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 比較でなく、自分のベストな選択肢を増やしていく。fermata・エスコラ茜さん

比較でなく、自分のベストな選択肢を増やしていく。fermata・エスコラ茜さん

my museで初となる特集「My Own Wellness〜museたちの私らしい魅力との向き合い方〜」がスタート!今注目を浴びるフェムテックの分野で活躍する方々をゲストにお迎えし、「自分の体や性格を自然と愛しいと思えた瞬間」について伺います。人それぞれ異なる、自分の個性、体、心との向き合い方。自分らしい魅力とは何か、日々探しつづける方々のヒントにしていただけたら幸いです。

2021.04.20 インタビュー

第3回のゲストとしてご登場いただくのは、fermataのエスコラ茜さん

「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」をヴィジョンに掲げ、フェムテック市場の拡大に貢献しているfermataで、Business Development Managerとして、様々なセミナーへの登壇や、マーケットマップの作成にも携わられていらっしゃいます。

国内外のフェムテック市場に詳しく、ご自身でもフェムテック製品を使用して、自分自身の体と向き合うエスコラさんから、フェムテック業界の現状や今後、今気になるアイテムなどについて伺いました。

「美」の価値観は人それぞれ違うからこそ、自分らしさを大切に

my-muse編集部
my-muse編集部

「自分の体や性格を自然と愛しいと思えた瞬間」について教えてください

私は父がフィンランド人、母が日本人。フィンランドで育ち、4年前に日本に来ました。フィンランドにいた頃は体格や体型も周りの人より小さくて、洋服のサイズもXSやSを着ていました。でも日本だと洋服のサイズもLやXL。特にティーンエイジャーの頃は、明らかに自分は周りの人より体格が大きくて、顔も濃くて年齢よりも上に見られたりすることもあったので、つい周りと比較してしまっていました。

大人になるにつれて、私と同じような境遇や思いを持った人がいることを知って、無理に痩せようとしたりせずに、ありのままでいいんだと思えるようになりました。

日本でも、洋服などのサイズの幅も増えてきましたよね。フリーサイズだけでなく、XXS~XXLまであるブランドも!日本人の体型も時代やライフスタイルの変化に合わせて変わってきているんだなと感じます。自分を責めなくていい、住む場所や環境に自分の体型を合わせていかなくていいんだ、と思えるようになってきました。

my-muse編集部
my-muse編集部

日本に来てから、カルチャーショックもありましたか?

北欧は日本よりもファッションの選択肢が少なくて、寒い時期も長いのでおしゃれより機能性を重視している部分もあるのですが、日本では、ちょっとコンビニへ行くだけでも、みんなしっかりメイクしていたりおしゃれしていることに驚きました。初めは、自分がズボラすぎるのかな?と一生懸命合わせようとしていたけど、「美」の価値観は人それぞれ違うので、だんだん開き直って、まぁいっか!と思えるようになりました(笑)

もう一つ気づいたのは、「美」のトレンドが目まぐるしいスピードで変わっていくこと。例えば、眉毛。昔はすごく細い眉が流行っていたけれど、今はナチュラルな眉が流行っていたりしますよね。早いスパンで美しいとされるメイクや体型も変わっていくから、その流れについて行かずとも、また一周回って私の時代が来る!と思えるようになりました。

my-muse編集部
my-muse編集部

「自分らしさ」や「その人らしさ」を受け入れられるようになってからの変化は?

エスコラさん インタビュー

他人と比較しなくなって、気分が楽になりました。それこそ生理痛の重さや生理周期、妊娠、出産時の痛みなどと同じように、外見は人と比べることができないもの。人それぞれのストーリーやバックグラウンドがあって、今の外見があると思うんです。

以前はどうしても、周囲の人の「自分が持っていない良さ」ばかり見てしまって、悔しさや妬ましさを感じたりしたこともありました。でも今は、素敵なところを見つけると「私だったら、どうやって取り入れられるだろう?」と、比較するのではなく、自分の中でベストな選択肢を増やしていく方向に転換して考えられるようになりました。

日本、世界のフェムテック、セクシャルウェルネス市場の今

my-muse編集部
my-muse編集部

今、広がりつつある日本国内のフェムテック、セクシュアルウェルネス市場。他国と比較していかがですか?

