Wellness
プラントベースとは?ベジタリアンやヴィーガンとの違い、食生活について。
プラントベースという、食事の概念があることをご存知ですか?意味や定義と一緒に、代表例なども詳しくご紹介していきます。ベジタリアンやヴィーガンとの違いも照らし合わせながら、プラントベースについての理解を深めていきましょう。
2021.05.16公開
「プラントベース(Plant based)」とは、動物由来の原料を使った製品および食品を避けるライフスタイルのこと。1940年代のイギリスで誕生した、ヴィーガニズムの派生とされていて、可能な限り植物由来の製品および食品を取り入れるようにする考えです。
プラントベースは、文字通り、植物ベースのライフスタイルを目指すもの。ただし、現在ではライフスタイルそのものを意味することは、あまりありません。時代の流れとともに、プラントベースの定義も少しずつ変化したためだと考えられています。
1980年代に入ると、プラントベースの意味は、食生活だけを指すものに変化。アメリカの栄養生化学者であるT・コリン・キャンベル博士が、栄養学の世界にプラントベースという用語をもたらしたことがきっかけです。健康に焦点をあてた、「低脂肪かつ高繊維な植物由来の食事」という定義で有名になりました。
そのため、プラントベースは、植物由来の食べ物を中心にした食生活そのものを意味する言葉として使われるように。現在、日本で使用されているプラントベースという言葉は、概ね食生活を指しているものと捉えて良いでしょう。
2010年代に入ると、健康志向や環境保護という意識の高まりから、プラントベースが注目されるように。市場が拡大するとともに、植物由来の食品そのものを意味するようにもなりました。
厳密にはプラントベースフードという名称になりますが、省略された形で用いられることも。植物由来原料100%で作られた食品、あるいは大部分が植物由来原料の食品が該当します。植物の特性のまま利用したものもあれば、プラントベースミートのように、見た目や食感を本物の肉のように加工した食品なども見られます。
プラントベースとベジタリアン・ヴィーガンを比較すると、食品の種類に違いが見られます。プラントベースは、植物由来の食べ物を中心としますが、動物由来の食品をNGとしているわけではありません。
ベジタリアンは菜食主義者を意味しますが、色々なタイプに分類されることが特徴。菜食主義とは言っても、卵・乳製品の摂取はOK、魚介類もOK、肉食をフレキシブルに取り入れるなど、幅広いタイプに分かれます。
ヴィーガンの場合は、完全菜食主義者となるため、動物由来の食品は絶対にNG。肉や卵、乳製品だけでなく、ハチミツや精製の過程で動物性の原料を使う砂糖などもNGとされています。
コンセプトに関しても、プラントベースとベジタリアン・ヴィーガンでは異なります。プラントベースの食生活のコンセプトは、「植物由来の食品を積極的に摂取する」というもの。ベジタリアンやヴィーガンは、「動物由来の食べ物を可能な限り摂らない」というコンセプトの食生活になります。
プラントベースと、ベジタリアン・ヴィーガンは思想の面でも違いが見られます。プラントベースが目指すものは、病気の予防や健全なダイエットといった、健康的な食生活です。例外として、環境保護を目指すケースもあります。
ベジタリアン・ヴィーガンの場合は、動物愛護や福祉といった考えに基づいたもの。宗教的な思想から菜食主義となる場合もあります。
プラントベースは、イメージの面でもベジタリアン・ヴィーガンとは異なります。特にヴィーガンの場合は、厳格なイメージがあり敷居が高いという印象が。プラントベースであれば、より柔軟な食生活ができるイメージがあるため、消費者に支持されやすい表現になっています。
そのため、本質的にはベジタリアン・ヴィーガンであっても、プラントベースという表記が選ばれることが。消費者を敬遠させないようにと、一部の企業やレストランが採用するケースが見られます。
プラントベースな食生活は、ダイエット効果が期待できます。植物由来の食品は、動物由来のものよりも低脂肪かつ低カロリーです。また、食物繊維も多く、かさもあることから満腹感が得られやすいというメリットも。プラントベースダイエットという食事法もあり、注目を集めています。
プラントベースな食生活を送ることは、健康のサポートにも繋がります。厚生労働省の調査においても、植物由来食品の積極的な摂取は、生活習慣病の予防や健康的な生活を維持するために必要なこと。意識しなければ十分に摂取することが難しいため、プラントベースな食生活を送ることは大切です。
地球環境に配慮できることも、プラントベースが持つメリットの一つ。畜産業には、温室効果ガスの排出や、大量の水資源とエネルギーの消費が伴うというデメリットがあります。
プラントベースな食生活を送れば、肉食を控えることになり、畜産業の規模の縮小に繋がりますね。間接的に地球環境に配慮できるようになるため、プラントベースが推奨されています。
プラントベース食品には、「植物性ヨーグルト」のように動物性原料を植物性原料で置き換える製品が増加傾向に。プラントベース食品は、欧米で人気に火がつき、日本でもトレンド製品となりつつあります。
朝食のメニューとして人気のヨーグルトでも、アーモンドミルクや豆乳を原料としたものが購入可能。市場も拡大して、日本のスーパーでも簡単に手に入るようになりました。
アーモンドミルクのヨーグルト買ってみたんだけどめちゃくちゃ美味しい…!!
