自分の手で人生を描き続けたいと願うすべての人に向けて、あらゆるライフスタイルを叶えるための、自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」。
PMS(月経前症候群)や生理痛、妊娠、更年期と、女性は一生を通してホルモンに大きな影響を受けて生きています。年齢や月の生理周期による自分自身のホルモンの変化を知ることで、ライフスタイルやキャリアプランの選択肢を増やしたい!そんな願いから誕生しました。
今回は、今注目を集めるcanvasを運営する、株式会社Vitalogue Health代表の長谷川彩子さんをゲストにお迎えしました。
英国にてMBA取得後、大手コンサルティング会社から外資証券会社勤務を経て、華々しいキャリアをお持ちの長谷川さんから、起業するまでの経緯や、セルフラブで大切にしていることなどを伺います。
従来の医療系製品のパッケージはシンプルで堅苦しいイメージがありましたが、こちらは検査キットとは思えない、ポップで可愛いデザインが目を引きますよね。長谷川さんのアイデアなんですか?
はい、もっと検査を身近に感じてほしくて、手に取ってもらいやすいように、明るい未来を感じさせるようなイメージにしました。
プロフィールを拝見したところ、東大卒、MBA修了、アクセンチュアからゴールドマン・サックス勤務…と誰もが羨むような眩しすぎるご経歴をお持ちで、いわゆる“バリキャリ女子”ですよね!?起業するまでのいきさつを教えて下さい。
ありがとうございます(笑)2017年に会社員を辞め、アカツキというゲーム会社を半分手伝いながら、少しずつ起業の準備をしていました。自分の原体験があってホルモンに関わる事業を立ち上げたいと思っていたんですよね。技術の方向性が固まった2020年春に会社を立ち上げ、2021年の春にホルモン検査サービス「canvas」をスタートしました。
canvasのようなサービスは日本では珍しい印象がありますが、何か参考にしていたり、ビジネスモデルにしている企業などはありますか?
参考にしているというのはないけれど、自分自身がホルモン関連で苦労した原体験があったのと、世界的にもフェムテックが盛り上がっているので同じ界隈の企業は意識しているところはありますね。 と言って、もともと女性に特化しようとは思っていなかったんです。ホルモンって男性にもあるし、卵巣があって同じようなホルモンが出ていればトランスジェンダーの方も対象なので、性別に関わらず、幅広く使ってもらえるようなサービスにしていきたい。どこも行き場のない人たちを助けたいと思っています。
ご自身の原体験があったのですね。差し支えない範囲でお聞かせいただけますか?
ホルモンが体調に影響しているのは知っていて、それをどうにかコントロールできないかなとはずっと思っていました。生理痛やPMSの重さや悩みは個人差があるものの、皆さんそれぞれ閉経するまで一生付き合っていかなきゃいけないですからね。 私の場合、高校時代に陸上部で体を酷使しすぎて生理が止まってしまい、大学時代に治療に伴う体重増加などに苦しみながらようやく生理が戻ったものの、社会人になってから激務で。紅一点でチームに属していることが多く、唯一生理の時が足枷になっていました。その後、また生理が止まるという経験も。 最終的に妊娠はしたいから排卵誘発剤を打ちました。通常は副作用が少ないと言われていますが、私は外から入れる薬が本当に合わないようで、酷い副作用がありました。運転はおろか、外出もできない、1週間寝込んでいたという辛い経験も。 なんでもっとスムーズに検査できたり、コントロールできないのか?そもそも自分自身のことを知れないってどうなの?って。ずっと解決法を模索していました。 そんな時に偶々良い婦人科医に巡り合って、自費でホルモン検査をしたことがありました。これ、自宅から郵送して検査できたら便利じゃない!?と思い立ってあれこれ調べました。 自分に限らず、周りを見渡せば、たしかにみんな生理痛やPMSを我慢しながら、悩みながら生きていますよね。毎日仕事やら家事やらで忙しくて病院に行く暇もないでしょう。自分が信頼できる先生に巡り合うのも一苦労なんですよね。もっと自分に最適な先生に巡り会えないものか?って。検査をきっかけにそれぞれが信頼できる先生を見つけやすくなったり、婦人科を受診できるようにするためのサービスを弊社で提供できれば、次のアクションも取りやすいのでは、と思って始めました。 今も弊社のキットで頻繁にホルモンチェックしてますよ。自分自身のためでもあるかもしれませんね(笑)
海外生活も何かヒントになったり?
はい、以前ロンドンに住んでいたのですが、欧米では自分のことを知るツールがもっとあるんですよ。そもそも情報サイトが整理されていて、信頼できる情報ソースがあったり、郵送検査も沢山あります。腸内環境の検査や、膣に入れておりものを測れるデバイスなんかもあります!日本にはないですよね。そういうツールがないが故に多くの人がずっと苦しんでいるような気がして。健康面だけではなく、人生の選択さえ変えられると思うんです。それに気づかずに見過ごして損している人が多いんじゃないかと思います。 そういった私自身の海外での経験や医学の知識を生かして、自分で人生を作っていくことをサポートしてあげたらみんなもっと幸せになれるんじゃないかなって。
最近同世代の女友達の間でもよく話題になりますが、長谷川さんは卵子凍結についてどうお考えですか?
選択肢が増えて良いことだと思います。ただ、全ての人が卵子凍結すべきだとまでは思わないかなと。興味のある人がリスクや、メリット/デメリットも正しく理解した上で選択できるようになったらもっと良いと思います。
こういう情報って貴重ですよね。会社としての今後の展望はありますか?