フェムテックの全体的な流れを、fermataでは4つのウェーブで考えていて、この流れに沿って少しずつ市場が広まってきていると思っています。

fermataが考える4つのウェーブ
  1. 生理
  2. 妊娠・出産
  3. 更年期とセクシュアルウェルネス
  4. 女性特有疾患

日本はまさに今、第一段階の「生理」周りのところにいるのかなと。少しラグはあるかもしれませんが、欧米でフェムテックが広まってきたのと同じような道を辿っているんじゃないかと思います。

fermataが作成しているマーケットマップでも、今まではセクシュアルウェルネスというよりは性交痛を緩和させるジェルなど「セクシュアルヘルス」の企業が多く載っていましたが、最近ではバイブレーターのような「女性の性の快楽」に向けた商品やサービスを展開している企業も増えてきました。

この流れは欧米でも本当につい最近のこと。欧米と比較して、日本が遅れていたり、欧米よりも規模が小さいということはないと感じています。

my-muse編集部
my-muse編集部

そうなんですね!日本に限らずですが、アジアは欧米よりも遅れているのかなというイメージがありました。

海外も欧米が全てはないですし、国ごとの文化や法律、宗教によっても違いが出てくるので、比べるのは難しいですよね。

日本はオープンに男女交えてセクシュアルウェルネスについて話すのは、双方にとってまだ難しいのかなと思います。話せる場も少ないのかなと。例えば、同性同士ではカジュアルに話しやすいけど、パートナーや異性の友達にどう話したらいいかわからない、話しても笑われちゃうのが怖い、なんて場面も沢山あるでしょうし。

地域によっても、セクシャルウェルネスに関する意識にも差があるんじゃないかなと思います。エリアによっては、「女の子がそんなこと話すなんて!」と思われてしまったり。私たちより若いZ世代にとっては、異性同士であっても、問題なくセクシュアルウェルネスについてカジュアルに話せる方もいるかもしれませんね。

でもその反面、自分の親世代とは話せない、お母さんが産婦人科に行かせてくれない、生理用ナプキンの使い方すら教えてくれないということも耳にしたことがあるので・・・難しいですね。

まずは、課題解決に繋がる「選択肢があること」を知ること

my-muse編集部
my-muse編集部

実際に様々なアイテムやサービスを体験しているエスコラさん。今気になるアイテムやサービスは?

エスコラさん NEWSTAND TOKYOにて

ありすぎて難しい!(笑)fermataに入る前も、私自身、自分の体を理解しているつもりではあったんです。ただ意識的に生理周期をトラッキングしたり、なぜ生理痛がこんなにひどいんだろう、と特に理由を追求することはなかった。仕方がないからそのままにするしかないと思い込んでいました。でもそれを解決するものがあると知って、今抱えている課題を我慢するんじゃなくて、それを解決するためのいろんな選択肢を積極的に探すようになりました。

今は、おりものの質を計測してくれるデバイスを使って、自分の周期を計測しています。ピルを飲んでいる時と飲んでいない時で、ホルモンバランスに違いがあるとか、大体眠気って生理が始まる1週間くらい前からスタートするなど、自分の体との因果関係が分かるようになってきたんです。

あとは月経カップ!今まで、自分の経血をチェックすることってなかったのですが、月経カップは透明なので、経血の量や質、色など、自分の身体の状態が目に見えるんです

もしかして腰がちょっと重くなったり、お腹痛くなったりするのって、食生活が関係しているのかなって意識するきっかけになって、実際に観察してみるとお肉を食べすぎた後は経血がレバー状になりやすいことに気づいたり。自分の体を知るという意味では、画期的なアイテムの1つだと思います。

my-muse編集部
my-muse編集部

確かにそうですよね。スルーするというか、そこまで追求せずに見過ごしてしまうことが多いかも。

わざわざ産婦人科にいくまででもない悩みを抱えている方ってすごく沢山いらっしゃるんだろうなと思って。一生懸命海外のサイトなどで調べるよりも、「ほんの数日のことだから」と、痛み止めを飲んで乗り切っている方がほとんどだと思うのですが、それはそもそも「選択肢があること」を知らないからだと思うんです。

