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自分を認められない「インポスター症候群」とは?その定義や心理状況、対策について

皆さんは「インポスター症候群」という言葉をご存知ですか?これは、自分自身を認めることができない心理のこと。今回はインポスター症候群の定義や特徴、原因などをご紹介します。少しでも前向きに捉えられる対策もまとめていますので、是非参考にしてみて。

2021.03.11公開

インポスター症候群の定義や特徴とは

①自分の能力や実績を認められない状態

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インポスター症候群とは、「自分が出した実績や能力などを認められない」という心理を定義した言葉。プライベートや仕事などで成功したとしても、「周りの人が助けてくれたからだ」「私の力じゃなくて運が良かっただけ」と思い込んでしまいます。

インポスター症候群の名前は、「偽物」「詐欺師」という意味を持つ"Imposter"・"Imporstor"という英単語が由来。インポスター症候群になった人は、「実力者のように振舞って周りを欺いている」という感覚に陥っているのが特徴。自分を必要以上に卑下したり、大げさに謙遜したり、という行動が目立ちます。

インポスター症候群とは

②日常生活や仕事に支障が出るケースもある

インポスター症候群が進行すると、仕事や日常生活などに支障が出てくる場合があります。調子が良い日であっても、「成功しているのは今だけなのかも」「必ずいつか失敗してしまうんだ」と、ネガティブな思考に引っ張られてしまうのです。

「失敗したら周りから批判される」という考えに囚われてしまい、新たな挑戦を避けるようになるのも特徴。失敗しても言い訳ができるようにと、わざと準備を怠って不備が残るようにする、という行動も見られます。このようにインポスター症候群が進行すると、様々なところで支障が出るのですね。

またインポスター症候群は、正式な精神障害として定義されている訳ではありません。明確な治療薬などは確立されておらず、自分がインポスター症候群だと気づかない人も大勢います。

インポスター症候群が与える影響

③女性の発症率が高い

インポスター症候群の大きな特徴とは、男性より女性の発症率が高いということ。特に成功している人や、専門職に就いている女性に多く見られるとされています。また高い学歴やキャリアを持つ人の方が、インポスター症候群になりやすいという特徴も。

インポスター症候群 定義

インポスター症候群になる原因

原因①子供時代の教育

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インポスター症候群を発症する原因は、子供の頃に受けた教育が関係していると言われています。例えばスポーツチームなどに所属していたケース。周りと同じように行動すること、自分よりチームの成功を考えるようにと教育された結果、自身の能力を信じられなくなるのです。

こういった人たちは、自覚がないうちに「自分が成功してはいけない」「周りより目立ってはいけない」という心理に。男性・女性を問わず、こういった思考を刷り込まれた人はインポスター症候群に陥りやすい、と定義されています。

原因②変化してはいけないという思い込み

「自分はこのまま変化してはいけない」という心理が、インポスター症候群の原因だとも言われています。この心理の背景には、自分が成功を収めた時に周りから嫉妬されたり、仲間はずれにされて孤独になったり、という恐怖があります。

また仮に失敗した時、「やっぱりダメな奴だった」というレッテルを貼られるのが怖い、という心理も。「自分はずっと変わらないから、周りからの評価も変化しない」と思い込むことで、ストレスを受けないようにしているとも言えます。

原因③社会的背景

インポスター症候群の原因は社会的背景にある、との見解も。不平等を是正するために、社会的なマイノリティを優遇するという措置が原因だとされています。

例えば男性社会の中で働く女性が、性別を理由に良い待遇を受け続けた場合。この状態が続くと、「自分に才能があるから成功した」のではなく、「男性社会に生きているから優遇されているだけだ」と思い込んでしまうのです。

企業などによるインポスター症候群への取り組みの例

インポスター症候群の認知を深める活動

インポスター症候群への取り組みとして、株式会社ヴィエリスの活動が挙げられます。脱毛サロンなどを経営する株式会社ヴィエリスは、インポスター症候群に悩む女性が多いことに注目。チェックリストを作成し、どんな人が症状を発症しやすいのか調査しています。

