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フードロスのための対策を。国で、家庭で、個人で出来る取り組みを知ろう

フードロスのための対策を。国で、家庭で、個人で出来る取り組みを知ろう

今、世界ではフードロス問題が深刻化しています。フードロスを削減するためには、一体どんな対策を行えば良いのか。今回は、国や家庭、個人でできる取り組みを紹介しています。食品問題が与える世界への影響も解説しているので、参考にしてください。

2021.01.18 レポート

フードロスとはどんな問題なのか

①食べられるのに捨てられる食料のこと

フードロスとは、食べられる状態なのにも関わらず、様々な事情によって捨てられてしまう食料のこと。例えば料理をする時に出た野菜の切りくずや、賞味期限が切れたからと廃棄されるお弁当など。このようなフードロスは、年々増加していると言われています。

日本におけるフードロスの量は、1年で約615万トンほど出るとされています。これは、一人あたりお茶碗一杯分の食材が、毎日捨てられているという計算になります。

日本だけでなく、世界で見てもフードロス問題は深刻です。特に北アメリカやヨーロッパ諸国では、フードロス量が非常に多いのが現状。国民一人当たりで計算すると、年間でなんと300キログラム相当の廃棄食材が出ているとか。各家庭や小売、生産など、様々な過程で大量のロスが生まれているのが現状。

②食料の無計画な購入が原因になっている

買い物をした女性の人形

フードロスは、無計画な食料の購入が原因の一つ。特に日本などの先進国においては、様々なジャンルの食料がたくさん販売されています。大容量パックの方がグラム単位で見ると安い、ということも珍しくありません。こういった背景もあり、個人が大量に食料を購入しやすい状態が作られています。

「安いから」「買い物に行くのが面倒だから」と、料理の計画を立てずに食料を購入する人が、非常に多いのが現状。そのため、せっかく購入された食品が「賞味期限が切れた」と捨てられてしまうのです。

③食品の大量陳列が影響している

スーパーやコンビニなどへの食品の大量陳列も、食品問題を引き起こす原因の一つ。小売業では、「売り切れを出すことが最もいけないこと」だと言われています。売り切れを避けようと思うと、どうしても食品を余剰に並べるしかありません。

同商品が大量に並べられている上、商品数も大量。そのため、消費者に買われない商品が生まれてしまうのです。結果、購入されずに余った食品は捨てられる…。これは、日本で見られる「当たり前の光景」ですよね。しかしこの「常識」が、食品問題を引き起こしているのです。

次の記事では、そもそもフードロスとはどのようなものかを、より詳細に取り上げています。気になる方は是非覗いてみてください。

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フードロスが世界に与える影響

①地球環境の破壊

森林破壊

食品問題を放置しておくと、地球環境が破壊されていくと言われています。日本では余った食材は焼却処分されますが、アメリカやヨーロッパでは埋め立てが基本。食材を埋めたてると、大量のメタンガスが発生します。このメタンガスは、二酸化炭素の25倍以上の温室効果がある物質なのです。

食品問題が深刻化するにつれ、メタンガスの発生量も多くなり、気候変動が起こる…。このサイクルが続けば、地球環境はどんどん破壊されていくでしょう。たかが廃棄食材と甘く見てはいけないのです。

②食の不均等の発生

フードロスは、「食の不均等」という食品問題も引き起こします。食の不均等とは、後進国では食料が不足している一方で、先進国では大量の廃棄食材が出ている状態のこと。世界規模で考えると、一人当たりの食材は足りている。でも満足に食事を摂れない人がたくさんいる…。これが、食の不均等問題です。

世界で見ると、年間40億トンもの食品が作られています。この食料のほぼ全てが、流通経路が整備されており、収入が多い先進国に集中。しかしこの全てを先進国の人だけが消費できるわけがありません。結果、廃棄食材がどんどん増え、食品問題が深刻化するのですね。

③将来的な食糧不足

フードロスをこのまま放置しておくと、将来は世界的な食糧不足に陥るとの声も。世界で見ると、人口はどんどん増え続けています。しかし食料が生産される量が一気に増えることはない。むしろ、人口が増えて居住地が広がることにより、食料を作る場所の確保が困難に。

そうすると、先進国の人間にも食材が行き渡らなくなっていくのです。フードロスを解決しなければ、食料不足問題はより深刻なものになるでしょう。

"国"単位で行う効果的なフードロス対策

①食品廃棄の厳罰化

エッフェル塔

国ができる効果的なフードロス対策として、食品廃棄の厳罰化があります。今、「賞味期限が廃棄された食材を捨てる」ということが当たり前になっています。この行為を厳罰化することで、廃棄食材を減らそうという試みですね。

この取り組みは、フランスの一部で大型スーパーを対象に行われています。この法律では、売れ残った食材や、賞味期限切れの食品の廃棄を禁止。残ってしまった食料は、ボランティア団体に寄付するよう求めています。

フランスで「食品廃棄禁止法」が成立、日本でも導入すべき意外な理由

この政策により、フードロス削減が実現したと言われています。大型スーパーだけでなく、個人にもこの法律を適応させることで、更なる成果をあげることができるでしょう。

②食品の販売期限を延長する

フードロス対策として有効だと言われているのが、販売期限の延長。日本やアメリカなどの先進国では、食料を安心して食べられるよう、食品を販売できる期間が決められています。

