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性教育のハードルを下げたい。家庭でできる性教育サイト「命育(めいいく)」代表・宮原由紀さん

性教育のハードルを下げたい。家庭でできる性教育サイト「命育(めいいく)」代表・宮原由紀さん

2021.07.15 インタビュー

医師専門家とママクリエイターによる、家庭でできる性教育サイト「命育」。子どもの成長別・性別に合わせて、家庭での性教育の伝え方を分かりやすく紹介しています。

今回は「命育」プロジェクト代表の宮原由紀さんに、命育を立ち上げたきっかけや立ち上げ前のキャリア、親御さん・お子さん向けの発信で心がけていることや、親子間での性のコミュニケーションについて伺いました。

親が持つ性教育の悩みから生まれた「命育」プロジェクト

命育ロゴ
my-muse編集部
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「命育」を立ち上げたきっかけは?

育児休暇取得中、「デジタルハリウッド大学」というweb制作スクールが開講している「主婦ママクラス」に通っていました。みんな子連れで赤ちゃんをスクール内で遊ばせながら、webデザインやコーディングを学ぶクラスになっていて。周りにはママが沢山いる環境だったんです。

卒業のタイミングで、当時のクラスメイトたちと「せっかく自分たちでweb制作ができるようになったから、何かしらメディアを作りたいね」という話が出ました。

クラスメイトの1人が以前、中学校の保健体育の教師をしていて、性教育も担当していた方だったんです。子どもの年齢や性別はバラバラでしたが、スクールに通うママたちそれぞれ子育ての中で性教育の悩みを抱えていて。もうみんなが彼女の話に食いついて、聞きたかった質問を投げかけていました。

私は子どもが3人(女・男・男)いて、当時ちょうど性教育の難しさを感じていた時期だったので、ネットで性教育の情報を調べていたんです。2018年頃だったと思いますが、当時は出てくるとしたら素人同士が性のお悩みを相談しあうサイトばかりで。参考にできる内容や、信頼できる情報が出てこないことをすごく痛感していました。

そこから、専門家の力を借りてちゃんとした信頼できる情報を発信できるサイトを作ろうという話になり、「命育」を立ち上げることになったんです。

my-muse編集部
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「命育」スタート前はどんなお仕事を?

宮原由紀さんzoom画面

新卒でリクルートに入社して、ゼクシィで4年ほど広告営業を担当しました。

その後、営業ではなくメディアを作る仕事に就きたいと思い、老舗エンターテイメント企業の新規事業部に転職しました。そこで、webサイトの立ち上げ他新規事業開発やwebやPRに携わりました。

「命育」を立ち上げ、独立する直近は、Amazonの広告事業部に2年弱在籍しました。

my-muse編集部
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命育メンバーのみなさんも、色んなバックグラウンドをお持ちなのでしょうか?

命育メンバーの皆様

はい。立ち上げ当時は6人だったのですが、教師、空間デザイナー、システムエンジニア、あと紙のデザイナーや、金融に務めている方もいたり。みんな異なる業界の出身でした。

ただ、ほとんどの方が結婚か出産を機に一度離職・退職されていました。私はAmazonで働いているとき育休中に通っていたのですが、戻る職場があった上で通っていた人はとても少なくて。手に職をつけたい、つけなきゃという意味で、ほとんどの方が崖っぷちで通っていた状況でしたね。

「性教育」に対するハードルを下げるために

my-muse編集部
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「命育」として発信する上で、心がけていることはありますか?

命育のサイトを見に来てくださっている時点で、ある程度性教育に興味があって、なんとか子どもにちゃんと向き合いたいと思っている方が多いのかなと思います。

とはいえ、まだまだ性教育に抵抗がある方が大多数。そこを忘れないように、性に関してタブー意識や抵抗を感じる方にも配慮したコミュニケーションを取ることを意識しています。

my-muse編集部
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確かに、最近は「もっとオープンに」「タブー意識を無くそう」といった発言が多く見受けられますよね。

そうですよね。ある大手の子育てメディアの方とお話した時に気付かされたことがありました。

実際性教育に悩みを抱えているママさんはとても多いのですが、ママってその時点で本当に沢山のことを頑張っていて。だから、「性教育」と聞いて、ちゃんと伝えなきゃ、教育しなきゃ、と余計に負担を感じさせたくない、と言われたんです。

それから、命育以外で情報を発信するときは、「性教育」という言葉を使わず、「お子さんの身体の話」「プライベートゾーンの話」と表現することも意識的に行うようにしました。

「性教育」となると、自分がちゃんと知っておかないとやっちゃだめだと思われがちですが、全くそうではありません。そこのハードルを下げていきたいですね。

あとは、「オープンに」といっても、何でもかんでも「オープンにしないといけない」と思うと、抵抗がある人にとってはさらにハードルがあがりますよね。保護者自身にもプライバシーはあって、オープンにできない話があることは、全く問題ないと思っています。

my-muse編集部
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親子間の性に関するコミュニケーションで悩まれてる方も多いと思います。何か伝えたいことはありますか?

私も立ち上げ前に少し悩んでいたことがありました。

私は女の子・男の子・男の子の3人子どもがいるのですが、上の2人がまだ小学校に入っていない頃、お風呂の中で裸になってキャッキャしてた時がありまして。お互いすごく性器が違うので興味津々になって、触ろうとしたんですよ。

その時、本当に子どもの自然な好奇心に対して、ものすごく嫌悪感が出て、その場で「やめなさーい!!」と言ってしまって。子どもは何で怒られてるのかわからないので、ポカーンですよね(笑)

でも、困ったことが起こったり、どうしても抵抗感が湧いてしまったりした時、子どもに怒ったり、否定的なことを言ってしまうと、「もうお母さんには性の話しちゃいけないんだ」「こういう話タブーなんだ」と思わせてしまいます。それが、将来何か性に関する悩みを抱えたときや、被害にあったときに相談してもらえなくなることに繋がってしまうと感じていて。

こういった時に抵抗感があることは仕方ないのですが、まずは、一呼吸おいて一旦落ち着くこと。簡単にできるので、ぜひ心に留めていただきたいなと思います。

あとは、分からない質問をされたとしたら、「お母さんも分からないから、ちょっと調べてからまた伝えるね。」と伝えてちょっと時間をもらったり。自分が冷静になれる時間を作ることも、ファーストステップとしておすすめですす。

「性教育」と聞くと、身がまえてしまうかもしれませんが、日常的な会話を通じて伝えられることだと知ってもらえたら、もっと肩肘はらずにはじめていただけるのではないかなって思っています。

宮原 由紀(みやはら ゆき)

性教育サイト「命育」代表。大学卒業後、リクルート、アマゾンなどメディアやインターネット企業を約15年経験し、現職。子どもへの性教育に課題意識を持つクリエイターたちと、医師専門家協力のもと、命育を立ち上げる。サイト運営のほか、園や学校、PTA、地域などと連携して、多方面から家庭での性教育をサポートする活動に取り組む。3児の母。著書『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」 』(監修:高橋幸子、出版:CCCメディアハウス)

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