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ごみを生まない社会を目指す「ゼロ・ウェイスト」とは?日本や世界の実践例もご紹介

ごみを生まない社会を目指す「ゼロ・ウェイスト」とは?日本や世界の実践例もご紹介

ゼロ・ウェイストとは、何を意味する言葉なの?具体的には、どんな取り組みが行われているの?ゼロ・ウェイストの詳しい意味や、必要とされる背景をまとめてご紹介。日本や世界で見られる実践例と照らし合わせながら、ゼロ・ウェイストの実態に迫ってみましょう。

2021.05.07 レポート

ゼロ・ウェイストとは?

無駄やゴミをなくすことを意味する

ごみ

「ゼロ・ウェイスト(Zero Waste)」は、無駄やゴミをなくすことを意味する言葉。「Waste」には、無駄・ゴミ・浪費という意味が含まれています。イギリスの経済学者であるロビン・マレーが、2003年に発行した著書『Zero Waste』で提唱した概念に由来すると言われています。

ロビン・マレーが提唱したのは、「燃やさないごみ政策」。明確な達成目標を設定し、ゴミを焼却せずに、環境負荷を減らしながらゴミを出さないようにすることを目指したものです。ゴミの減少については、リサイクルと堆肥化で対処することを勧めています。

世界では、毎年20億トン以上のゴミが廃棄されていると言われています。増えすぎたゴミは適切に処理されることなく、環境汚染や健康被害の原因に。限りある資源を大切にするには、自治体などで行われている焼却処分は適切な処置ではないのです。

緊急対策が講じられない限り、世界の廃棄物は2050年までに70%増加: 世界銀行報告書

ゴミを生まない社会を目指すことが目的

現在では、ゼロ・ウェイストは「ゴミを生まない社会を目指す」ことを目的としています。ただし、焼却を否定するだけではなく、リサイクルへの再考も促しています。

リサイクルは、資源を守るための根本的な解決方法としては捉えられていません。リサイクルにはエネルギーが必要で、再生させるほど素材の質は低下し、新たな資源の投入を必要とするなどのデメリットが。また、燃料として使用しエネルギー回収をする、サーマルリサイクルが選ばれる傾向にあることも原因です。

ゼロ・ウェイストで大切なのは、「ゴミをどう処理するのか」ではなく、「ゴミを出さずに限りある資源を枯渇させない仕組みづくり」という考え方。社会全体の仕組みを変えていくことで、資源が循環される世界を目指します。

個人レベルから政策レベルまでの取り組みが

ゼロ・ウェイストの実現に向けて、個人レベルから政策レベルまで、様々な取り組みの推奨がされています。日常生活の中で手軽に取り組めることもあれば、自治体と共同で行う取り組みもあります。また、ビジネスとして行われている事例や、場所によっては国の政策として大々的に行われている事例も見られます。

ゼロ・ウェイストな社会とはどのようなもの?

有害物質を排出しない社会

大気汚染

ゼロ・ウェイストは、有害物質を排出しない社会を目指しています。ゼロ・ウェイストの概念では、主に3つの目標を掲げています。有害物質を排出させずゼロを目指すことは、そのうちの1つに数えられています。

大量のゴミを焼却し、埋め立てる過程では、様々な有害物質が排出されるというデメリットが。有害物質の排出対策が成されている焼却施設もありますが、世界規模で見てみると設備が行き届いていない場所も存在します。焼却されたり埋め立てられたりするゴミの量を少なくすることで、有害物質を減らしていく必要があります。

ゼロ・ウェイストの3つの目標
  • 有害物質を排出しない
  • 大気を汚染しない
  • 資源を無駄にしない
ゼロ・ウェイストについて

環境を汚染しない社会

ゼロ・ウェイストでは、環境を汚染しない社会も目指しています。ゼロ・ウェイストの3つの目標では「大気を汚染しない」ことが掲げられていましたが、プラスチックゴミによる海洋汚染問題なども取り沙汰される現代では、さらに広い視野が必要です。

世界で捨てられるゴミの多くは、適切に処理されず、川や海に流れ込むことに。海洋生物の生活を脅かすだけでなく、マイクロプラスチックとなり、生体に影響を与えることが懸念されています。二酸化炭素排出による大気汚染に加えて、あらゆる環境汚染をゼロにすることを目指す必要があります。

