「現代のセクシャルウェルネスの再定義」をテーマに、固定概念や常識に捉われない日本発の「セクシャルライフブランド」BONHEUR(ボヌール)。
5月からリリースされる最初のプロダクトは、リラックス効果や、心地よい睡眠をサポートしてくれると言われるヘンプの種子と茎に含まれる合法成分CBD(カンナビジオール)を用いたユニークなプロダクトが特徴です。ユーザーの心と身体の健康を考え、セクシャルウェルネスを日常の一部に取り入れられるようなプロダクト展開をしています。
パートナーと過ごす特別な時間の前に摂取することで、緊張を解きほぐし、パートナーとのナイトタイムをサポートしたり、睡眠前の導入にも使用できるCBDオイルや、デリケートゾーンの潤いをサポートするローション、睡眠前にゆっくり呼吸するようにして吸い込むことで、緊張を解きほぐし、集中力を高めてくれるベイプなどを展開予定です。
今回は代表の馬場早希さんから、セクシャルウェルネスのプロダクト開発に至ったきっかけや、ブランド立ち上げまでのストーリー、現在の会社のことや、今後の展望について伺いました。
今のビジネスを始めることになったきっかけは?
8年ほど前に、日本でも女性向けのセルフプレジャートイなどが登場して、「セクシャルウェルネス=性の健康」として捉えられる文化になり、こういったトピックを話しても変に扱われることもなくなってきましたよね。
私の場合は、このカルチャーが生まれる前も「私が話すことによって、誰かの解決に繋がることもあるはず」と思っていました。だから、女性が性の話をすることで周りに何か言われても、馬鹿にされているとは思わなかったし、傷ついたりもしませんでした。むしろ笑って過ごしていたくらい!
でも友達との会話の中で、その人の悩みの解決に繋がる何かがあったとしても、私たちの会話が外に出ることはないから、二人の会話の中だけで完結してしまって、他の人の役に立ってないと気づいて。もっと多くの人に届けていきたいなと思ったんです。
それがアダルト製品に関するブランドを作りたいと思うきっかけになりました。7年ほど前の23歳の時でしたね。
まず何からスタートしましたか?
最初はメディアを作ることも考えていたのですが、個人の発信となると、この分野自体、正解がなくて不確実だなと。どんな形で伝えていくのがベストか模索していたときに、アート作品にまず辿り着きました。創業当時、お金がなくて全て一人でやっていたので、周りの友達を呼んで撮影しました。
アート作品からスタートして、商品企画、販売にシフトしていったきっかけは?
物販だったら、自分の思いが伝わりやすいと思ったんです。商品の中で、伝えたい項目が全て文章で網羅されていなくても、コンセプトやストーリーをが伝われば、ぼんやりでもいいからその思いが伝わると感じました。
前職では、商品企画や販売に携わっていたので、その経験も活かして、ブランドを立ち上げようと決めたんです。
前職でもアダルト製品や、セクシャルウェルネスの商品を作っていたんですか?
最初の商品開発は、家電製品。大手ECサイトでも販売していて、結構売れていたんですよ(笑)当時は、商品開発、経営、発送周りまで、ほぼ全ての業務を担当していました。忙しすぎて、自分の仕事を周りの人に振れなくてパンクしちゃったことも・・・その時、物販って大変だなと感じましたね。
その時は、やりたい商品というより、売れる商品に携わっていました。その当時私が携わっていた商品には、やりがいはあっても、思い入れが少なかったんです。ならば自分で、ブランドを立ち上げて育てていこうと思っていました。
一時的に売れている商品は生産寿命があって、いつか廃れてしまうのが見えていました。生産性もないし、人のためにもならないのでモチベーションの下降にも繋がっていた気がします。
全て一人でされていたんですね!大変そうです・・・
一人でやるメリットは小回りもきくし、モチベーションとやる気さえあれば、一人で形作っていけること。デメリットとしては、周りの意見やセンスが加わらないので、自力でできることの限界があること。人に手伝ってもらうことで、自分では思いつかなかったアイデアが生み出せるので、今のチームがすごくありがたいです。
左は、馬場さんのパートナーで取締役の海斗さん。
現在のメンバーやチーム構成は?
