Wellness
もっと深い関係を築くために。カップルHIV検査のすすめ
”HIV”や”エイズ”という言葉、聞いた事はあるけれど、”遠い国で起こっている他人事”と感じている人も少なくないと思います。しかし実は私たちにとても身近で起こり得ること。日本では1日あたり約4名が新たに感染しており、感染者数は先進国の中で日本だけ毎年急増しています。検査の重要性が高まっている中で、私が彼と実際に行ったHIV検査についてご紹介します。
2021.06.01公開
”HIV”とは”ウイルスの名前で、正式には「ヒト免疫不全ウイルス」と呼ばれ、ヒトに感染すると免疫力を低下させるウイルスです。”HIV”に感染し、気づかないまま治療をせずにいると、免疫力が低下し、健康な人であればなんともない菌やウイルスでも様々な病気にかかる可能性が高くなります。これにより病気にかかることをエイズと言います。
HIVの主な感染経路
現在日本国内で最も多いのは①性交渉による感染です。
よく誤解されがちですが、HIVは空気感染やモノからの感染はしません。HIVを多く含むのは血液、精液、母乳や膣分泌液であり、汗、涙、唾液、尿等からの可能性はゼロです。なので普段の社会生活の中では感染の恐れはないのです。この知識を知らないが故に、HIV感染者への差別がいまだ消えないのです。
これまで私は、エイズはコンドーム未使用で性交渉をする同性愛者の間のみの病気だと思っていました。実際日本のHIV感染者の94.5%が男性です。
しかし、世界全体のデータを見ると、感染者の約半数が女性であり、男性同性間での感染は17%に過ぎず、ほとんどが異性間での感染だと知りました。コロナ前、外国との人の行き来が激しかった時に、もしかしたら日本にもそのような経路で渡ってきて、今後増加するかもしれないと感じました。
このコピーは公共広告機構エイズ財団が2006年に発表したものです。
「カレシの元カノの元カレを、知っていますか。エイズ検査は、あなたにも、必要です」
私はこのコピーを見た瞬間衝撃が走りました。HIV・エイズを身近に感じ始めた瞬間です。当時、ちょうど長くお付き合いしていた元彼と別れ、今の彼と出会ってお付き合いを始めてから少し経った頃だったので、彼の過去を知らない私は少し怖くなったのを覚えています。
また、相手の過去だけでなく「私の元カレはどうだったんだろう、私が既に感染していて今の彼にうつしてしまう可能性もある」と自分の無責任さに失望もしたことを覚えています。
今の彼とは、現代社会の問題や性のことについてもたまに話す関係でした。私たち2人の間に、疑問やズレを作りたくないと思い、私はすぐにHIVやエイズについて少し怖く感じたことや、自分の身体のについて知らないまま性交渉をすることに躊躇いがあることを伝えました。すると彼も合意してくれ、一緒に検査を受けに行くことになったのです。
日本では誰でも”無料”且つ”匿名”でHIV検査を指定の保健所で受けることができます。検査を受ける上での基本的なポイントをまとめました。
電話またはウェブサイトから事前予約をします。直近だと予約が埋まっているケースが多いので、余裕を持って予約しましょう。検査は”匿名”のため、メールアドレス以外の個人情報は入力不要でした。
予約完了後、指定のメールアドレス宛に予約番号が届くので、検査時や検査結果を聞く際にはその予約番号が自分の名前の代わりになります。大切に保管してください。
検査当日、保健所にて予約番号を提示し早速採血検査をします。その後出血が止まるまで少し待機し終了。1週間後以降に結果を聞きに来るため、また予約をし終了。トータル30分弱で全て終わりました。
私と彼は、結婚前提のパートナーとして2人で合意の元に共に検査を受けに行きました。しかし中には友人やカジュアルなお付き合いをしているパートナーと検査に来ているケースも少なくないようです。結果がもし陽性の場合、結果とともに専門の医療機関の紹介や説明等があるため、陰性の場合よりも長く時間がかかるようです。
また、自分が陽性だった場合、共に結果を聞きに来た相手にすぐに知られることに抵抗がある方もいるとのことで、その保健所では”結果は独りで聞きに来ることをお勧めします”とおっしゃっていました。
今回のように、大切なパートナーとのHIV検査は私たち2人の関係をレベルアップさせてくれたと感じています。
”自分と相手の身体について知った上で安心安全なセックスをする”ことももちろん大事なことです。しかしそれ以上に、この検査を通じて、本当の意味で相手を想い気遣うことがよりできるようになったと感じたり、世間的にタブーとされがちなトピックについて彼と話す機会が増えました。
普段触れないトピックだからこそ、そこに触れて理解し合えた時に2人の世界がもっと広がるのだなと思いました。ぜひ最初の一歩を恐れずに、多くの人に検査に行って欲しいと思います。
<参考>
20代OL/大手外資系キャリアコンサルタント/バックパッカー/新卒1年目で中絶を経験/誰もが生きやすい世の中実現のため、性教育支援や中絶経験者コミュニティー設立等活動中。
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