間雨量が50mmを超えるような、大雨が短時間に降ることを指します。
ゲリラ豪雨が亜熱帯化をイメージさせるのは、スコールと似た現象であるため。熱帯・亜熱帯地域に見られるスコールと同じように、大雨が降ることが関連していると言われています。
気象庁の観測においても、時間雨量50mm以上の年間発生数は増加の傾向に。2011~2020年の年間発生数を、観測開始当初の1976~1985と比較すると、約1.5倍に増加しているというデータが存在します。スコールに似たゲリラ豪雨は、これからも増える可能性が。
日本が亜熱帯化すると言われている理由には、気温上昇による生態系の変化も含まれます。例えば、熱帯や亜熱帯地域に多く見られる病気である、デング熱を媒介するとされるヒトスジシマカ。年平均気温11℃上の場所に生息する蚊の種類ですが、日本では1990年代を堺に急速に分布域が広がっていると言われています。
また、植物では稲の生育に変化が見られる例が。出穂期が前進したり、気温上昇の影響で品質が劣化したりといった問題が。亜熱帯化にも対応するべく、品種改良されたブランド米も開発されているほどです。ヒトスジシマカや稲以外にも、生態系の変化の例は、まだまだ存在すると考えられています。
日本で見られる変化の例
日本の亜熱帯化が進むと、年平均気温は今よりも上昇すると予測されています。「パリ協定」で示された『産業革命前と比較して平均気温の上昇を2℃以下に抑える』という目標ができなければ、21世紀末には最大約4.5℃の年平均気温の上昇が見込まれています。
また、気温に伴って海面水温も上昇されるという予測も。「パリ協定」の目標が達成できれば1.14℃の上昇で抑えられますが、達成できない場合は3.58℃まで上昇すると試算されています。
日本が亜熱帯化すると、降雪や積雪量の減少も見込まれます。21世紀末には平均気温の上昇が関係して、雪の代わりに雨が降る機会が多くなると考えられているためです。
ただし、必ずしも大雪のリスクが低下するわけではないとも言われています。地球温暖化と雪の関係は複雑で、1晩や1日のうちの降雪量が増える地域が出る可能性も。
亜熱帯化が進んだ21世紀の日本では、台風や豪雨の増加といった気候変動も予測されています。強い台風の割合が増えるだけでなく、台風に伴う雨や風まで強まる可能性が。
また、現在でもスコールのようなゲリラ豪雨が問題になっていますが、このままいくと時間雨量50mm以上の雨の頻度は約2.3倍に増加するという試算も。「パリ協定」の目標が達成されていても約1.6倍の増加が見込まれています。
21世紀末の日本では、海面水位の上昇も気候変動とともに起こると言われています。通常は海氷で覆われている3月のオホーツク海も、約70%減少するという予測が。「パリ協定」の目標が達成されていた場合でも、約28%の減少が見込まれています。
また、海氷の融解といった要因と関連し、海面水位も上昇しています。日本の沿岸は、「パリ協定」の達成で約0.39mの海面水位が上昇。達成できなければ、約0.71mの上昇が見られると考えられています。
より環境問題について知りたいという方におすすめなのが、次の記事。映画作品を通して、分かりやすく学ぶことが出来ますよ。是非チェックしてみてくださいね。
日本の亜熱帯化に大きく関係すると言われている地球温暖化。SDGsの目標にも組み込まれ、政府や企業の間でも気候変動に対する取り組みが行われています。しかし、将来予想される気候変動や環境への影響を防ぐには、一人ひとりの取り組みも大切。私達ができる地球温暖化対策への取り組みもチェックしてみましょう。
自宅での省エネは、地球温暖化を防ぐための基本。大掛かりなものでは、省エネ家電を選んだり、太陽光発電を導入したりといった取り組みができます。再生可能エネルギー重視の電力会社への切り替えも視野に入れてみると良いですね。
もっと気軽な取り組みをしたい場合は、使っていない部屋の灯りを消すことや冷暖房の節約、使っていないコンセントを抜くといった行動がおすすめ。とくに、冷蔵庫・照明器具・テレビ・エアコンは二酸化炭素の排出量が多いと言われているので注意しましょう。照明をLEDに切り替えるだけでも、省エネ効果が期待できます。
マイグッズを活用することも、地球温暖化防止のための取り組みの一つになります。2020年にレジ袋が有料化したように、お店でもらう袋やストロー、紙コップなどの使用を控えることは温室効果ガス排出量の削減に繋がるためです。
使い終わったレジ袋やストローは、大量のゴミとなって廃棄されます。ゴミの廃棄先まで運んだり、燃やしたりする過程で温室効果ガスが発生するのですね。マイバックやマイストロー、マイカップといったグッズを活用して温暖化防止に努めましょう。
買い物する際に温室効果ガス削減に励む企業の商品を選ぶことも、地球温暖化防止に繋がります。ファッションブランドの中でも、グッチやサンローランのように気候変動に取り組む企業がたくさんあります。日本ではアシックスが、気候変動問題に積極的に取り組んでいることで有名。
また、ファッション以外の分野でも、温室効果ガス削減のための取り組みが行われています。興味深いのは、稲作においても温室効果ガスの一つであるメタンの発生を抑制する取り組みがされていること。将来的には、特別な方法で栽培されたお米の存在が当然になる可能性が。
日本の亜熱帯化は、気候変動や環境への影響など、色々な変化をもたらすことに。現在でも、スコールのようなゲリラ豪雨に悩まされる地域や、生態系の変化に戸惑う地域が見られます。
将来的には、さらに大きな気候変動も予測されているので、亜熱帯化を食い止める意識を持つことは大切。小さなことから始められるので、ぜひ挑戦してみてください。
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