またインポスター症候群は女性に多いということを踏まえ、男性に症状を理解してもらう機会も設けています。またヴィエリス流のインポスター症候群への対策や克服方法なども解説。積極的な取り組みを行なっています。

株式会社ヴィエリスの活動

②カウンセリングの実施

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インポスター症候群を緩和するため、カウンセリングなどを行う企業や個人事業者が増えています。代表的なのが、小高千枝さんのカウンセリングサロン。なぜインポスター症候群が起こるのか、原因をクリアにして心理を改善していく、という取り組みが行われています。

対面式ではなく、オンラインでカウンセリングが受けられるサロンなどもあります。インポスター症候群に悩んでいる方は、一度カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

小高千枝 カウンセリングサロン

③インポスター症候群に関する調査

福井県鯖江市では、インポスター症候群に関する調査が行われています。この取り組みは、女性が活躍できる社会作りの一環として始まったもの。自分に自信が持てない女性のため、アンケートによる意識調査を行なっています。

鯖江市の活動には、先程紹介した株式会社ヴィエリスや、認定NPO法人である「国連の友アジアパシフィック」も協力。インポスター症候群に陥る女性をゼロにすることを目標に、実態調査が行われているのです。

鯖江市 活動

インポスター症候群を克服するための対策とは

対策①自分にも他人にも完璧を求めすぎない

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インポスター症候群を克服する方法として、自分にも他人にも完璧を求めないということがあります。インポスター症候群の人は、「今のままではいけない」「完璧な仕事をしないと成功できない」と思い込んでいるケースが大半。またこの完璧さを、他人に押し付けてしまうことも珍しくありません。

他人にも自分にも過度なプレッシャーを向けることで、症状はどんどん悪化していきます。仕事やプライベートを問わず、完璧さを目指さないといけない!という思い込みは、思い切って捨てても良いんですよ。

対策②目の前の現状に集中する

目の前の現実にのみ集中するというのも、インポスター症候群の効果的な対策。インポスター症候群に悩まされている人は、将来に対してネガティブな考えを持ってしまいがち。「きっとこれから失敗する」「成功はこの先続くとは限らない」とマイナス思考に囚われ、心身共に疲弊してしまうのです。

将来のことを不安に思うあまり、インポスター症候群が進行していくケースも。仕事・プライベート関係なく、まずは目の前の現実に集中し、将来のことは考えないようにしてみて。不安な気持ちになる時間を減らすことで、自分の価値や能力にきっと目が向くようになりますよ。

対策③他人からの褒め言葉は素直に受け取る

花束を持った女性

インポスター症候群の対策として有効なのが、他人からの褒め言葉を素直に受け取るということ。特に日本には褒め言葉を否定する「謙遜」の文化があるため、無自覚に自分を過小評価しているのです。無意識に自分を否定するうち、インポスター症候群が悪化することも。

他人から良い評価をもらった時は、「いえいえ、私なんて」などと謙遜しないようにしてみて。「ありがとうございます」など褒め言葉を受け入れることで、自己肯定感が上がりインポスター症候群克服の第一歩に繋がるはず。

対策④自分を褒める機会を作って習慣に

インポスター症候群を克服したいのなら、自分自身を褒める機会を作ってみて。インポスター症候群に悩む人は、自己否定をすることが癖になっています。そのため成功を収めても、自分の実績だと素直に思えません。

まずは小さな成功で自分を褒める、という習慣を付けてください。仕事や趣味、家事などで目標を作り、達成できたら自分を肯定する、ということを繰り返して。この対策を実践すれば、インポスター症候群が徐々に克服できるといわれています。

インポスター症候群の定義や特徴を知って克服方法を考えましょう

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インポスター症候群とは、自分の実力や実績を信じられない心理状態を定義するもの。男性よりも女性の発症者が多い、高いキャリアを持つ人がなりやすい、という特徴があります。今回紹介した、インポスター症候群の原因や克服方法を参考に、是非対策を考えてみて。

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