皆さんはご家庭で性教育を受けた経験はありますか?また、現在お子さんがいらっしゃる方は、性教育をどのように伝えるか悩まれている方も多いかもしれません。
今回は、家庭でできる性教育を分かりやすくお伝えするサイト「命育」代表・宮原由紀さんのインタビュー第二弾です。3児の母でもあるご自身の経験談を交えながら、皆さんのご家庭でもできるおすすめの性教育や今後のヴィジョンまで、たっぷり伺いしました。
前編はこちらからご覧ください
家庭で性についてのコミュニケーションをどうとったらいいのか悩んでいる方も沢山いらっしゃると思います。宮原さんおすすめのコミュニケーション方法はありますか?
幼児期から思春期まで、絵本や本を使うのがおすすめ。絵本は一緒に読めますし、読みながら性の会話をするきっかけにもなります。
ちょっと親から伝えにくい年齢の場合は、本を手渡しておいたり、子ども部屋に置いておくだけでも効果的。興味が出てきた時、正しいかどうか分からない情報をネットで鵜呑みする前に、ちゃんとした知識を本から得れるのは、とても良いと思います。
性教育の本はすごく増えてきていますよね。その中でもおすすめの本はありますか?
今だからこそ伝えたい絵本があります。
命育の「性を学ぶ」というメニューのおすすめ性教育絵本・本を紹介しているコーナーにもある、「ようこそ!あかちゃん せかいじゅうの家族のはじまりのおはなし」です。
この絵本では、性交のシーンがしっかり描かれていているのですが、科学的に書かれていて、且つ絵がとても綺麗。抵抗なく読めました。
その他にも、赤ちゃんを作る方法の一つに「性交」があるけど、体外受精や帝王切開もあること。お父さん・お母さんがいるところもあれば、一人親の場合もあること。お父さんが2人、またはお母さんが2人いたり、さまざまな家族があってそれぞれにとくべつなこと、というところまで書かれているんです。大人が読んでもとても勉強になる内容なので、おすすめです。
これを読んで子どもが育てば、視野の広い、多様性を受け入れられる子になるんじゃないかなと。性に限らず色んなものが詰まった絵本なので、ぜひ大人も子どもも読んで欲しいです!
思春期のお子さんだったら、直接親子でお話できなくても、命育さんの記事のリンクを送るだけでも良いですよね!
そうですね。命育には、お子さん自身に読んでもらえる10代向けの記事や、10代からの質問に答えているQ&Aもあります。また、「命育ギフト」という機能があって、これでまさにお母さんから中学生になる娘さんに送って下さった方がいらっしゃいます。ママ友に送ってくださる方もいますよ。
サイトでは「性教育」以外にもネットリテラシーやLGBTQも取り上げていますよね。ジャンルを広げたきっかけは?
私も元々「性教育」というと、妊娠や生殖が中心と思っていました。でもサイトを作る上で何を指標にしよう?と色々調べると、ユネスコが「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を出していることが分かったんです。
そこには世界のスタンダードといわれる包括的な性教育の内容が書かれているんですけど、人間関係や多様性、さらには人権まで含まれていて。ここまで含めることで自分事に捉えられるなと思い、ユネスコのガイダンスを元にジャンルを広げていきました。
また、昨年コロナの直前に渡米した際のご縁から、世界に毎年約10万人に性教育のプログラムを提供する「PPFA(全米家族計画連盟)」というアメリカの大きなNGOが持つコンテンツを翻訳して、日本向けに監修して配信しています。
そのテーマがものすごく広くて、いじめや人間関係、アダルトサイトなども書かれていて。「あ、やっぱり世界的にはここまでを含めて性教育なんだな」と思って、命育では啓蒙も含める意味で包括的に取り上げています。
命育として今後のビジョンはありますか?
