2021年10月8日、フェミニストが運営する日本初のラブグッズストア「ラブピースクラブ」がオンラインイベントを開催しました。色々な国の人たちと生理について、とことん語るこちらのイベント。
第一回の今回の舞台は、台湾。日本と台湾の生理文化の違いや、生理に関する教育や生理用品など、日本・台湾の専門家を交えてお話する見どころ満載のイベントでした。
開催日時:10月8日(金) 13:00~(中国語⇔日本語の翻訳あり)
Vanessaさん(タンポン・月経カップ開発者)
2004年から自身のブログで生理について発信をスタート。その後タンポンの開発を経て、20157年にアジア初の月経カップ「フルムーンガール」を開発。今後は月経ディスクの開発に取り組む。生理用品革命を起こした彼女は台湾で「生理の母」と呼ばれています。
長田杏奈さん(美容ライター)
「美容は自尊心の筋トレ」をモットーに雑誌やwebメディアで美容やフェムケアに関する記事を執筆。女性が生きやすい社会を目指した優しいメッセージが多くの女性を勇気づけています。著書『美容は自尊心の筋トレ』を2019年に発売。
【参考プロフィール】
北原みのりさん(ラブピースクラブ代表)
【参考プロフィール】
アジアで初めての同性婚合法化から伺えるように、ジェンダーや人権にまつわる運動が盛んな印象のある台湾。台湾の人たちは生理に対してどのように感じているのでしょうか。
台湾では生理を周囲に知られることを恐れる文化が日本ほど強くなく、会社内で上司に直接生理であることを告げてリモートワークに変更してもらうなどといった対応を頼むことも少なくありません。
また日本と同様に生理のことを濁して呼ぶ文化があり「MC」や「あれがきた」「お月ちゃんがきた」という言い方をしています。
現在台湾ではタンポンユーザーの割合が少しずつ上がってきています。ですが過去にはタンポンのパッケージに衝撃的な注意書きが表記されていたことも。
2010年まで台湾で販売されていたタンポンの注意書き
特に②からは結婚前の女性は身体の中に男性器以外のものを入れることは避けるべきといった風潮が存在していたことがわかります。
日本と同様に台湾でも国が主導する性教育は足りない部分が多く、現代社会にそぐわない教育がアップデートされることなく行われ続けているのが現状。しかしヴァネッサをはじめ、生理用品の開発者が国の主導する教育に直接働きかけるのは難しいため、保護者による家庭内教育が重要になってきます。
台湾は人権保護のシーンで進んでいるように見えますが、性教育の面ではまだまだ欧米に遅れをとっており課題が残っているのが現状。性教育は子どもが成熟した大人に育つために欠かすことのできないもので、まずは「生理用品は身体を理解したりリスペクトしたりすることを促進するツールである」という理念に共感してくれるお母さん世代にアプローチし、次世代の子供たちに届けることが課題であるとヴァネッサさんは語ります。
登壇者のヴァネッサさんは台湾初の月経カップ「フルムーンガール」の開発者。2017年に台湾で発売され、2018年には日本デビューした「フルムーンガール」はアジアの生理用品業界においてターニングポイントになったと言えるでしょう。
ヴァネッサさんが台湾初の月経カップ「フルムーンガール」を開発する以前、他国でも月経カップは発売されていました。長期間使えて環境保護や経済的な視点でアドバンテージのある月経カップを女性たちの選択肢として知ってほしいという想いがあったそうです。
しかし、台湾をはじめとするアジア地域でローカライズされた商品は存在しなかったため、ヴァネッサさんは台湾の女性向けに台湾のシリコンを使用した商品を開発したいと考えるようになりました。
「フルムーンガール」は他の商品に比べて特徴的な見た目(折り返しがあることや球体に近いフォルム)をしています。
月経カップをはじめて見た人は、カップを身体の中に入れることに対して抵抗感や恐ろしさを感じることも少なくないそうで、それらを払拭するためにデザインに花のモチーフを採用することになりました。9種類の花の中から選ばれたのはすずらん。美しく、愛らしいイメージのすずらんがアジアの女性にぴったりだということから現在のデザインに落ち着いたそうです。
イベントを通して台湾の生理をめぐる状況が最初から整っていたわけではなく、時間をかけて進化を重ねた結果として現在の状況があることが分かりました。
日本、台湾に共通して言えるのは、ここ数年間で女性の身体をめぐる状況が大きく改善した背景には生理用品やフェムテックといったツールの存在が不可欠であったということ。
このように生理用品の選択肢が豊富に存在することが、次世代の子どもたちに性に関する場面で自分の身体に選択に責任を持つことや他者に対してリスペクトを忘れないことの大切さを伝える環境づくりに繋がればいいですね。
【イベント動画】
【参考】
関西在住の大学生。「わたしの性は、じぶんゴト。」というテーマでフェムテックグッズを紹介するフェムテクラブ(Instagram @femteclub)を運営。大学ではジェンダーについて学ぶ傍ら、台湾好きが高じて中国語学習に奮闘中。
最近の記事
Recent articles
♯グッドバイブスウーマンvol.5<山田祐実さん/フリーランスカメラマン>
#グッドバイブスウーマン。その方の信念や生き方、在り方がわかるような、「10の質問」をお届けします。本連載は、グッドバイブスな友人・知人をご紹介していくリレー形式。第五回目にご登場いただくのは、フリーランスカメラマンの山田祐実さん。
2024.11.12
Interview
私のバイブル vol.5/ファッション学園長・びばり〜えりさん
自身が持つ才能を活かし、クリエイティブな生き方をしている素敵な人に、ミューズたちの指針や道標となり、My Museの在り方を体現するような映画や本、アートをご推薦いただく「私のバイブル」。
2024.11.09
Culture
「Plantfulな暮らし、始めませんか?」持続可能な社会の在り方を提案するイベントを11月17日に開催!
人々のウェルネスと地球保全のために、プラントベースの食習慣を日本に広める活動を行う、イタリア在住のヴェルヌ華子氏の来日に合わせて、環境活動家である深本南氏を招いたイベント「Plantful Inspirations 2024」を代官山のForestgate Daikanyama TENOHA棟 CIRTY CAFEにて開催。
2024.11.05
Wellness
私らしい“ボスの在り方”とは、愛を伝え合うこと。大学生で出産、そしてアフリカで起業家になった菊池モアナさんの言語を超えた寄り添い方とは
タンザニアで起業、生理用ナプキンの工場長になった菊池モアナさんにインタビュー。若年妊娠で退学したタンザニアのシングルマザーが働ける場所を作るために、生理用品の製造・販売を行う「LUNA sanitary products」を立ち上げたモアナさん。さまざまな経験を経て、相手と寄り添うことで社員との関係性が改善されていったとか。その経緯やストーリーを伺った。
2024.11.05
Interview
Career
【maison owl】/1日1組限定・全館貸切の宿泊体験「suite stay experience」一般予約を一部開始
本質的なモノ・コト・旅を紹介する「My Muse Selection」。今回は、10月1日(火)より、1日1組限定の「suite stay experience(スイートステイエクスペリエンス)」を一部、一般向けに予約開始した「maison owl(メゾンアウル)」をご紹介します。
2024.10.30
Wellness