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アウティングの意味とは。カミングアウトとの違いとその問題点を分かりやすく解説
皆さんは「アウティング」という言葉を聞いたことはありますか?アウティングは「セクシャリティを第三者が勝手に公表する」という行為を指し、様々な問題があるものです。今回は、その詳しい意味や問題点について解説。カミングアウトとの違いもまとめていますので、参考にしてみてください。
2021.05.27公開
アウティングとは、セクシャルマイノリティを抱える人の個人情報を、本人の許可なく第三者に暴露する行為。直接話すだけでなく、SNSなどに書き込むのもアウティングです。
セクシャルマイノリティを暴露した人は、「その人のためを思って」アウティングを行なった可能性もあります。しかし自分にまつわる秘密を暴露されるということは、精神的苦痛を与えてしまうもの。どんな理由があったとしても、アウティングは許されるものではありません。
アウティングは、暴露された本人を傷つけてしまう行為。カミングアウトは本人が「この人になら秘密を話せる」と、話をする範囲を決めることができます。しかしアウティングの場では、本人が知られる相手を選ぶことができません。
秘密が暴露されたことで信頼関係も崩れますし、知られたくなかった人にもセクシャリティが広まることも。「裏切られた」「隠したかった人に暴露された」という気持ちになり、深く傷ついてしまうのです。
アウティングされたことが原因で、命を絶ってしまった人がいるのも事実。代表的なのが、2015年に起こった「一橋大学アウティング事件」というものです。同性愛者であるAさんは、同級生のBさんに「自分がLGBTだ」ということをカミングアウトしました。
しかしこのBさんは、AさんのセクシャルマイノリティをLINEのグループでアウティング。信頼関係を裏切られたショックと、周りからの偏見に強い精神的苦痛を受けたAさんは、自ら命を絶ちました。
この一橋大学アウティング事件では、セクシャルマイノリティに対する認識についても議論されました。これは当時の大学側のハラスメント相談室が、アウティングを正しく理解しておらず、対応を誤ったことが問題に。この事件によって「アウティング」という言葉が広まり、社会問題にまで発展したのです。
アウティングの問題点として、本人のプライバシーを侵害してしまうというものがあります。LGBTやトランスジェンダーなどの性自認・性的指向は、個人情報に該当するもの。それを誰に開示し、誰に知らせないかは、本人のみが決められることです。
そのため、本人の性的指向や性自認を第三者が暴露するということは、プライバシー権の侵害に当たるのです。アウティング行為は、法律的に禁止されている行為でもあるのです。
アウティングの問題点に、損害賠償責任を負う可能性が高まるということもあります。これは個人だけでなく、企業にも当てはまるもの。会社は各社員に対して、働きやすい職場環境を保つことが求められています。
会社は社員のセクシャルマイノリティを、適切に管理する必要があります。それにも関わらずアウティングによって本人のプライバシーが侵害された場合、職場環境配慮義務違反となり損害賠償責任を負うことに。
ハラスメントやいじめが助長されてしまうのも、アウティングの問題点の一つ。LGBTやトランスジェンダーといったセクシャリティを第三者に公表され、差別的な扱いを受けた事例もあります。アウティングがきっかけでいじめを受け、勤務していた職場を退職した人も。
LGBTやトランスジェンダーへの理解が進んでいるとはいえ、まだまだ社会には差別や偏見が残っています。そんな中でセクシャルマイノリティを暴露されることは、かなりリスクがあるもの。アウティングは、本人の人生を滅茶苦茶にしかねない行為なのです。
アウティングの問題点に、本人との信頼関係を失ってしまうことがあります。性自認や性的指向を打ち明けるのには、大変な勇気が必要です。トランスジェンダーやLGBTを打ち明けるのは、それだけ相手を信頼しているという気持ちの現れ。
そんな相手からの信頼を裏切ってしまうのが、アウティングなのです。信用していた人に裏切られたという思いから、本人が精神的苦痛を感じるケースも。アウティングには、これまでに築いた信頼関係を一気に崩してしまうリスクがあるのです。
アウティングとカミングアウトは似ていますが、公表の仕方に大きな違いがあります。カミングアウトの語源は、「Come out of the closet(クローゼットから出る)」という言葉。自身のセクシャリティを隠す状態をクローゼットに見立て、自分から秘密を公表することを表します。
つまりカミングアウトは、「この人にセクシャリティを知ってほしい」という自由意思によって行われるもの。自分で言うべきか言わないべきか決められるため、プライバシー侵害などの問題も起こりません。第三者が勝手に本人のセクシャリティを言いふらすアウティングとは、公表方法に大きな相違点があるのですね。
アウティングとカミングアウトは、セクシャリティが広まる範囲も異なります。カミングアウトの場合、本人が「信頼できる」と感じた関係の人にのみ、セクシャリティが公表されるのが特徴。そのため、知られたくない人に性自認や性的指向が広まることはありません。
しかしアウティングの場合は、本人が想定していない範囲にセクシャリティが広まる可能性が高いのです。本人が公表範囲をコントロールできるか否かが、両者の大きな違いだと言えるでしょう。
アウティングをしないためには、本人に確認を取ることが大切。カミングアウトしている範囲は、本人にしかわかりません。友人には言っているけれど会社には伝えていないなど、セクシャリティを公表する範囲は人それぞれ。
もしカミングアウトの範囲を知らなかった場合、悪意はなくてもうっかりアウティングする危険があります。そのためカミングアウトをされた人は、どこまで本人がセクシャリティを伝えているのか把握することが必要。
アウティングをしないために求められるのが、セクシャルマイノリティへの知識を深めること。現在の社会では、まだまだLGBTやトランスジェンダーに対する偏見が多いもの。正しい知識を身につけることで、第三者にアウティングしたらどうなるのか想像でき、相手を傷つけることがなくなります。
また、昨今はジェンダーの違いを出来るだけなくそうという動きが高まっており、徐々に浸透しつつあります。このような動きもセクシャルマイノリティへの配慮や、多様なセクシャリティを受け入れる文化の形成を目的としています。身の回りのこのような変化にも是非目を向けてみてください。
社会全体でアウティングを防ぐには、防止対策を行うことが大切です。まだまだ現代社会には、アウティングという言葉が認知されていません。アウティングの概念を社会全体に広め、対策を講じることで、被害を抑えられるのです。
アウティングは、LGBTやトランスジェンダーなどのセクシャルマイノリティに悩む人を傷つけ、苦痛を与える行為。自分からセクシャルマイノリティを公表する「カミングアウト」とは異なり、第三者が個人情報を他人に暴露する、という意味があります。
アウティングはセクシャルマイノリティに悩む人に深い傷を負わせ、時には命を奪ってしまう危険な行動。個人や社会がアウティングの意味や問題を知り、理解しようとすることが求められます。
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