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特別養子縁組を利用するための条件は?普通養子縁組との違いや必要な手続きを解説
特別養子縁組を利用するには、どんな条件をクリアしておく必要があるの?昨今制度が変わったばかりの特別養子縁組について、内容を詳しくご解説。間違えやすい普通養子縁組との違いや、手続きの手順などと併せて、ぜひ目を通してみてください。
2021.03.24公開
特別養子縁組とは、戸籍上で実の親子となれる制度のこと。実親との法的な親子関係を解消したうえで、実の子供と同じ親子関係を結び、生涯にわたり安定した家庭で子供が育っていけることを目的としています。
特別養子縁組は、養子となっても実親との親子関係が継続していく、普通養子縁組とは仕組みが異なることが特徴。養親となるためには、指定された条件をすべて満たし、家庭裁判所の審判を経たうえで成立するようになっていることが特徴です。
特別養子縁組制度は、SDGs(持続可能な開発目標)にも関係する取り組み。とくに目標1の「貧困をなくそう」と、目標16の「平和と公正をすべての人に」に深く関わります。
世の中には、様々な事情により生みの親が育てられない子供たちがいます。育てられない最も大きな理由として挙げられるのが、経済的な困窮や虐待。実親による養育が、必ずしも子供の利益にならない場合もあるのです。
特別養子縁組は、貧しさや虐待から離れ、安定した家庭で子供が生活できるよう推進される制度。親を必要とする、多くの子供たちが待っています。
日本の特別養子縁組制度は、令和2年(2020)の4月に制度が改正され、引取りの可能性が拡大されるようになりました。改正のポイントは、対象年齢の引き上げと、長期化を防ぐ手続きの合理化です。
改正前までは、特別養子の引取りの対象となるのは、原則6歳未満の年齢の子供に制限されていました。現在は改正が行われたことで、対象年齢が15歳未満までに引き上げられました。引取り対象が拡大され、より多くの子供たちが家庭を得られる機会を設けられるようになったのですね。
また、手続きの合理化に関しては、実親による同意の撤回に期限が設けられるように。改正前は、審判が確定するまでに同意が撤回され、引取りが難しくなる可能性がありました。現在は、実親の同意は2週間経過すると撤回ができない仕組みになっています。
養親となり子供の引取りを希望する場合は、特別養子縁組を仲介する機関で相談する必要があります。行政機関である児童相談所と、許可を受けた民間あっせん機関が該当します。
児童相談所は各自治体にありますが、地域によって差が多いことがあります。許可を受けた民間あっせん団体は、全国に22ヶ所ほど。厚生労働省のホームページに、あっせん団体の一覧があるので参考にしてみてください。
特別養子縁組を利用するには、養子となる子供の実親の同意が必要です。改正前までは、撤回を理由として厳しい条件となっていましたが、現在は緩和されています。
また、厚生労働省によると、虐待や遺棄といった子供にとって不利益に繋がる原因がある場合は不要となるケースがあるとされています。
養親となるには、25歳以上の年齢で、配偶者がいる必要があります。夫婦共同で取り組まなければならないため、独身の方は申し立てを行うことはできません。年齢に関しては、夫婦のどちらか一方が25歳という条件を満たしていれば、もう一方は成人(20歳以上)であれば大丈夫です。
また、共働きや年間収入といった、配偶者や年齢以外の条件は特に定められていません。ただし、利用する団体によっては、養親としてさらに細かい条件を独自で設定しているケースもあるので、ホームページなどで確認すると良いでしょう。
養子の年齢は、令和2年の4月より原則15歳未満までが対象となっています。養親となる夫婦が、家庭裁判所に審判の申し立てをする段階で、15歳に届いていなければ大丈夫です。
ただし、例外として17歳までの子供を認めるケースも。子供が15歳に達する以前から養親となる予定の夫婦に監護されていたり、特殊な事情のため15歳までに申し立てができなかったりしたケースが該当します。
特別養子縁組では、養親となる夫婦が引取り予定の子供を6ヶ月間以上監護する必要があります。正式に縁組が成立させられるか判断するために、夫婦と子供が一緒に生活する機会が設けられるのですね。
縁組の成立は、6ヶ月以上の監護状況をクリアすることが最後の条件になります。子供が欲しい夫婦は、数々の条件を満たすことで養親として認められます。
特別養子縁組の手続きは、適格性の確認から始まります。令和2年4月から2段階で実施されるようになった手続きの、第1段階目ですね。
養親候補または児童相談所所長が、手続きの申し立てを家庭裁判所に行い、確認が成されます。養親候補の養育状況と、実親の同意の有無などが判断される段階です。
また、民間のあっせん団体を利用する場合は、申し立ての前に、養親としての研修や審査・面談といった手続きの手順が必要となる場合も。相談を希望する団体のホームページなどで、手続きの流れを確認することをおすすめします。
第1段階目の審判が確定すると、第2段階目の審判手続きとして縁組成立のための判断期間が設けられます。特別養子縁組の条件でも紹介された、6ヶ月以上の監護期間ですね。
監護期間において、養親子のマッチングについて問題なしと判断されると確定となります。縁組成立となり、戸籍の反映を経れば完了です。
特別養子縁組と普通養子縁組では、戸籍上の記載に違いが表れます。特別養子縁組の場合、戸籍上は「長男」または「長女」と記載されるようになっています。
対して、普通養子縁組の場合は、「養子」または「養女」という記載に。戸籍を見た場合、養子であることがハッキリと分かるのですね。
養子と養親の年齢に関しても、違いが見られます。特別養子縁組では、子供の年齢は原則15歳未満、養親はどちらかが25歳以上であることが求められていましたね。
普通養子縁組の場合は、養子の年齢制限はありません。養親よりも年下であることが求められますが、条件が満たされていれば何歳であっても養子として受け入れることが可能です。また、養親の年齢は20歳以上であれば大丈夫ですし、独身であっても受け入れることができます。
特徴的な違いの一つとして、縁組の成立の仕方も挙げられます。特別養子縁組の場合、家庭裁判所に申し立てをして、審判を受けたうえで決定されることに。
対して、普通養子縁組は、養親が子供の親権者と契約することによって成立。特別養子縁組ほど、厳しい条件は設定されていません。
関係の解消(離縁)は、最も大きな違いとなります。特別養子縁組の場合、実親との法的な親子関係は解消されます。また、養親となった場合は、原則として子供と離縁することは認められていません。
普通養子縁組の場合は、実親との親子関係は解消されず継続していきます。特殊な事情がない限り、解消されない方が子供にとっても益があるためです。正式に縁組した後も、養親との離縁は認められています。
特別養子縁組と普通養子縁組の違い
特別養子縁組 | 普通養子縁組 | |
戸籍上の記載 | 長男・長女 | 養子・養女 |
養子の年齢 | 原則15歳未満 | 制限なし(ただし養親より年下) |
養親の年齢 | 25歳以上の夫婦 | 20歳以上 |
縁組の成立 | 家庭裁判所が決定 | 養親と子供の親権者で契約 |
実親との離縁 | 必要 | 必要としない |
養親との離縁 | 原則認められない | 認められる |
特別養子縁組は、子供に対する福祉の推進を目的とした制度。貧困や虐待を防ぐための、SDGsの目標とも深い関わりがあると考えられています。
条件や手続きといった内容をチェックしながら、このような制度があることを是非意識してみてくださいね。子どもたちの幸せな将来の手助けができるかもしれません。
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