サピオセクシャル（Sapiosexual）は、知性に性的魅力を感じるセクシャリティを意味します。サピオセクシャルの語源は、「賢明さ」を意味するラテン語の「サピオ」から取られているのが特徴。相手の性別や外見などには囚われず、「知性がある」と感じた人に惹かれるのです。

西オーストラリアで行われた調査によると、サピオセクシャルの人の割合は1〜8%ほどと結論づけられています。自身がサピオセクシャルだと認識している人は少ないため、実際はもっと人数が多いとも言われています。またサピオセクシャルは、男性よりも女性に多いのも特徴。

サピオセクシャルの性的指向の特徴として、学歴や地位に魅力を感じるわけではない、というものがあります。例えば頭が良い職業に就いていたり、有名な大学に通っていたりなど。こういったステータスとしての頭の良さには、惹かれない人が多いのです。

サピオセクシャルが意味する「知性」とは、面白い言葉の言い回しをしたり、知的な会話を好んだりといったもの。所作や発言に知性が垣間見える人に対して、魅力を感じるのです。

サピオセクシャルだからといって、その人自身の知的能力が高いとは限りません。自分に知識があってもなくても、相手の知性に惹きつけられるのが、サピオセクシャルの性的指向。そのため、「自分と同レベルの知的な会話がしたい」と感じる人は、サピオセクシャルには該当しません。

以下の記事では、セクシャルマイノリティに分類される指向について解説しています。LGBTやサピオセクシャル以外にも数多く存在する、あらゆるセクシャリティについて調べてみたい方は、是非ご覧になってみてください。

サピオロマンティックは、サピオセクシャルと意味が混合されやすい言葉。語感は似ていますが、意味するセクシャリティは大きく異なります。以下にサピオロマンティックの特徴や、サピオセクシャルとの違いをまとめていますので、参考にしてみてください。

サピオロマンティックは、知性に恋愛感情を抱くのが特徴。サピオロマンティックの方が恋愛対象とする「知性」は、サピオセクシャルと同様に相手の知的能力。

サピオロマンティックだからといって、社会的地位や学歴に必ずしも惹かれるわけではありません。身体的な魅力やジェンダーなどに関わらず、知性に恋愛感情を抱くのです。

サピオセクシャルとサピオロマンティックの大きな違いは、「指向」にあります。サピオセクシャルは知性に「性的魅力」を感じますが、サピオロマンティックは知性に「恋愛感情」を抱きます。例えばサピオセクシャルの場合、知性のある人に性的に惹かれるため、恋愛感情の有無は関連しません。

一方サピオロマンティックは、知性がある人に恋愛感情を抱くのが特徴。性的感情の有無は問われません。この2つは似ているようで異なるセクシャリティですので、違うものと認識してください。

サピオセクシャルの性格的特徴として、知性が感じられる場所を好むことが挙げられます。歴史的な場所や美術館、図書館など、落ち着いて知的欲求を満たせる場所に行くのです。自分が追求したい物事があれば、深く入り込んで徹底的に学ぼうとするのも特徴。

サピオセクシャルの人は、自分が興味を持ったものにはとことん熱中します。これは「知性に触れたい」という気持ちを満たすための行為であり、知的な場所に行くことで性的欲求が解消されることも。自分の出世や就職、進学のために知識を取り入れているわけではありません。

物事の裏側に興味を持つのも、サピオセクシャルの性格。例えばイベントや発表会などを見た際、見えている表舞台よりも裏で何が行われているのかに興味を持ちます。物事が行われた背景や、そのイベントが作り上げられる過程などに、強い魅力を感じるのが特徴。

サピオセクシャルの人は、比喩表現やジョークを好む傾向にあります。普通とは違う言い回しや、皮肉めいた言葉遣いに知性を感じ、心が惹かれる性的指向なのです。物事を真っ直ぐに表現するのではなく、わざと遠回しに伝えようとすることも。

当たり前の会話であっても、言葉をことわざや四字熟語などに言い換えて楽しみます。知性が感じられる会話を好むため、伝わりやすくわかりやすい文章にはほとんど興味を抱きません。

美しい写真よりも言葉や文章に魅力を感じるのも、サピオセクシャルの特徴。ブログやInstagram、ツイッターなどのコンテンツを判断する際、そこに使われている言葉使いに注目するのです。綺麗に整理されていたり、一定のリズムがあったりする文章を見ると、快感を覚えることも。

美しい文章を見ると、「すごい」と感動するだけではなく性的に興奮するのです。ただし、文章の感じ方や魅力を抱くポイントは、人によって大きく異なるもの。サピオセクシャルの人全てが、同じ文章に性的魅力を感じるというわけではありません。

サピオセクシャルの人は、無難な会話を避ける傾向にあります。例えば、「今日は寒いですね」「この服かわいいね」などの日常会話。気の利いたやりとりを好むサピオセクシャルは、典型文がつながるような会話に興味を持てないのです。このような会話を振られた場合は、無難に返事をするのではなく捻った返しをするのも特徴。

サピオセクシャルの性的指向として、恋人とのディベートを好むというものがあります。他のセクシャリティの方がデートに行くように、サピオセクシャルは恋人と議論をして過ごすのが特徴。自分が勝つか負けるかは関係なく、相手と意見を交わすことで性的欲求を満たします。

恋人との親密度を高めるためにボディタッチをするように、ディベートや議論を楽しむのですね。知的な会話で性的欲求を満たすことができるため、恋人と身体の関係は持たないという人も。

サピオセクシャルは、相手の持ち物のセンスが良いかどうかをチェックすると言われています。ファッションアイテムや鞄、時計や小物などに目を配り、センスが表れているか確認するのです。

アンティークやヴィンテージなど、知性を感じられるアイテムを持っている人がいた場合、その人に性的魅力を感じることも。「素敵な持ち物を持っているから」という理由で、交際が始まるケースも珍しくありません。

サピオセクシャルの人は、「相手との会話が弾むかどうか」を重要視する傾向にあります。いくら相手に知性があったとしても、自分との会話が弾まなければ交際には発展しないとか。サピオセクシャルが付き合いたいと感じるのは、自分が思う「知的な会話」を楽しめる人なのです。

そのためサピオセクシャルのデートは、会話中心のものになることがほとんど。遊園地や水族館などに行くのではなく、映画について語り合ったりカフェでゆっくり話したりすることを好みます。

サピオセクシャルとは、顔や性格ではなく知性に惹かれる性的指向の一つ。セクシャルマイノリティの中でも認知度が低く、なかなか理解されないのが現状です。今回紹介した意味や特徴を参考に、サピオセクシャルについての理解を深めてください。