性教育を子育ての中に自然にある状態にしたいと思っているので、子育ての1つとして命育を使ってくださる人を増やしたいです。
あと、どうしても思春期は家庭での性教育だけだと成り立たないので、園や学校との連携が必ず必要になってくると思います。
実は今、園や学校の出張講演の問い合わせが増えていて。そういった学校や塾などの教育機関と一緒に性教育を広げる活動も、どんどん進めたいと思ってます。
7月22日に「命育」さんの書籍が発売されるそうですね!どんな内容なんですか?
著者は私で、先程お伝えした元中学校の教師の方が書籍のイラストを描いています。
監修は、命育の監修もしてくださっている産婦人科医の高橋幸子先生。SHELLYさんのYouTubeチャンネル『SHELLYのお風呂場』や、AbemaTVの『17.3 about a sex』の医療監修もされている、とても注目されている先生です。
命育サイトの世界観はそのままに、幼児・児童期・思春期、それぞれの世代に合わせた具体的な性の伝え方や、悩みに対するQ&Aをたっぷり詰め込んでいます。
実は300ページ超えるくらいのボリュームになったのですが(笑)、イラストをふんだんに使っているので、難しさを感じずに、楽しく読んでいただけるかと思います。会話のきっかけにもなると思いますので、是非、保存版としてみなさんに読んでいただきたい1冊です。
性教育サイト「命育」代表。大学卒業後、リクルート、アマゾンなどメディアやインターネット企業を約15年経験し、現職。子どもへの性教育に課題意識を持つクリエイターたちと、医師専門家協力のもと、命育を立ち上げる。サイト運営のほか、園や学校、PTA、地域などと連携して、多方面から家庭での性教育をサポートする活動に取り組む。3児の母。著書『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」 』(監修:高橋幸子、出版:CCCメディアハウス)
最近の記事
Recent articles
♯グッドバイブスウーマンvol.5<山田祐実さん/フリーランスカメラマン>
#グッドバイブスウーマン。その方の信念や生き方、在り方がわかるような、「10の質問」をお届けします。本連載は、グッドバイブスな友人・知人をご紹介していくリレー形式。第五回目にご登場いただくのは、フリーランスカメラマンの山田祐実さん。
2024.11.12
Interview
私のバイブル vol.5/ファッション学園長・びばり〜えりさん
自身が持つ才能を活かし、クリエイティブな生き方をしている素敵な人に、ミューズたちの指針や道標となり、My Museの在り方を体現するような映画や本、アートをご推薦いただく「私のバイブル」。
2024.11.09
Culture
「Plantfulな暮らし、始めませんか?」持続可能な社会の在り方を提案するイベントを11月17日に開催!
人々のウェルネスと地球保全のために、プラントベースの食習慣を日本に広める活動を行う、イタリア在住のヴェルヌ華子氏の来日に合わせて、環境活動家である深本南氏を招いたイベント「Plantful Inspirations 2024」を代官山のForestgate Daikanyama TENOHA棟 CIRTY CAFEにて開催。
2024.11.05
Wellness
私らしい“ボスの在り方”とは、愛を伝え合うこと。大学生で出産、そしてアフリカで起業家になった菊池モアナさんの言語を超えた寄り添い方とは
タンザニアで起業、生理用ナプキンの工場長になった菊池モアナさんにインタビュー。若年妊娠で退学したタンザニアのシングルマザーが働ける場所を作るために、生理用品の製造・販売を行う「LUNA sanitary products」を立ち上げたモアナさん。さまざまな経験を経て、相手と寄り添うことで社員との関係性が改善されていったとか。その経緯やストーリーを伺った。
2024.11.05
Interview
Career
【maison owl】/1日1組限定・全館貸切の宿泊体験「suite stay experience」一般予約を一部開始
本質的なモノ・コト・旅を紹介する「My Muse Selection」。今回は、10月1日(火)より、1日1組限定の「suite stay experience(スイートステイエクスペリエンス)」を一部、一般向けに予約開始した「maison owl(メゾンアウル)」をご紹介します。
2024.10.30
Wellness