Wellness
旅ライターが選ぶ!近場で叶えるstaycation!今こそ行きたい湯河原のおすすめ温泉宿2選
生い茂る緑の中に高級旅館が軒を並べる温泉地、奥湯河原。都心から車で約1時間半、新幹線+列車とタクシーを駆使してもわずか1時間強。温泉地でありながらも賑やかさや忙しさはなく、日常の喧騒から離れた、知る人ぞ知る隠れた秘境に辿り着きます。「丸一日休みができたから」「温泉に浸かりたくなったから」「ただリラックスしたいから」と、思いつきでふらりと足を運べるアクセスの良さこそが、ワンランク上の大人女子旅には最適です。湯河原の数ある温泉旅館の中から、旅ライターである筆者が訪れたおすすめの2つをご紹介します。
2021.03.12公開
おすすめポイント
建ち並ぶ老舗旅館や別荘地を過ぎ、車一台しか通れないような細い山道を抜けて辿り着いた高台に突如現れた現代建築は、2019年末に開業したばかりの【三輪 湯河原】まるで美術館かのような佇まいで、一面黒い壁に凝縮した光の塊のようなファザードが山の稜線に沿って広がり、まず目を奪われます。
扉の向こうのエントランスでは、天井から水滴が落ちるたび水盤を揺らしながら波紋を広げ、耳を澄ますと小さな水音が呼応していく…その幻想的な光景に心を奪われます。
窓全面に広がる深い森と一体化するように設計されたロビースペースは、昼から夕、夜につれて表情を変えていきます。
設計を手掛けたのは内田デザイン研究所。スタイリッシュで洗練された建築に、温もりを与えるインテリアと、刻々と移り変わる景色。従来の温泉旅館の概念をガラッと覆すような佇まい。わずか17室という限られたゲストだけを迎える、ミニマルだけど粋な空間が、これから始まる大人のための時間に誘い出してくれます。
客室は全て掛け流しの露天風呂を設え、デザインの異なる3タイプで構成されています。今回宿泊したのは1階に位置する「木立ツイン」
この部屋を象徴するのは、森に囲まれた真っ白な正円のバスタブ。白く丸みを帯びたやわらかなデザインが周囲の緑に映えていっそう美しく、木立の合間から時折あたたかな木漏れ日が湯船に差し込んで、水面をキラキラさせています。鳥の囀り、虫の声、木々の匂いを感じながら、思わずフゥッと深呼吸をしたくなるほど。
木目の美しいオークのフローリングは裸足でも過ごしやすく気持ちがいい。インテリアデザイナー下田圭一氏が手掛けたソファやシモンズ製ベッドは居心地が良く、モダンでありながらもどこか温かみが感じられて、おこもりステイにも良さそう。
冷蔵庫内のビールやご当地ドリンクはコンプリメンタリーというのも嬉しい。ささやかな心遣いの数々が、なにげない時間に寄り添いながら、忙しい日常を忘れさせてくれるよう。
山と海に囲まれた湯河原は美味しい食材に恵まれ、相模湾で水揚げされる天然地魚や地産の野菜を取り入れながら、和にイタリアンのエッセンスを織り交ぜた、全10品の創作コースを味わえます。
名物のトリュフご飯はふっくら炊き上がった魚沼産コシヒカリに、擦りたての黒トリュフを豪快にのせた贅沢の極み。芳醇なトリュフの香りが広がり、思わず頬が緩みます。
光と水が揺れ動く8席のバーカウンターで、お酒と語らいのひと時を。トチの木で造られた6mのカウンターは、森を抜けて遠くの山を水平に切り取ったよう。夜空を見上げれば満天の星空が広がり、季節によってはこの辺りでタヌキに出会えるとか。同じ神奈川県にいながらにして、こんなにも自然を近くに感じられる場所があるなんて。
山に日が昇り、静寂な森が広がっていく。澄んだ空気が光に満ちていく。自然との境目が曖昧になり、五感が目覚めていく。湯河原という土地そのものが持つ豊かさに直結する時間と場所。森羅万象に感謝し、また新たな気持ちで日々の生活を営んでいこうと思える、そんな特別な滞在。
詳細
おすすめポイント
奥湯河原の名だたる温泉旅館の中でも、2019年に【奥湯河原 結唯(ゆい)】の一画に増築されたばかりの【紫葉(しよう)】
紫陽花の花びらに由来し、【紫夕】【紫峯】【朝葱】【桃花】と呼ばれる4棟の離れが独立して建ち、一棟丸々貸し切ることができます。各客室の前に車を乗り付けられるため、滞在中はほかのゲストと顔を合わせることなく、完全なるプライベートを保てます。
日本邸宅の風情をそのままに、家具職人による遊び心とセンスが随所に光る内装、そして何より、持て余すほどの贅沢すぎる空間作りは見事で、都心に暮らす意識高めな大人たちの心さえがっちり掴みます。
