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4人に1人が経験している、日本の中絶問題について理解を深める
普段生活している中では、話題に出てこない「中絶」。日本では自然とタブーとされていますが、実は日本人女性の4人に1人が様々な事情から中絶を経験しています。一見話しにくいけれど、女性が自身を心身共に自由でいるには必要な権利の一つ、「中絶」の現状をご紹介します。
2021.08.12公開
「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその付属物を母体外に排出すること」であり、端的にいうと、「妊娠を中断するための手術」です。
世界の国際機関をはじめグローバルスタンダードでは、「産む、産まない」は女性の基本的人権あるいはプライバシーの権利とされており、女性が自由に生きる上での重要な権利と認められています。
●堕胎罪:明治時代には堕胎罪というものがあり、女性の中絶を手助けした人が罰せられていました。現代でも指定されていない医師が中絶に関与したり、妊婦本人の了承なく中絶手術を提供した人が罰せられる等の形で残っています。
●優生保護法:その後、日本で中絶が合法され始めたのが戦後1948年の「優生保護法」からです。当時は優生思想に基づいて、遺伝性疾患や知的障がい者への強制不妊手術が認められていました。
●母体保護法:1996年に旧優生保護法を改組してできた現代の法律で、条件を満たす場合のみ、中絶が認められています。
●未成年の場合は保護者の署名も必要な場合有
●ソウハ法
現代の日本の中絶の9割以上が行っている方法。特殊なスプーン状器具を用いて、子宮内の内容物を掻き出す方法
●吸引法
イメージとしては細い金属でできた掃除機のようなものを子宮内に挿入し、吸い出す方法
先ほど、中絶が認められるには妊婦本人だけでなく、その相手である男性の署名も必要だということを述べました。これは例外なくどんな場合でも必須であり、それは例えレイプやDV等の性犯罪であっても相手の署名が必要とされています。
女性が自由に生きる権利を守る上で、相手の署名が必須だという現状は、女性の自己決定権がないと問題視されています。
中絶薬は、WHO(世界保健機関)が「女性の体と心への負担がより少ない」として推奨している方法です。薬を服用し、人工的に流産を起こさせるもので、副作用として膣内の出血の場合がありますが、95%以上の確率で中絶が可能と言われています。
安価で緊急時にもアクセスしやすいと70ヵ国以上の国で使用されていますが、出血などのリスク、又簡単に中絶ができるようになると命を軽く考える若者が増加しかねないという政府の意向により、日本では違法とされています。
今年に入り、製薬会社が治験を重ねた上で安全性を証明し、政府に承認の申請をしている最中です。
避妊失敗後72時間以内に服用すると、最低でも84%の確率で妊娠を防ぐことができる「緊急避妊薬」。多くの国では薬局で安価に手に入りますが、日本では現在もまだ、病院で医師の診断を受ける必要があり、その上相場は10,000円〜20,000円程と高価です。
女性の身体を守るためにも、経済的理由や場所でリスクを負わせることはあってはならない問題です。多くの人の署名活動等があり、現在厚生労働省にて「緊急避妊薬を薬局で販売する」議論の本格化が始まり、検討されています。
中絶とはタブー視されがちなトピックであり、実際に私も自分が経験するまでは「悪」であると考えていました。しかし自身の中絶経験を通して、少なくともこの国に中絶という選択肢があってよかったと身をもって感じました。
「産む・産まない、いつ、どこで、だれと...etc」は女性が自ら選べるべきことであり、権利としてあるべき。もちろん、中絶を経験する人がゼロになることが、私たちの目標であり、そのために妊娠や中絶を未然に防ぐ性教育の普及や緊急避妊薬の認知も必要だと思います。しかし、より多くの人がタブーという先入観を捨て、助け合える社会になれるように、まずは知ること、話を聞くことから始めてみませんか?
20代OL/大手外資系キャリアコンサルタント/バックパッカー/新卒1年目で中絶を経験/誰もが生きやすい世の中実現のため、性教育支援や中絶経験者コミュニティー設立等活動中。
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