捨てられるゴミの量を減らすことや、焼却による二酸化炭素の排出を減らすことは、環境汚染のない社会を実現させるために大切なことになります。

資源を無駄にしない社会

資源を無駄にしない社会も、ゼロ・ウェイストが目指す先の1つです。毎日の食事や日常的に使う製品など、全てのものを無駄にしないことが大切。地球の資源から得られたものを過不足なく循環させ、持続可能な社会にすることを目指しています。

ゼロ・ウェイストな社会を実現するには、消費者・生産者・行政が一体となって取り組む必要があります。それぞれが出来ることを果たし、無駄やゴミのゼロを目指しましょう。

ゼロ・ウェイストな社会のためにできること
消費者 ゴミを出さない・有害物質を含まない商品を買う
工夫して欲しい商品や制度について、生産者・行政に伝える
生産者 長く使える・再生できる・有害物質を出さない商品設計を行う
リサイクル費用をコストに組み込み、自ら資源回収を行う
行政 ゴミを出さない社会のための法や制度を作る
焼却しない・埋め立てないゴミ処理を推奨する

日本におけるゼロ・ウェイストの取り組み

日本の事例①徳島県上勝町|ゼロ・ウェイストセンター

徳島県上勝町の自治体の取り組みは、日本におけるゼロ・ウェイストの代表的な事例となります。上勝町は、「ゼロ・ウェイスト宣言」を発表した日本初の自治体。2003年から町全体で取り組みを初め、2020年までに焼却・埋め立てをゼロにするという目標を掲げました。

ゼロ・ウェイストセンターは、上勝町に建つ公共施設。ゴミ分別センター・リユースショップ・ゼロ・ウェイストを学ぶための交流ホール・体験型ホテルなどが一体となっています。施設そのものも廃材の有効活用で作られていて、ゼロ・ウェイストの理念を体現していますよ。

とくにゴミ分別センターは、町民がゴミを持ち込み分別するシステムになっていることが特徴。そのため、上勝町にはゴミ収集車が存在しません。生ゴミはコンポストで堆肥にしていて、現在では上勝町のゴミリサイクル率は80%を達成していると言われています。

ゼロ・ウェイストセンターは、交流ホールや体験型ホテルなど、気軽に訪れることができる施設も揃っています。自治体が行うゼロ・ウェイストについて学びたくなったときに、訪問してみるのはいかがでしょうか。

上勝町ゼロ・ウェイストセンター

日本の事例②京都祇園|祇園祭ごみゼロ大作戦

日本におけるゼロ・ウェイストの取り組みは、自治体だけでなく、京都の祇園祭のようなイベントでも行われています。祇園祭とは、日本の三大祭にも数えられるほど規模の大きいもの。毎年の来場者数は50万人にも及ぶと言われています。

お祭りといえば、露店や屋台がつきもの。多くの使い捨て食器が原因で、60トンほどのゴミが廃棄されるというデメリットが。その結果、2014年に誕生したのが「祇園祭ごみゼロ大作戦」。露店や屋台の協力のもと、約21万食分の使い捨て食器を、リユース食器に切り替えるという試みが始まりました。

2019年にはゴミの量を32トンまで減らすことに成功。また、「祇園祭ごみゼロ大作戦」がきっかけとなり、全国のお祭りでもリユース食器を導入する動きが見られるようになったと言われています。使い捨て食器のデメリットであった散乱ゴミが、驚くほど少なくなったという報告もあります。

祇園祭ごみゼロ大作戦について

日本の事例③東京都|株式会社4Nature

「株式会社4Nature」の取り組みは、ビジネスとしてのゼロ・ウェイストの事例の1つ。プラスチックストロー廃止の動きをきっかけに、さとうきびストローを販売するビジネスを始めました。原料がさとうきびの絞りカスであるため、プラスチックストローのように生分解されないというデメリットがないのですね。

ビジネスの概要は、ストローを扱う飲食店向けに生分解できる、さとうきびストローを提供するというもの。もちろん自己回収も徹底されていて、使用済みのストローは農家でコンポスト化するところまでがセットとなっています。

1年間で100店舗が導入という実績があるので、お気に入りの飲食店で、さとうきびストローと出会うことがあるかもしれませんよ。カフェに入ったときなどに注目してみましょう。