— きうい🥝 (@ri_co___pin) April 16, 2021
☑アンチエイジングに良いビタミンE豊富なアーモンド
☑甘味は糖として吸収されないフラクトオリゴ糖
マジで推せるヨーグルトだー!!! pic.twitter.com/P2bk21KCH4
日本のモスバーガーが提供するのが、植物由来原料で作られた「グリーンバーガー」。ハンバーガーといえば、牛肉のパティや卵が付きものですが、グリーンバーガーの主要原料には一切使用されていません。
パティは大豆を原料とした代替肉で、豆乳やこんにゃくで食べごたえを演出。ほうれん草を練り込んだバンズと一緒に堪能してみてください。
仏教の僧侶でも食べられる !? ヴィーガンすぎるモスバーガーの新作「グリーンバーガー」https://t.co/UU6Ni1KG55 pic.twitter.com/46EzkKAp7Z
— Pen Magazine (@Pen_magazine) June 17, 2020
日本のイケアストアでは、2020年からプラントラーメンという商品が販売されています。インスタントラーメンさえも、植物由来の原料100%で作られる時代になったのですね。
麺に関してもノンフライになっているので、低カロリーのカップラーメンとしてもおすすめ。塩味とカレー味の2種類が楽しめます。
日本のお土産や贈り物としても使える、プラントベーススイーツも開発されています。乳製品や卵といった食材はもちろん、ハチミツや動物の骨で精製した砂糖も不使用。プラントベースに拘る方はもちろん、ヴィーガンの方にもおすすめです。
和菓子メインではなく、クッキーやラングドシャなどの洋菓子が多いこともポイント。お土産物として有名な『東京ばな奈』からも商品が展開されています。
東京ばな奈から #ヴィーガン スイーツ誕生!動物性材料🐮🐷🐔不使用。(100%植物性🌱)バター、卵、白砂糖不使用。アーモンドミルク、てんさい糖使用。
— shin Japan First✨ (@shin_moral) March 12, 2020
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2020年3月15日(日)にJR東京駅限定で新発売。価格 4個680円(税込) 8個1,296円(税込)https://t.co/YEvzdARvOc pic.twitter.com/SWksd3zBxO
日本料理に欠かせない「出汁」も、プラントベースの考えのもと開発されたものがあります。市販の「だし調味料」は、鰹節や煮干しなどの魚介類を主原料にしたものも少なくありません。出汁に関してもプラントベースに拘わりたい方は、野菜から旨味を引き出して開発されたものを使ってみましょう。
サンプル百貨店さんから「カゴメ 野菜だし」をいただきました。野菜だけのお出汁。ベジブロスは手間がかかるから、このお出汁は手軽だね!優しいお味でした。ビーガンの人にもいいのかな?#カゴメ #野菜だし #野菜のうまみ #サンプル百貨店 pic.twitter.com/ai42IEdKU6
— かりやんぬ (@kariyan5678) June 30, 2020
プラントベースには色々な意味がありますが、主に植物由来の原料を中心とした食生活のことを指します。野菜の摂取量が増えるプラントベースは、健康志向の高まりとともに人気が急上昇。ヘルシーな食生活を目指したい方は、積極的にプラントベースを意識していきましょう。
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