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ベジタリアンには種類があった!それぞれの定義と食生活の違いを解説
ベジタリアンには種類があるって本当?野菜を中心に食べるだけじゃないの?あまり知られていないベジタリアンの種類について、タイプ別にまとめてみました。気軽に始められそうなものから、かなり厳しい決まりがあるものまで、ぜひチェックしてみてください。
2021.04.08公開
菜食主義を意味するベジタリアンの語源は、英語の「ベジタブル(Vegetable)」ではないと言われています。ラテン語の「ベジェトゥス(Vegetus)」が語源だとされていて、「健全な・新鮮な・活力のある・生命力のある」という意味を持ちます。
ベジタリアンという言葉は、1847年に発足した、イギリスのベジタリアン協会によって使われ始めました。「ベジェトゥス(Vegetus)」と「ベジタブル(Vegetable)」をかけて誕生した言葉という説もあります。ちなみに、日本語の「菜食主義」は、「Vegetarianism」の訳語だとされています。
ベジタリアンとなる理由には、様々なものがあります。最もよく知られているのは動物愛護や、宗教上の理由によるもの。また、菜食主義のほうが体に良さそう、体質的に動物性食品が合わないという、健康上の理由でベジタリアンになる場合もあります。
さらに、近年になって普及し始めている理由が、環境保護の観点からベジタリアンになるというもの。畜産業が温室効果ガスの排出量を増やしているという考えから、肉の消費量を減らすためにベジタリアンになる人が増えています。
ベジタリアンとなる理由
ベジタリアンと一言でまとめても、種類や分類法は多岐にわたります。10種類以内としているものもあれば、20種類近くあると分類している場合も。
また、食品によって分類される方法もあれば、主義や食事法などで分類される方法もあります。ご紹介するものの他にも、ベジタリアンの種類や分類法があるので、この記事の内容以外にも気になる場合には、是非調べてみてくださいね。
「ヴィーガン」とは、野菜や果物といった植物性の食品のみを口にする、ベジタリアンの一種。完全菜食主義とも呼ばれ、魚や肉はもちろん、卵や乳製品、はちみつさえも摂取しないという食生活を送ることが特徴です。
また、意外なことに砂糖さえもNG。製造過程で動物の骨が使用されていることが理由だと言われています。もちろん、砂糖を利用した加工食品もすべてNGとされています。ちなみに、ヴィーガンの語源は「Veg (etari) an」という短縮だと言われています。
「オリエンタル・ベジタリアン」も、野菜や果物などの植物性の食品のみを摂取するタイプになります。基本的にヴィーガンに近い食生活を送りますが、「五葷(ごくん)」をNGとしている点に違いが。仏教や道教の考えに基づいたものだとされています。
「五葷」とは、辛味や臭気のある5種類の野菜のこと。主に「ニンニク・ニラ・ネギ・ラッキョウ・ノビル」などが該当します。ただし、場所によっては乳製品を使うこともあるので、注意が必要です。完全菜食主義を意識するのであれば、オリエンタル・ベジタリアンのお店では事前に食材を訪ねておくようにしましょう。
「フルータリアン」とは、植物性の食品の中でも、フルーツやナッツ類のみを摂取する人のこと。より生命を奪わない食生活を送るという考えのもと、誕生したと言われています。
フルータリアンがより生命を奪わないとされる理由は、食べた果実の種を土に返せば、命を繋いでいけるため。野菜だと、収穫した段階で生命を奪っていることになります。とくに厳格なフルータリアンの場合は、殺虫剤や農薬を使わないで栽培されたものや、植物から自然に落ちた果実のみを口にすることに拘ることも。
「ラクト・ベジタリアン」は、一部の動物性食品もOKとするベジタリアンの一種。植物性の食品に加えて、動物の乳の摂取は許容と定義付けられたもの。搾乳は直接動物の生命を奪わないことから、許容されていると考えられています。
ちなみに、「ラクト(Lacto)」とは、ラテン語で「乳」を意味する言葉。チーズやヨーグルト、バターやクリームといった乳製品も、ラクト・ベジタリアンの食生活に組み込まれます。
一部の動物性食品をOKとするベジタリアンの種類には、「オボ・ベジタリアン」と呼ばれるものもあります。「オボ(Ovum)」は、ラテン語で卵を意味する言葉。植物性食品に加えて、卵の摂取をOKとしているタイプになります。
卵なら、鳥類だけでなく魚類や甲殻類のものもOKとすることも。中には、無精卵のみに拘る人もいます。ただし、オボ・ベジタリアンでは、卵は許容でも動物の乳は摂取しないことになっています。
ベジタリアンには、「ラクト・オボ・ベジタリアン」と呼ばれる種類もあります。名称の通り、植物性食品に加えて、動物の乳と卵の摂取をよしとしているものです。