大きく二つあります。 一つは情報発信。知る権利ってあるじゃないですか。 「Sexual and Reproductive Health and Rights (SRHR)」=自分の体を知る権利、自分の生殖をコントロールする権利、性と生殖に関する健康と権利、って言うんですけど。にも関わらず、そのもっと前段階の情報が日本には少ないので、私自身は第三者ではあるけれど、一応医学の知識と理解も出来る、こういう立場の人間が、もっと情報発信することに意味があると思っています。 それに関連して、これまでは何かしら症状があるから病院へ行く、っていうイメージがあったと思うんですが、今後は問題がなくても、自分で日頃からホルモンケアしていくために、医師から日常生活での食事の改善や漢方の取り入れ方などのアドバイスができればと思っています。 もう一つは、医療連携の強化。今はまだセルフチェックがメインですが、ワンタップでシームレスにオンライン診療ができたり、患者と医師のマッチングのようなシステムを作ったり、医療機関や医師にかかりやすく、医療をもっと身近に感じてもらえるような医療連携の仕組みを作っていきたいと思っています。 あと、もう一つの軸でいうと、最初にお話ししたトランスジェンダーの方に向けて、性別に関わらず幅広く使ってもらえるサービスにしたいし、どこも行き場のない人たちを助けたいという想いがあります。
セルフラブで心がけていることはありますか?
ありきたりかもしれませんが、“体の声を聞く”ようにしています。私は割と敏感な方で、排卵したかなというのも分かるんです(笑)周期に合わせてメンテナンスしたり、気になることがあったら身近な先生に相談したりしています。 体に耳を傾けて、自分がどんなことをしたら調子が良いかを試してみてます。たとえば朝に体を動かすと、その日1日調子が良かったりしませんか?心と体が健康だからこそ、自分のやりたいことも実現できるはず。結果、自分のことも好きになれると思っているので。
もう一つ、ジャーナリングの習慣があります。“Gratitude Journal(感謝日記)”をつけていて、「仕事であの人がいてくれて良かった」とか、「今日は天気が良くて幸せ」「スタバの人が親切だった」そういう小さなことまで書き出しています。科学的にも証明されていて、感謝の気持ちで満たされるとネガティブな感情が生まれなくなるらしいんです。ポジティブなことってネガティブなことと共存しないから。過去に恋愛で色々あってどん底だった時に、毎日この習慣を繰り返して、気づいたら何もやっていないのにハッピー!というところまで気持ちを持っていけました。 今ハマっている1冊は「Do One Thing Every Day That Makes You Happy」です。1ページに1つずつ名言や格言のようなものが書かれていて、その隣のページに関連することや思いついたことを書き込んでいくんです。アメリカにはこういう本が沢山あるんですよね。ジャーナリングって“書く瞑想”と言われるくらい、毎日綴ることで心が整ったり、救われたりすることが多いんです。本当にオススメ! あと、精神的な話になりますが、“自分で自分を褒める”ようにしています。なんか自己否定する人が多いじゃないですか。なんでこんなことできないんだろうとか、なんでこんなことしちゃったんだろう、って自分を追い詰めたりする人。 私は自分の行いを書き出して「私よくやってるじゃん!」と思ったり、人と違うことをしていても、「自分は自分でいいよね!」と言い聞かせています。そうすることで、今の自分に満足できて、自分のことをもっと好きになれるという、良い循環が生まれます。
my-muse読者に向けて、メッセージをお願いします。
もっともっと自分の体のことを知って、自分らしい選択をして、自分の手で未来を切り開いて良いんですよ!って伝えていきたいです。そうしたら究極ですが、みんなの、この国の、幸福度が高まるんじゃないかなって思うんです。 体調管理の難しさ、妊娠・出産などの将来不安を事前に解決できる手段の少なさ、信頼できる病院や医師を見つける難しさ。これらを解決するサービスやプロダクトを作りたいと、もう何年も構想を重ねてようやく開発したのがこの「canvas」です。 年齢や生理周期によるホルモンの変化について知ることで、ライフスタイルやキャリアプランの選択肢が広がり、人生さえ変えられるかもしれない。身体も人生も、誰のものでもなく自分のものだから、自分自身で選択していく権利があります。それが、自分の納得のいく充実した人生を送るための最善策だと信じています。 この検査キットが、日々変化する女性のホルモンバランスを考える第一歩として、同じ想いを持っている全ての人の悩みに寄り添い、人生の選択をサポートするきっかけになればいいなと思っています。 そんな熱意や志を持った人がいれば、弊社では男女問わず一緒に働きたいメンバーも募集しているので是非!!!
Vitalogue Health代表取締役CEO
東京大学薬学部・薬学系研究科卒(神経科学・薬理学)London Business School MBA修了。薬剤師、漢方認定薬剤師。アクセンチュア株式会社にて通信、製薬業界等のクライアントに対するM&A・新規事業・戦略コンサルティングに従事。イギリス留学から帰国後、ゴールドマン・サックス証券にてTMT/ヘルスケアセクターにおけるアドバイザリー業務に従事。株式会社アカツキの投資プロジェクトHeart Driven Fundを経て、自身の経験をもとに、女性が自分の身体と向き合い人生の選択肢を広げるきっかけを増やしてほしいという想いから2020年4月にVitalogue Healthを起業。郵送のホルモン検査キットを使い自分の身体の状態を知ることができるサービス「canvas(キャンバス)」を開発。
17歳から読者モデルとして「Vivi」「JJ」「non-no」など多数女性誌に出演。MBSラジオパーソナリティとして出演。大学卒業後、化粧品会社勤務を経て、フリーランスに転身し、ヨガインストラクターを務める傍ら、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は40カ国以上。特にタイに精通し、渡航回数は20回以上。ハワイ留学経験有り。現在は拠点をロサンゼルスに移し、東京と行き来してデュアルライフを送る。
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