賞味期限や消費期限直前まで延ばし、期限が近い商品の値引きを行えば、更なる廃棄量削減に期待できるでしょう。

③外観品基準の緩和

カゴに入ったフルーツ

先進国では、販売される食品に対して「外観品基準」というものが定められています。簡単に言うと、「外観が綺麗なものしか販売してはいけない」という規則。これにより、少し見た目が歪な野菜や果物などが、大量に廃棄されているのです。

この外観品基準を緩和することにより、生産過程での食品廃棄量を削減することができます。また見た目が悪い食材を加工してもらえるよう、補助金などを出す政策も求められています。

"家庭"で出来るフードロス対策に有効な取り組み

①賞味期限が近いものから料理する

パスタを作る様子

各家庭でできる取り組みとして、期限切れが迫った食材から調理する、というものがあります。「これはいつか食べるだろう」と、わざと食料を残していませんか?いつのまにか残したことを忘れてしまい、捨てる羽目になった…という人も多いでしょう。このように、残された食材は、食品ロス予備軍になってしまいます。

「明日食べる」「いつか料理で使うだろう」と、食材を残しておくのはNG。家庭内の食品問題の解決のために、期限が近いものから食べるということを徹底して。一週間に1度、冷蔵庫を綺麗に掃除する日などを作っても良いですね。

②食べる分だけ購入する

食べきれる分だけ購入するというのも、各家庭でできる食品ロスへの取り組み。「きっと使うはず」「大量に買った方が安いから」と、食べ切れない量を購入していませんか?何回かに分けて料理することを想定していると、食品ロスが増えていきます。

買い物の手間はかかりますが、1回の料理で使う分のみを購入するようにしてみて。これだけで、自然と食品ロスを削減することができますよ。簡単にできるので、是非今日から家庭で取り組んでみてください。

③買い物前に冷蔵庫のチェックをする

家庭で食品ロスを減らしたいなら、冷蔵庫のチェックがおすすめ。買い物を終えて帰ってきたら、冷蔵庫に同じ食料があった!という経験、ありませんか?余剰に食材を買いすぎてしまい、結果食品を余らせてしまう、ということは非常に多いです。

同じ食材の購入を予防するためにも、買い物前には食品庫や冷蔵庫のチェックを。冷蔵庫の中身をスマートフォンのカメラなどで撮影するのもおすすめ。

"個人"で意識したいフードロス予防のための対策

①食べられる量のみを注文する

たくさんの料理

個人でできる食品ロスへの取り組みとして、食べきれる分のみを購入することも意味のある行動です。一人で外食したときなどに、注文した量が多すぎて残してしまった…という経験はありませんか?

無理して大量の食材を注文しないこと。少し割高になっても、ハーフサイズや小盛りメニューなどを利用して、食べきれる量のみを注文するのを心がけて。

②フードロスに取り組む店を選ぶ

個人で外食するときは、食品ロス対応の店を選んでみるも一つの手です。飲食店の中には、フードロス削減のために様々な取り組みをしているお店があります。

料理の量を細かく指定できたり、食べ切れなかった料理は持ち帰らせてくれたりするお店を意識的に選んでみてください。こうすることで、食品ロスの軽減が期待できます。また、食品ロスに取り組む店の利用率が高くなれば、それに倣い取り組みを行う飲食店が増えていくでしょう。

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③フードドライブの利用

個人でできる食品問題への取り組みとして、フードドライブの利用があります。フードドライブとは、買いすぎた食材を施設や学校などに持ち寄り、慈善団体に寄付するという活動のこと。

お菓子や飲料、おもち、お米など、様々な食材を寄付することができます。集まった食材は、福祉団体やフードバンクなどに寄贈されます。個人で食料を余らせてしまったら、是非フードドライブを利用してみてください。

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日本や海外でのフードロスへの取り組みを紹介

①食べきり運動の実施

食べきり

日本では、食べきり運動という取り組みが実施されています。「食料を適量だけ、残さず食べる」をモットーにしており、日本で408の自治体が参加。食品問題解決に向けて、様々な活動を行なっています。

食品問題への認知を広げる活動や、家庭向けの食材使い切りレシピの公開、フードロス削減に効果的な施策の提案など、活動内容は多岐に渡ります。農林水産省や環境省なども、この取り組みを支持していますよ。

②30・10運動対策

30・10運動対策も、日本で行われている取り組みの一つ。飲食店でのフードロス量を減らすために開始された運動で、主に会食や飲み会のシチュエーションを想定して行われています。

乾杯後の30分と退店10分前は、しっかり自分の席に着いて料理を食べる。これは、飲食店で出る食品廃棄の半分以上が食べ残しから、というデータから生まれた対策。30・10運動により、食べ残しの削減を狙っています。

③期限切れ食品のみを扱うスーパー

世界には、期限が切れた食品を扱うスーパーがオープンしている地域も。この取り組みは、デンマークで行われている食品ロス対策の一つです。

このスーパーでは、普通では販売できない期限切れの商品や、包装に問題がある食材を販売。商品の値段は、最大半額で取引されています。小売段階でのフードロス削減を目指した、画期的な対策ですね。

フードロスへの対策を考えましょう

食品

フードロスは、私たちの生活に様々な場面で意識すべき問題です。国や自治体の取り組みについて知り、家庭や個人で対策を講じることで、今後の悪影響を抑えることができるでしょう。今回紹介した対策を参考にしながら、フードロスについて考え、是非今日から意識的に過ごしてみてください。

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