欧米においては、動物の乳と卵は摂取するのが、最も一般的な菜食主義だと言われています。そのため、欧米における「ベジタリアン」とは、厳密にはラクト・オボ・ベジタリアンを指していることが多いとされています。
「ペスコ・ベジタリアン」は、植物性の食品に加えて、魚は食べるというタイプのベジタリアンのこと。「ペスコ(Pesco)」は魚を意味します。「ペスカタリアン」または「ペスキタリアン」と呼ばれることも。肉は食べませんが、卵や動物の乳は許容とすることもあります。
魚はOKでも肉はダメという食生活の背景には、温室効果ガスの排出量が関わっているケースがあります。牛肉・ラム肉を中心の食生活を送るよりも、魚中心の食生活とした方が、温室効果ガスの排出量が少ないと言われているため。線引きは個人によって異なるので、もちろん他の理由も考えられます。
「ポーヨ・ベジタリアン」は、鶏肉は食べる種類のベジタリアン。「ポーヨ(Pollo)」は鶏肉を意味しますが、ターキーを始めとした鳥類の肉は許容されています。また、卵や動物の乳、白身魚をOKとするケースも。完全にNGとされるのは赤身の肉だけになります。
ポーヨ・ベジタリアンに拘る背景には、鶏肉の温室効果ガス排出量が少ないことや、復活祭の前の期間に赤身肉を口にしないキリスト教の教派があることが関係していると考えられています。また、いきなり完全菜食主義に切り替えるのは難しいと考える人が、ヴィーガンの前段階として選択することも。
「フレキシタリアン」は、基本的に菜食主義だけど、ときどき肉食を取り入れるタイプのベジタリアンのこと。柔軟を意味する「フレキシブル(Flexible)」と「ベジタリアン」をかけ合わせて作られた言葉です。
セミ・ベジタリアンとも呼ばれ、基本的に普通の食生活で、ときどき菜食主義を取り入れることを指す場合もあります。取り入れなければいけない期間や頻度は、厳密に定められていないので、気軽に挑戦することができます。
「リデュースタリアン」は、食生活の中から肉の量を減らすことを目的としているベジタリアンのこと。減量を意味する「リデュース(Reduce)」が語源となっています。
リデュースタリアンは、植物食をベースにして肉の摂取量を減らすことで、環境保護や動物愛護、健康改善に繋げたいという考えから誕生しました。リデュースタリアンを提唱し始めた人物によると、ヴィーガンやラクト・オボ・ベジタリアン、フレキシタリアンといった全てのベジタリアンの種類を包括するとも言われています。
「マクロビオティック」は、食事法が特定されるベジタリアンの一種。「マクロビ」と短縮して呼ばれることもあります。マクロビオティックは、玄米食を中心に、野菜や海藻、豆などをバランス良く食べる方法のこと。肉や魚、卵や乳製品はなるべく控え、季節の旬のものを丸ごといただくことがポイントだとされています。
マクロビオティックは、ギリシャ語で大いなる生命の術という意味の「Macrobiotic」の名を持ちますが、じつは明治時代に日本で考案された食事法。食餌療法という側面も持ちます。
「ロー・ヴィーガン」は、加熱処理の温度が特定されているベジタリアンの一種になります。生を意味する「ロー(Raw)」が語源。
ロー・ヴィーガンは、基本的に、48℃以下で加熱処理された植物性の食品のみをいただく食事法。48℃以上になると、ローではなくなってしまうと考えられています。
ローフードの考え方をもとに派生したもので、調理中の48℃以上の加熱処理は、野菜などの食品に含まれる酵素を破壊するとしています。その結果、食品の栄養価が下がることを、低温の加熱処理で防ごうとしているのですね。
「ホールフード・ベジタリアン」は、野菜や果実、穀物などを、皮や葉を含めて丸ごと利用して食べるベジタリアンのこと。「ホールフード(Whole Food)」は、丸ごとの食べ物を意味する言葉になります。ホールフード・ベジタリアンは、意識的に未精製の食品や自然食品を摂るという考え方から派生したものです。
野菜や果実などを丸ごといただくことは、食品ロスの防止にも繋がります。そのため、ホールフード・ベジタリアンは、環境問題を意識して実践されることが多いのが特徴。ちなみに、植物性食品でも精製加工されたものはNGとなっています。
ベジタリアンとは、菜食主義の総称のこと。細かく見ていくと、実に様々な種類が存在することが分かります。菜食主義と言われると身構えてしまいそうになりますが、種類によっては気軽に実践できそうなものも。
ベジタリアンでも、何を食べるのか、どんな理由で食べるのか、線引きは個人によって異なります。色々な種類を押さえて、自分なりの食べ方を見つけていくのも良いですね。
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