私もfermataに入る前はフェムテック商品を積極的に自分から探すタイプではなく、ピルに頼り切っている状態でしたが、長期的に考えたら薬を飲まずとも、自分の体の状態を把握できたり、痛みを緩和するソリューションがあったらいいなとは以前から思っていて。選択肢があると知ってから、自分に合うものを探してみたり、試してみたりするようになりました。

my-muse編集部
my-muse編集部

エスコラさんはフェムテックのマーケットマップ制作も主導されていますよね。参考にさせていただいています。企業も増えてきて、制作も大変そう・・・

フェムテックマーケットマップ2020
2020年秋冬 最新国内 Femtech(フェムテック)マーケットマップ発表! from hellofermata note

フェムテック産業に限らず、スタートアップ業界全体に言えることですが、新しい企業が出てくる反面、同じくらいの速さでサービスクローズしたり、合併したり、買収されたり、変化がかなり激しい業界なので、苦労しています(笑)

日本のフェムテックサービスは実は成長率は欧米に負けていません。去年の4月にマーケットマップを出した時が51サービス、11月に更新した時には約2倍の97サービスに増えていました。今後さらに伸びていく業界だと実感しています。

フェムテックを通じたコミュニケーションで、一人ひとりの知識が広がる

my-muse編集部
my-muse編集部

日本のフェムテック市場で課題だと思うこと、今後ここが進んだらいいなと思うことがあれば教えてください。

今一番もどかしいのが吸水ショーツ。薬機法で、生理用品は白、使い捨てでないといけないなど規制があり、お客様にストレートに言えないことが多いんです。

制度は安全性を担保してるからこそすぐに変えられるものではないですが、お客様に商品の魅力を思うままに伝えられない。そんなもどかしさの中で、どうしたらもっとこの商品の良さを沢山の方に伝えられるだろう?ということが今一番の課題ですね。

my-muse編集部
my-muse編集部

フェムテックに関する世間の反応は変わってきていると感じますか?

NEWSTAND TOKYO 店舗

去年10月にフェムテック振興議員連盟が発足したり、メディアで生理や生理休暇、男性の育休などのトピックが取り上げられることも増えてきて、先ほどのフェムテックのフェーズでいう、生理周りの波が来ていると感じています。 

fermataの実店舗をオープンした時、早朝の情報番組に取り上げいていただいて、朝から女性向けのバイブレーターがテレビに映ったことも。セクシュアルウェルネスだけでなく、女性の健康や、健康に対する意識が変わってきていることを感じますね。

fermataの実店舗、New Stand Tokyoには男性の方で出産祝いのギフト探しに来てくれる方、カップルでいらして性交痛を減らせるアイテム探しにきてくれる方など、本当に沢山の方にご来店いただいています。

女性だけをターゲットにしているわけじゃなく、女性とその周りにいる人たちの知識を広げてくれるコミュニケーションツールになってきていると思うんです。直接話すのは難しかったとしても、月経カップが1つ置いてあるだけで、なんとなくその周りに集まった人たちが生理の悩みについて語り始めたり。

健康課題に対する考え方や、価値観、男性側から女性に対してどこまで話していいんだろうっていう線引きなど、フェムテック商品を通して話しやすくなったことに希望を感じています。

エスコラ 茜  Akane Eskola

fermata株式会社 Business Development Manager

Haaga-Helia University of Applied Sciences, Business Service Solutions and Languages専攻卒。フィンランドセンターを経て駐日フィンランド大使館通商・経済部で3年間勤務。フィンランド独立100周年や日本・フィンランド外交100周年記念事業にも従事。2020年2月よりfermata参画。

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