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日本で認められていない"同性結婚"について。現状の法律や制度、海外との違いを解説

日本で認められていない"同性結婚"について。現状の法律や制度、海外との違いを解説

男性同士・女性同士の結婚を意味する「同性結婚」。現在の日本では、同性結婚は認められていません。今回は、同性結婚に関する現状の法律や制度、海外との違いを解説します。日本のジェンダーに対する考え方や現状を知りたい方は、是非目を通してみてくださいね。

2021.03.30 私の選択

日本における同性結婚の現状とは

同性との結婚は法律で認められていない

レインボーフラッグを示す男性

日本の法律では、同性結婚は認められていないのが現状。同性結婚を認めて欲しいと訴えるカップルは多いですが、日本の法律には大きな壁があるのです。問題になっているのが、「婚姻は両性の合意に基づくものである」という日本国憲法の文章。

この文章の「両性」を「男性と女性のカップル」を解釈しているため、同性結婚は憲法違反だとされているのです。実際に日本の政治家が、「現在の憲法では、同性カップルに婚姻を認めることは想定されていない」という発言をしたことも。同性婚を法律で認めるためには、まず憲法の解釈を変えることが必要なのです。

結婚を認めるべきという動きも広まりつつある

現在の日本では同性結婚は認められていませんが、結婚できる法律にするべきという動きも広まりつつあります。これは「全ての国民が平等に尊重されるべきである」という、憲法の「基本的人権」に基づく意見。同性カップルだからという理由で結婚を認めないのは、基本的人権に反するというものです。

「両性の合意」と書かれているのは、憲法が作られた当時は同性愛という概念が存在していなかったためである、という意見が主体。憲法にある「両性」をどのように解釈するかによって、今後同性結婚が認められるか左右されます。

LGBTへの理解が深まらないのが現状

平等

同性結婚が認められないことが、LGBTへの理解の妨げになっている可能性も。同性結婚が認められている国では、「同性愛は普通である」という認識になり、LGBTを抵抗なく受け入れていると言われています。しかし同性結婚が認められていない日本では、「同性愛は常識的でない」という考えが根付いているのです。

そのため日本には、「同性愛者かもしれない」と気づいた時に、「自分は普通じゃないんだ」と考え、苦しむ人が多いのです。社会的に認められない存在だと自分を責め、自身を差別してしまうという方も。

次の記事では、LGBTをテーマにしたおすすめの映画をご紹介しています。当事者ではなくとも、LGBTの方々のストーリーを是非知っていただければと思います。

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同性愛カップルには様々な権利が認められていない

同性結婚が認められていないことで起こる問題は、人々の意識だけではありません。異性愛者が当たり前のように得ているサービスや権利を、同性愛者は受けることができないという現実があるのです。

例えばパートナーが危篤状態になった時。結婚している夫婦の場合、お互いの最期には一緒に居られる権利が与えられています。しかし同性カップルの場合、結婚ができないため「家族ではないから」という理由でお見舞いを断られてしまうのです。最期の時に立ち会えなかった、葬儀に参加できなかったという経験をされた人も。

こういった事例は、SDGsの5つ目である「ジェンダー平等を実現する」という目標にも関係します。SDGsが目指すのは、性別に関するあらゆる形態の差別の撤廃。それぞれのセクシュアリティによって権利が侵害されている現状は、変えていかなくてはなりません。

日本での同性結婚の代わりの制度

制度①パートナーシップ制度

パートナー

日本では同性結婚は認められていないものの、それに代わる制度もあります。その中の一つが、パートナーシップ制度。法律では結婚することができない同性カップルを、自治体が条例に基づいて公認する、というもの。自治体によって内容に差はありますが、結婚した人と同じような権利が得られる、というメリットがあります。

日本で初めてパートナーシップ制度が開始されたのは、2015年。東京都の世田谷区、渋谷区で同時に始まりました。この年からパートナーシップ制度を始める自治体は徐々に増え、2021年1月現在では74の地域で施工されています。市町村としてではなく、都道府県として制度を導入している地域も。

しかしパートナーシップ制度には問題もあります。例えば、パートナーシップ制度で認められる権利は、その地域に住んでいるカップルしか受けられないというもの。引っ越しなどでその地域を離れなくてはいけない場合、パートナーシップを解消することになるのです。また承認までに時間がかかり、必要書類も多いのが現状。

パートナーシップ制度

制度②養子縁組

同性愛カップルが結婚の代わりに使っているのが、養子縁組制度。パートナーシップが認められる2015年以前や、制度が整っていない地域に住むカップルは、養子縁組を利用していました。養子縁組では戸籍上、カップル2人のうち歳上の人が「親」、もう一人は「子供」になります。

養子縁組を利用することで、結婚した時と同様に「家族の権利」を受け取ることが可能に。同性カップルにとって養子縁組制度は、家族に認められている権利を受ける唯一の方法なのです。

ただし養子縁組は、戸籍上パートナーと親子になるという制度。両者が対等な関係ではないと解釈されるため、抵抗を感じる同性愛者が多いです。

制度③海外結婚

日本で同性結婚が認められていないため、海外で婚約をするという同性カップルも。同性結婚が認められている国・地域は、世界に28箇所あります。これらの地域に移住して結婚して戸籍を統一すれば、異性愛の夫婦と同じ権利を受け取ることが可能に。

ただし同性婚が認められた国で結婚しても、その関係は日本では認められません。海外で同性結婚をしたら、その国にずっと住み続けなくてはならないという問題が。ビザの取得や戸籍の移動、家や仕事探しなど、様々な問題があるため、不平等だと感じる方もかなり多いです。

