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孤児院で生まれた彼女が生んだエレガンス。私の愛するミューズ「ココ・シャネル」

孤児院で生まれた彼女が生んだエレガンス。私の愛するミューズ「ココ・シャネル」

2021.02.10 インナービューティー

私が初めて自分のお給料でシャネルのバッグを買ったのが、22歳。当時、某外資系化粧品メーカーの美容部員として、日々お客様の顔にスキンケアやメイクをしていた頃。このときは、ただただあのCCマークに憧れて冬のボーナスで一括購入。あのマークを身に着けているだけで、自分に自信がみなぎり、そしてまた次のシャネルが買えるようにと、仕事に熱が入る。

女性をこんなに魅了するシャネルとは、いったいどんな人物で、どのような人生を歩んできたのだろうか。そしてあのCCに込められた願いとは

私にとって最も愛するミューズとは『ココ・シャネル』です。

孤児であった当時ガブリエルシャネルが、なぜココシャネルというトップブランドを立ち上げ世界的にここまで大きくなったのだろうか。

ココシャネルが11歳の時に、母親が病死し、父親に孤児院へと連れて行かれ、そのまま孤児となります。父親は別れ際に、「日曜日には会いに来るから」と、約束をしたのにも関わらず、一度も会いに来てくれませんでした。そのような子ども時代を孤児院で過ごしながら、針子の仕事を習っていたココシャネル。そして、18歳になり孤児院を出て、洋品店の針子の仕事に就きます。

そこで最初にココシャネルの運命を変える男性と出会います。貴族出身の軍人エチエンヌ・バルサン。ココシャネルは、色々な偶然や必然が重なり、彼のお屋敷に住むことに。ここで自身の時間に余裕ができ、帽子作りに専念します。彼女はこの時、当時の女性らしからぬ「私は自立する。仕事をする」という強い精神で帽子作りに励み、貴族の男性を魅了させます。

まさに令和の女性が明治時代に紛れ込んでしまったかのような感じを受けるほど、ココシャネルはこのころから現代的な女性だったようです。

またこのお屋敷に住んでいる時に、エチエンヌから乗馬の手ほどきを受けます。当時女性はスカートしか履いていなかった時代に、乗馬をするにはあまりに動きにくいと考えたココシャネルは、男性用のパンツを履いて馬にまたがり、乗馬をし、貴族の男性に驚かれました。その後、第一次世界大戦が始まり、戦争に行くようになってしまった男性に代わり、女性の社会進出が始まります。

そして、より機能性の良い女性のパンツルックが注目されるようになります。これこそが、今私たちが何気なく履いているパンツルックの始まりと言われているのです。

CHANELの店舗

さらにここで、ココシャネルの人生を変える男性が現れます。エチエンヌの友人のアーサ・カぺル。遊び人の貴族出身のエチエンヌとはうって変わり、仕事が好きな実業家。「女性は仕事なんてしなくていい」と思うエチエンヌに納得がいかないココシャネルは、自分と似たような仕事への価値観を持っているアーサ・カペルへと惹かれ始めます。そして彼が資金、ココシャネルが技術で帽子屋ココシャネルを出店していくのです。

孤児院や洋品店で必死に針子の仕事をしていたので、ココシャネルの針子の腕やアイディアは一流でしょう。そして愛するアーサ・カペルからどんな時も仕事の手を止めてはいけないと言われ、第一次世界大戦の間も手を止めることなく目の前にある仕事をし続けていきます。さらにその時代の流れや人脈に後押しされ、ココシャネルは多くの人々に受け入れられていきます。

第一次世界大戦の時には、布がなくなり、シルクもトリコットもなくなってしまった時に、当時男性の下着などに使われていたジャージーという伸縮性のある生地を使い、戦争に駆り出された男性の代わりに重労働をしている女性に、コルセットでウエストを締め付けたドレスから、ゆったりとした動きやすい自由を与えます。今、我々が日常動きやすい服装をしているのもココシャネルが発祥なのです。

ココシャネルを愛し、また愛されたアーサ・カペルでしたが、交通事故で帰らぬ人となってしまいます。この深い悲しみのなかで生まれたのが、リトルブラックドレス。当時ブラックは喪服として使用されていましたが、ココシャネルは襟やボタンなどもなく、究極にモダンでシンプルにしたこれを、究極のエレガンスの象徴とします。のちにブラックドレスは、大統領夫人やセレブたちの間でなくてはならないスタイルとなっていきます。

そしてココシャネルは次のコレクションの準備をしているさなか、87歳で死去。晩年までココシャネルはエレガンスと着心地を融合させたスタイルを作るために手を止めなかったのです。

彼女は階級社会のなかで地位も名誉もなく孤児院で育ち、針子の仕事と、自分らしいファッション、生き方を貫きました。人に媚びることもなく、愛する人に正直に自分の愛をぶつけ、経済的精神的に自立した女性。当時ではココシャネルのような女性は珍しかったのでしょう。馬鹿にされたり、うわさを流されたりと苦労も多かったようでしたが、それに負けない精神力と、先見の目が彼女を照らし続けたのでしょう。

このようなココシャネルの人生が2008年に上映されたシャーリーマクレーン主演の映画《ココ・シャネル》に色濃く描かれています。

映画「ココ・シャネル」のポスター

孤児院という孤独で自由のない居場所から、どんな時代でも不変なゆるぎないシャネル・スタイルをつくりあげたココシャネルという人物がいったいどのような半生を送ったのかをアカデミー主演女優賞の大女優が誇り高く演じています。また若き日のココシャネルをバルボラ・ボブローヴァが演じていて、愛する人にだけに優しい笑顔見せる、人間らしく、非常に女性らしいココシャネルが描かれています。

是非、みなさまもシャーリーマクレーン主演の映画《ココ・シャネル》で、令和を生きている私たちが今、ココシャネルという人物をどう感じるか、そして私たちが何気なく身につけているものが、ココシャネルとの結びつきのあるものがいかに多いかを感じて頂けたらと思います。

そしてあのココシャネルが生みだしたCCマークとは、ココシャネルのCとアーサ・カペルのCとの説があります。まさに2人の愛の象徴だったのかもしれません。

ココシャネルの、あのCCマークに込めた願いとは、とてつもなく暗い悲しみなかで必死に自分らしさを貫いた想い。その想いが、『ココ・シャネル』のスタイルとなり、時代を超えて世界中の人々を魅了してやまないのである。

では、今日もとびきりの素晴らしい一日をお過ごしください。

■Writer's Profile

ochapichan(オチャッピチャン)

元読者モデル/色彩検定3級/化粧品会社社内技術検定2級/ナチュラルビューティースタイリスト/ペットシッターアドバイザー&ホテルソムリエ/アラフォーママ/美容を中心にライフスタイル、食事、保護犬などの記事を執筆しているライターです。

Instagram :@ochapichan note:ochapichan
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