フルコミットは4人です。夫が取締役で入ってくれていて、一緒に頑張ってくれています。年末に、今日インタビューにも同席している牧野夏姫さんが入ってくれました。私にない人格を持っているので、アイデアも参考になるし、色々と動いてくれるので、本当に助かっています。
デザイナーさんは、今の今のコワーキングスペースで出会った中国の方。好奇心だけでなく、素直に面白そうと言ってくれて。私の進め方や経営の部分でもすごく共感してくれて、一緒にやろうということになったんです。
ブランドのデザインやディレクションは私が行っていますが、関わるスタッフが同じ経営の目線を持ち、アイディアを出しながら、改善を行い、全員が自走する力があります。スタートアップ企業としてタイミングとスピード感も大事な面ではあるので、一緒にブランドを作る人が集まって非常に有り難いと思っています。
仕事を進める上で一番大切なのは、リレーションシップや連携の取りやすさ。自分が見えない範囲までの人は雇わないと決めているので、お任せできるところは信頼できる知り合いに外注でお願いしてたりもします。
CBDを取り入れることにしたきっかけは?
CBDって、実は私にとっては「おまけ」でしかなくて。CBDがなかったらセクシャルウェルネスと紐づけていない部分もあります。
私の中では、「アダルト製品×CBD」は単なるテストでしかないのですが、CBDとセクシャル分野は非常に相性がいいと感じています。私はセクシャルウェルネスを現代人の新しい文化にしたいと思っているので、そういった新しい文化を作りたいなという思いから、現在の商品開発をしています。
でも、アダルト製品というだけでイメージが悪くなるし、女性起業家は資金調達自体が難しいと言われることもある中で、言葉のチョイスが大事だなと日々感じています。「アダルト製品」としてのアプローチだと引かれてしまって、「セクシャルウェルネス」という表現だと難しくて理解してもらえないことも。
「アダルト製品のイメージを払拭させたい」というところでは、CBD以外との掛け合わせも考えられるかと思いますが、その中でもCBDを選んだ理由は?
カンナビノイド受容体って、エビデンスを探していくと人間の生殖器官に分布されているらしんです。薬機法の問題などは色々ありますが、成分自体が人体、それこそ子宮に付随する病気に効果的な可能性もあるって研究も進められています。
関心を持ってもらうきっかけ作りにするためにも、インパクトある成分やトレンドを組み込んで作っていきたいと思って、CBDがぴったりかなと思いました。
CBDは輸入も大変ですよね?
大変です。輸入には、3-4ヶ月くらい時間がかかりますし、今は輸入業者も少ないので、原料や輸送コストもかかってしまいます。なので、どうしてもCBD製品の価格も高くなってしまう。もっと広がってくれば、もう少し低価格でCBD製品を手に取ることができるようになるかもしれませんね。
BONHEURの今後のビジョンについて教えてください。
今後は商品のバリエーションも増やしながら、海外展開をしていくのが理想。5年後くらいには、中国でも市場を伸ばしたいと思っています。
中国って、日本以上に性をタブー視しているんです。中国で育った方から聞いた話ですが、人口が多い中国では、国民の所得ギャップが大きく、それに伴って、一人一人の生活も国民性もバラバラだそう。本当にタブー視されているから、夫婦間でも性の話ができない方が多いそうで・・・
でも、そんな中でも性にオープンで探究心がある方も一部いらっしゃって、その一部の方の存在がすごく大きい。例えば、今ビジネスに関わってくれているデザイナーの中国人の方や、その方のお友達は性に対してすごくオープンで。女性が力をつけて発信していったり、自分の幸福に対して追求しようという姿勢をリスペクトしています。
商品展開するには、やはり現地の人々や生活に寄り添う必要があるので、実際に現地に足を運んで、リアルな生活を見てみる必要があると感じています。どうやって商品を購入して、どういったケアをしているのかなど、中国の市場はまだまだ分からないことだらけですが、知らないことや、知らないものって興味が湧くし、だからこそ挑戦したいなって思いますね。
1991年生まれ。愛媛県今治市出身。国内外で自社商品の企画・販売をECコマースで運営を行う。20年8月に起業し、FemtechのSexual Wellnessの領域でBONHEURを設立。21年4月に第三者割当増資を実施。
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