同性結婚に関する日本と海外の違い

同性婚を法律で認めている国が多い

同性婚

日本と海外の大きな違いが、同性結婚を法律で認めている国があるということ。海外の31ヶ国と35箇所の地域で、LGBTの結婚制度が整備されています。世界で一番早く同性結婚が認められたのが、オランダ。オランダでは2001年の4月1日に、同性結婚を認める法律が施行されました。

その後2003年にベルギー、2005年にはスペインとカナダが同性結婚を合法化。同性婚は合法化されていないものの、パートナーシップ制度を導入しているという国も多いです。現在、同性カップルの権利を保障する制度がある国は、世界の約20パーセントを占めているのです。

同性結婚を認めている国・地域

日本はLGBTに関する法整備がかなり遅れている

諸外国と比較すると、日本はLGBTの権利を保障する法整備がかなり遅れている、というのが現状。国として同性婚やパートナーシップ法が認められていないのは、G8の中でロシアと日本のみ。

先進国と言われる国の中では、かなり遅れを取っている状態です。この現状もあり、SDGs目標であるジェンダー平等問題では、153ヶ国中121位という低い結果になっています。

同性結婚が認められた場合のカップルのメリット

海外のように同性結婚が認められ、カップル2人の新戸籍が作れるようになると、一体どのようなことが起こるのでしょうか。

メリット①福利厚生が受けられる

会社

同性結婚がカップルに認められた場合、最も大きいのが福利厚生を受けることができるということ。現在の法律では、同性パートナーは戸籍上の家族とは認識されないため、利用できる制度に限りがあります。例えば、パートナーの親族が亡くなった時の忌引休暇や、家族手当、別居手当などは取得できません。

同性愛者やLGBTの社員を対象とした福利厚生を充実させている企業も、徐々に増えてきています。しかしほとんどの企業では、同性パートナーへの福利厚生は整備されていないのが現状。同性結婚が法律で整備されれば、就職した企業を問わず十分にサポートが受けられるのです。

メリット②遺産相続が可能になる

同性カップルにとっての大きなメリットが、遺産相続ができるようになるという点。現在の法律では、パートナーは戸籍上「他人」として認識されます。基本的に、戸籍上の他人に遺産を相続することはできません。

養子縁組等を行なっている場合でも、パートナーの家族との関係によっては、様々な問題が発生するケースも。もし同性結婚が認められたならば、同性パートナーでも問題なく遺産相続が可能になるのです。

メリット③配偶者ビザが申請できる

お尻ポケットに入ったパスポート

配偶者ビザが申請できるようになるのも、同性結婚が認められた場合の大きなメリット。これは同性カップルの中で、一方が外国人の場合に関係します。パートナーが外国人の場合、婚姻関係になることができないため、配偶者ビザを取ることができないのです。

国際同性カップルが共に過ごすためには、配偶者用以外のビザで日本に滞在するか、他の国で国際結婚をするしかありません。同性結婚が法律で定められれば、このような問題がなくなります。

④入院中のパートナーと面会が可能になる

同性結婚が認められる大きなメリットとして挙げられるのが、入院をしているパートナーとの面会。これは実際にLGBTの人が直面している問題でもあります。現状同性パートナーは戸籍上の他人なので、相手が危篤状態になった場合病室に入れないのです。

同性パートナーを持つ方の中には、愛する人の最期に立ち会うことができなかったという経験をした人も。配偶者として法律で認められれば、家族としてパートナーと面会をすることも、最期の時に立ち会うこともできるようになるのです。

同性結婚が認められた場合の社会への影響

①人権への意識が高まる

パレード

同性結婚が社会的に認められることで、人権への意識が高まるとされています。日本のLGBTへの理解・意識の低さは、同性結婚が認められていないことにある、という見解もあります。

同性結婚が認められ、「同性愛はマイノリティではなく、普通のことなのだ」という認識が広がれば、人権への意識向上に繋がる。その結果、他の人権獲得活動にも良い影響を与える、と考えられています。

②自殺率の低下

社会に大きく影響を与えると言われているのが、LGBTの人の自殺率低下。これは、2015年アメリカで実際に行われた調査が元となっています。

この調査では、同性結婚を認めた地域と認めなかった州の自殺率を比較。その結果同性結婚を認めた州では、LGBTの自殺率が14パーセント減ったというデータが出たのです。日本においても、同じような現象が起こるとされていますよ。

③経済の活性化

同性結婚が日本で認められれば、経済の活性化に期待できるとされています。今の制度のままだと、結婚を考えている同性カップルは日本に住むことができません。

日本人の同性カップルが海外に出ていくだけでなく、外国人同士のカップルが日本に移り住むことができない、というデメリットが。同性結婚を認めれば日本に住む同性カップルが増え、経済的利益につながると言われていますよ。

④ブライダル業界の活性化

ブライダル業界が活性化するというのも、日本で同性結婚が認められた際の大きなメリット。同性カップルが結婚できるようになれば、必然的に結婚式の回数も増えます。

ブライダル業界が活性化すれば、引き出物を取り扱う会社やホテル業界、公共交通機関など、様々な場所に経済的なメリットが生まれます。同性結婚を認めることが、社会全体の生産性アップにつながるのですね。

同性結婚の現状と課題を正しく認識しましょう

同性結婚の女性二人

同性結婚を取り巻く環境は、日本を含め世界でもまだまだ厳しいのが現状。結婚が認められない理由や今後の課題をしっかりと認識することが、どんなセクシャリティの方でも平等に暮らせる社会作りに役立ちます。男同士だから・女同士だからという観点は捨てて、同性結婚に対する意識を深めていただければと思います。

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