4Nature

世界で見られるゼロ・ウェイストの取り組み

世界の事例①オーストラリア

竹の歯ブラシ

オーストラリアは、ゼロ・ウェイスト先進国の1つ。世界で初めてゼロ・ウェイスト宣言をしたのも、オーストラリアの自治体です。

また、オーストラリアのカンタス航空では、機内サービスにおいてプラスチックゴミを使用しないという取り組みが行われています。機内食だけでも1,000点以上にのぼる製品を、さとうきびやデンプンを原料したカトラリーや容器に置き換えました。

また、ビジネスにおいては、蜜蝋を原料に何度も使えるラップを販売している企業の存在も。日本でも『KoKeBee』という、オーストラリア発のオンラインショップがオープンしていて、「みつろうエコラップ」の他にも、「竹製歯ブラシ」や「へちまたわし」といった、環境に循環する生活用品を販売しています。

ゼロウェイストフレンドリーショップ KoKeBee

世界の事例②アメリカ

アメリカでも、色々な州や自治体でゼロ・ウェイストに対する取り組みが行われています。例えば、ニューヨークでは、アパートや公園、マーケット会場など、市内の多くの場所にコンポスターを設置するという取り組みが。肉や魚以外の生ゴミであれば、自由に捨てることができ、中身は農業やガーデニングに利用されます。

また、アメリカのレストランや飲食チェーン店では、デポジット制度を導入したビジネスも見られます。デポジット制度とは、容器の回収を目的としたシステムのこと。製品の販売時に預り金(デポジット)を上乗せした価格で販売し、消費者が容器を返却する際に預り金を返す仕組みになっています。

ニューヨークの新しい生ごみ回収

世界の事例③シンガポール

シンガポールでは、自治体を通り越し、国家規模でゼロ・ウェイストを目指す動きが見られます。シンガポールの国家環境庁によると、人口増加や使い捨て製品の普及といった理由から、国内のごみ処理施設が限界を超える可能性が高まったとしています。2035年までにごみ問題を解決する必要が。

2019年は、「ゴミがゼロの年へ」というキャンペーンを実施。国家規模でゼロ・ウェイストへの取り組みを推奨しています。シンガポールの公共住宅では、家庭から出たゴミの処理費用として月額8.25ドルを支払う仕組みがあります。また、今後は重量課金製にすることで、さらに家庭ゴミを減らす検討をしています。

世界で一番清潔な国・シンガポールに見る、ハイテクゴミ対策の最新動向〜「捨てた分だけ支払う」重量課金制も

ゼロ・ウェイストのために日常生活で出来ることは?

方法①使い捨てに頼らない生活を

プラコップ

使い捨てに頼らないことは、ゼロ・ウェイストのために日常生活で出来ることの1つです。マイバッグの使用や、マイカップ・マイストローといったアイテムで、使い捨ての袋や容器などに頼らない方法が挙げられます。

ゴミが増えるというデメリットに対応するために、量り売りの専門店やプラスチックフリーに対応しているお店なども増えています。使い捨てアイテムをなるべく使わない方法で、ゼロ・ウェイストを見ざしてみましょう。

方法②シェアリング・レンタルビジネスを活用

シェアリングやレンタルビジネスを活用して、物を所有しない生活を意識してみるのも、ゼロ・ウェイストに繋がる方法となります。物が増える、捨てるのに困るといったデメリットにも対応できます。

シェアリングやレンタルに関するビジネスは、今や幅広いものに。車や自転車といった従来の物だけでなく、家具やベビー用品、服なども利用できますよ。サブスクリプションサービスも充実してきているので、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。以下の記事でも、詳しく解説しています。

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方法③物を長く使う

物を長く使うようにすることも、生活の中で出来る方法の1つ。プラスチックフリーの商品を使うことは、ゼロ・ウェイストに繋がる方法ではありますが、今使っている物があるならそちらを優先させましょう。

環境に対してデメリットが多い物だからと、今すぐ買い換える必要はありません。プラスチックの商品でも、大切に長持ちさせ、寿命を全うしてから買い換えるようにしましょう。

出来ることからゼロ・ウェイストを目指そう

積み上げられたゴミ

ゼロ・ウェイストは、ゴミが生み出すデメリットをなくし、持続可能な社会を目指すための大切な取り組み。世界的にも、大きな注目を集めています。

ただし、ゼロ・ウェイストに対する取り組みは難しいものではありません。毎日の生活の中でも出来ることはあるので、身近なところから無駄やゴミをなくす試みをしてみましょう。

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