清流の上にせせり出すように設計された露天風呂から見える景色は絶景で、川のせせらぎ、滝の水飛沫、木々の揺らめき、新緑の香り、鳥の囀り、虫の鳴き声…。森の中に溶け込むように、ありとあらゆる自然現象を五感で楽しむことができ、ただそこにいるだけで浄化されていくよう。柔らかい泉質とふわっと吹き付ける風が心地よく、やさしく肌を包み込んでくれるからついつい長湯をしてしまうほど。時期によっては蛍や紅葉を鑑賞できたり、四季折々の風景を湯処から堪能できるのもこの空間ならではの魅力。
一棟貸切なので、家族や仲間と同じ空間で過ごすことができて、まるで別荘に滞在しているような、今までとは違った楽しみ方ができるのもまた強みです。別荘気分で寛ぎながらも、隣接した旅館のお食事やおもてなしを同時にしっかり受けることができる、温泉旅館の域を超えた全く新しい宿泊スタイルがそこにあります。
静かにゆったりと流れる時間の中で、読書に没頭したり、仲間と談笑したり、湯浴みや森林浴をしたり、過ごし方も人それぞれ。ヨガをするのに十分なウッドデッキで、目覚めのストレッチやメディテーションをするのも良さそう。ある種のリトリート施設のような使い方もできそう。
この地に身を置くやいなや、スマホのスイッチをオフにして、デジタルデトックス。何をするでもなく、何もしない時間こそが、私たち現代人に必要な最上級の贅沢なのかも。
詳細
17歳から読者モデルとして「Vivi」「JJ」「non-no」など多数女性誌に出演。MBSラジオパーソナリティとして出演。大学卒業後、化粧品会社勤務を経て、フリーランスに転身し、ヨガインストラクターを務める傍ら、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は40カ国以上。特にタイに精通し、渡航回数は20回以上。ハワイ留学経験有り。現在は拠点をロサンゼルスに移し、東京と行き来してデュアルライフを送る。
渡辺由布子さんの新着記事はこちら
最近の記事
Recent articles
「手つかずの地球(ジオ)の風景がおもてなし」。地球や人との繋がりに思いを馳せるジオホテル
本質的なモノ・コト・旅を紹介する「My Muse Selection」。今回は、島根県・隠岐諸島に位置する“泊まれるジオパークの拠点” 「Entô」をご紹介。
2024.12.09
Wellness
Culture
「自分の可能性にオープンであることが、新しい道を切り拓く」NY在住キュレーター・斯波雅子さんが導く日本アート界の新境地
NY在住歴は約20年。現地でアート団体を運営する斯波雅子さんにインタビュー。大学時代からアートに魅了され、アート界の中心地でもあるNYで転職を繰り返しながらアーティストをサポート。2020年に独立し、アート&テック系の事業会社や非営利団体を立ち上げた彼女。活動の真意や、そのうえで大切にしているマインドなどを伺ってみました。 Photo by Dave Krugman
2024.12.05
Interview
Career
「一人ひとりが成長ではなく、“成熟”していく世界へ」食べる瞑想を通して伝えたい、本質的な豊かさとは/Zen Eating代表・Momoeさん
禅や食べる瞑想「Zen Eating」を伝えながら、国内外で活動しているZen Eating代表・Momoeさんにインタビュー。食べる瞑想「Zen Eating」とは、今日からできる、幸せな食事の方法です。そして、私たちがあらゆるものとつながっているということを気づかせてくれます。Momoeさんが、Zen Eatingを通して実現したい世界とは? そして、今後の世界で問われる、本質的なWell-beingとは。
2024.12.01
Interview
Wellness
♯グッドバイブスウーマンvol.6<鈴木優菜さん/衣装・刺繍作家>
#グッドバイブスウーマン。その方の信念や生き方、在り方がわかるような、「10の質問」をお届けします。本連載は、グッドバイブスな友人・知人をご紹介していくリレー形式。第六回目にご登場いただくのは、衣装・刺繍作家の鈴木優菜さん。
2024.11.22
Interview
♯グッドバイブスウーマンvol.5<山田祐実さん/フリーランスカメラマン>
#グッドバイブスウーマン。その方の信念や生き方、在り方がわかるような、「10の質問」をお届けします。本連載は、グッドバイブスな友人・知人をご紹介していくリレー形式。第五回目にご登場いただくのは、フリーランスカメラマンの山田祐実さん。
2024.11.12
Interview